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夢の中
追いかけて来る何者か
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しばらく砂に足を取られながら街の方へ進んでいくと、また地響きの様な振動を足元から感じた。また、さっきみたいな集団がこちらにやって来るのだろうか。
私は何処かに隠れる様な場所が無いかと、慌てて周囲を見回した。しかしさっき隠れた岩場は遥か後方で、前方に見える建物や少しの緑は走ってもたどり着けそうに無い。
立っているよりしゃがみ込む、それより寝転がる?私はとりあえず見つからない様に、見える面積を減らす事しか思い浮かばなかった。
熱い砂に寝転がるのは無理だったので、袴越しに伝わって来る膝への熱さを必死で耐えながら、出来るだけ小さくなるように丸まった。砂煙を立てて鬨の声を上げた集団は、私とは別の方向へと真っ直ぐに向かっているのが見えた。
私は心臓を震わせながら、少しホッとした気持ちで集団を覗った。すると、一騎が隊列を離れてこちらの方へ方向を変えたのが分かった。その時私は、心臓が引き絞られる様な緊張と恐怖、凄まじいまでのアドレナリンが身体を支配したのが分かった。
私は考える間もなく飛び起きると、一気に走り出した。さっきよりも砂が浅くなったのか、硬い地面を感じて歩き易くなっていたものの、走るとなると足が取られてしまう。
ぐんぐんと近づいて来る一騎の気配に、私は必死でとにかく足を前に進めた。荒い息づかいの何かが迫って来るのを感じて、私は足からサボが脱げるのも構わずに、熱い砂を蹴った。並ばれて、手を伸ばして私を捕まえようとするのが視界に入って、咄嗟に立ち止まって蹲った。
私を掴み損ねて2mほど先へと進んだ騎馬は、方向を変えて私の方へゆっくりと近づいて来た。あれは何?頭がトカゲで身体が馬の様なその生き物もそうだけれど、上に乗っている人間の様で人間に見えない何者かは、両頬に刺青の様な紋様があった。
ゆっくりと近づいて来たそいつが、何か言いながら私に手を伸ばした瞬間、私は脱兎のごとく街へ向かって馬の様な生き物の脇を潜り抜けて走った。後ろでモタついているのを感じながら、私はダメもとで走った。
でも、さっきよりも緑地が近づいた気がして気が緩んだんだのか、そもそも逃げる体力も限界だったのか、私は足をもつれさせて、地面に投げ出されてしまった。したたかに身体を打ちつけて息が止まった私の側に、ザクザクと砂を踏み締めてあいつが近づくのを感じながら、私は前方を見つめながら気が遠くなっていった。ああ、これ夢だよね…。もう、なんて夢なの!?
私は何処かに隠れる様な場所が無いかと、慌てて周囲を見回した。しかしさっき隠れた岩場は遥か後方で、前方に見える建物や少しの緑は走ってもたどり着けそうに無い。
立っているよりしゃがみ込む、それより寝転がる?私はとりあえず見つからない様に、見える面積を減らす事しか思い浮かばなかった。
熱い砂に寝転がるのは無理だったので、袴越しに伝わって来る膝への熱さを必死で耐えながら、出来るだけ小さくなるように丸まった。砂煙を立てて鬨の声を上げた集団は、私とは別の方向へと真っ直ぐに向かっているのが見えた。
私は心臓を震わせながら、少しホッとした気持ちで集団を覗った。すると、一騎が隊列を離れてこちらの方へ方向を変えたのが分かった。その時私は、心臓が引き絞られる様な緊張と恐怖、凄まじいまでのアドレナリンが身体を支配したのが分かった。
私は考える間もなく飛び起きると、一気に走り出した。さっきよりも砂が浅くなったのか、硬い地面を感じて歩き易くなっていたものの、走るとなると足が取られてしまう。
ぐんぐんと近づいて来る一騎の気配に、私は必死でとにかく足を前に進めた。荒い息づかいの何かが迫って来るのを感じて、私は足からサボが脱げるのも構わずに、熱い砂を蹴った。並ばれて、手を伸ばして私を捕まえようとするのが視界に入って、咄嗟に立ち止まって蹲った。
私を掴み損ねて2mほど先へと進んだ騎馬は、方向を変えて私の方へゆっくりと近づいて来た。あれは何?頭がトカゲで身体が馬の様なその生き物もそうだけれど、上に乗っている人間の様で人間に見えない何者かは、両頬に刺青の様な紋様があった。
ゆっくりと近づいて来たそいつが、何か言いながら私に手を伸ばした瞬間、私は脱兎のごとく街へ向かって馬の様な生き物の脇を潜り抜けて走った。後ろでモタついているのを感じながら、私はダメもとで走った。
でも、さっきよりも緑地が近づいた気がして気が緩んだんだのか、そもそも逃げる体力も限界だったのか、私は足をもつれさせて、地面に投げ出されてしまった。したたかに身体を打ちつけて息が止まった私の側に、ザクザクと砂を踏み締めてあいつが近づくのを感じながら、私は前方を見つめながら気が遠くなっていった。ああ、これ夢だよね…。もう、なんて夢なの!?
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