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夢の中
所有物?
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自分でも顔が熱くなっているのは自覚があった。私の経験は一方的に服の上から胸を触れられるくらいで、こうして肌をぴったり触れ合わせて、まして相手のエレクトしたものを身体で実際に受け止める、いや、食い込ませるなんて、想定外だった。
私は渋々自分の胸を覆っていた手を離して、いかつい男を押しやった。男は全然力など入れていない様なのに、びくともしない。私の習得した合気道は、相手の向かって来た力を上手く使って受け流す武道なので、こうしてじっとされると技をかけるのも難しい。
「離して…。」
私はじっと私を見つめる男に心臓をドキドキさせながら囁いた。もう、そう言うしか思いつかなかった。すると男は甘く微笑んで言った。
「なぜ?私はルリが可愛くて、柔らかくて、気に入った。手に入れたらダメなのか?」
私はこのガタイが良い、青光りする人外の男の思考が読めずに、眉を顰めて首を傾げた。
「ダメに決まってるでしょ?私はあなたのモノじゃないもの。それとも力ずくで私を手に入れるつもり?」
私はかなりやけっぱちだった。全然知らない世界で、多分人間じゃない人たちで、謙虚にしていたら喰われてしまう。最悪喰われてしまうにしても、自分の立場を主張したかった。
柔らかな金色めいた琥珀色の瞳を細めながら、男はため息をついて言った。
「私も力ずくで手に入れたい訳じゃないけれどね。多分ルリは、私の所有になっていた方が安全だと思うよ。ルリはあまりにも我々と違いすぎて、目立つ。目立つ上に魅力的だ。不埒な奴がいつでも狙ってくるだろう。この国の皇子である私が、ルリを所有するのが一番だと思うけどね。」
皇子?やっぱりこの人は皇子なの?この男の周囲にかしずいていた従者たちを見れば、なるほど納得の状況だった。この男は私の常識など通じないこの人外?の世界で、力を持っている相手なのだ。一方の私は状況も分からず無力だ。
彼の言う様に、庇護を受けた方が賢いのかもしれない。私はじっと私の出方を見つめる男の視線が熱く揺らめいている気がした。私に選択肢など無いのかな。私は喉を鳴らすと、男の腕の中で強張らせていた身体の力を抜いて言った。
「…あなたの名前は何て言うの。名前も知らない相手の所有物になんてなりたくない。」
そう言うと、目の前の男は嬉しげに微笑んで甘く囁いた。
「バージルだ。私はバージル。覚えたかい?私は自分の所有物は大事にする男だ。さぁ、ルリの甘い毒をもう一度味わわせてくれ。」
そう言って、バージルという名の皇子の薄い唇が、私に近づくのを諦めと、緊張を感じながら見つめていた。
私は渋々自分の胸を覆っていた手を離して、いかつい男を押しやった。男は全然力など入れていない様なのに、びくともしない。私の習得した合気道は、相手の向かって来た力を上手く使って受け流す武道なので、こうしてじっとされると技をかけるのも難しい。
「離して…。」
私はじっと私を見つめる男に心臓をドキドキさせながら囁いた。もう、そう言うしか思いつかなかった。すると男は甘く微笑んで言った。
「なぜ?私はルリが可愛くて、柔らかくて、気に入った。手に入れたらダメなのか?」
私はこのガタイが良い、青光りする人外の男の思考が読めずに、眉を顰めて首を傾げた。
「ダメに決まってるでしょ?私はあなたのモノじゃないもの。それとも力ずくで私を手に入れるつもり?」
私はかなりやけっぱちだった。全然知らない世界で、多分人間じゃない人たちで、謙虚にしていたら喰われてしまう。最悪喰われてしまうにしても、自分の立場を主張したかった。
柔らかな金色めいた琥珀色の瞳を細めながら、男はため息をついて言った。
「私も力ずくで手に入れたい訳じゃないけれどね。多分ルリは、私の所有になっていた方が安全だと思うよ。ルリはあまりにも我々と違いすぎて、目立つ。目立つ上に魅力的だ。不埒な奴がいつでも狙ってくるだろう。この国の皇子である私が、ルリを所有するのが一番だと思うけどね。」
皇子?やっぱりこの人は皇子なの?この男の周囲にかしずいていた従者たちを見れば、なるほど納得の状況だった。この男は私の常識など通じないこの人外?の世界で、力を持っている相手なのだ。一方の私は状況も分からず無力だ。
彼の言う様に、庇護を受けた方が賢いのかもしれない。私はじっと私の出方を見つめる男の視線が熱く揺らめいている気がした。私に選択肢など無いのかな。私は喉を鳴らすと、男の腕の中で強張らせていた身体の力を抜いて言った。
「…あなたの名前は何て言うの。名前も知らない相手の所有物になんてなりたくない。」
そう言うと、目の前の男は嬉しげに微笑んで甘く囁いた。
「バージルだ。私はバージル。覚えたかい?私は自分の所有物は大事にする男だ。さぁ、ルリの甘い毒をもう一度味わわせてくれ。」
そう言って、バージルという名の皇子の薄い唇が、私に近づくのを諦めと、緊張を感じながら見つめていた。
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