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夢の中
バージルside可愛い戦利品
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王都の門に到着する頃には、私の後ろに付き従って来たギルたちが、興味津々に私の抱えているマントの膨らみを見つめてきた。私はうるさい視線に閉口してため息をつくと、手を振って解散させた。
私とギルが竜馬止めで降りると、ギルは黙っていられないと言った具合で私に尋ねた。
「皇子、お願いですから教えて下さい。一体何を見つけたんですか?」
私は一瞬考え込むと、片眉を上げてギルに言った。
「何だろうな。私にも分からぬ。見たことのない生き物だ。少し怪我をしている様だ、医者を呼んでくれ。」
ギルは驚いた顔で私をマジマジと見て呟いた。
「皇子がその様な楽しげな様子は久しぶりに見ました。しかし、大人になっても生き物を拾って来るのはどうかと思いますがね。まぁ良いでしょう。では皇子の部屋でよろしいのですか?それとも洗った方がいい位、汚れていたりしますか?」
私は艶めく黒い髪を思い出して首を振った。
「いや、綺麗だった。とりあえず、私の部屋に医者を寄越す様に手配してくれ。先に行くぞ。」
私はマントに注がれるギルの眼差しに苦笑して、踵を返して自分の部屋に戻った。早く腕の中のこれをじっくり眺めたい気持ちで、知らず知らず足早になってしまった。
部屋に着くと、ベッドの上に腕の中のそれをそっと下ろした。目の前に横たわるそれは、見たことも無いつるりとした白っぽい薄い皮膚に覆われていた。見れば見るほど、我々と似ている様で似ていなかった。これは鱗族ではないのだろう。
砂だらけの白と黒のたっぷりとした布を苦労して脱がせると、全身を薄い黒い布の様な物に覆われていた。身体に張り付いたそれを引っ張ると、その布は良く伸びた。チラリと見えた白い腕を指でなぞると、やはり柔らかい。
しかも、胸元の黒い布の下には膨らみがあった。思わず布ごしに指で触れると、破裂してしまいそうな弾力があって、慌てて手を引っ込めた。これが弾け飛んだら勿体ない。
目を足元へとに辿ると、脚の間はつるりと何も無いので、多分これは女型なのだろう。腹から股間、腿まで布ごしに手のひらで撫でれば、やはり経験の無い柔らかさを感じた。
目を閉じた顔を眺めると、ぼってりとした唇が赤く色づいていた。私たちも唇はあるけれど薄くて色味が無い。まるで美味しそうな果実の様に見えるそれは、もしかして毒があるのかもしれない。魅惑的なものほど毒が含まれているというのが、この世界では常識だ。
全てが可愛らしく柔らかな、魅力的な戦利品を満足気に眺めていると、部屋の扉がノックされてギルの声がした。
「皇子、入りますよ。医者を連れて来ました。皇子、考えたんですけど、鱗族じゃ無いとすれば、医者じゃ用無しなんじゃ無いですか?まったく、皇子の気まぐれにも…。皇子!…これ何ですか?」
ギルが私のベッドに横たわる戦利品を見つめて驚きの表情を浮かべた。ギルを押し退けてベッドに近づいて来た医官のマージがやはり目を見張って、興奮した様にそれをざっと調べると、ため息をついて呟いた。
「…これは驚いた。皇子、これが何かご存知か?これは多分、別の種族の亜人に違いありません。でもこの世界に別の亜人が居るなんて聞いたこともありません。一体どこからやって来たんでしょう。」
私とギルはマージの興奮に釣られる様に、目を見開いてベッドに横たわるそれを見つめた。確かにそれは身に付けているものも、身体の特徴も我々とは少しづつ違って、結局似ている様で全然似ていなかった。人型と言う以外は。
私とギルが竜馬止めで降りると、ギルは黙っていられないと言った具合で私に尋ねた。
「皇子、お願いですから教えて下さい。一体何を見つけたんですか?」
私は一瞬考え込むと、片眉を上げてギルに言った。
「何だろうな。私にも分からぬ。見たことのない生き物だ。少し怪我をしている様だ、医者を呼んでくれ。」
ギルは驚いた顔で私をマジマジと見て呟いた。
「皇子がその様な楽しげな様子は久しぶりに見ました。しかし、大人になっても生き物を拾って来るのはどうかと思いますがね。まぁ良いでしょう。では皇子の部屋でよろしいのですか?それとも洗った方がいい位、汚れていたりしますか?」
私は艶めく黒い髪を思い出して首を振った。
「いや、綺麗だった。とりあえず、私の部屋に医者を寄越す様に手配してくれ。先に行くぞ。」
私はマントに注がれるギルの眼差しに苦笑して、踵を返して自分の部屋に戻った。早く腕の中のこれをじっくり眺めたい気持ちで、知らず知らず足早になってしまった。
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砂だらけの白と黒のたっぷりとした布を苦労して脱がせると、全身を薄い黒い布の様な物に覆われていた。身体に張り付いたそれを引っ張ると、その布は良く伸びた。チラリと見えた白い腕を指でなぞると、やはり柔らかい。
しかも、胸元の黒い布の下には膨らみがあった。思わず布ごしに指で触れると、破裂してしまいそうな弾力があって、慌てて手を引っ込めた。これが弾け飛んだら勿体ない。
目を足元へとに辿ると、脚の間はつるりと何も無いので、多分これは女型なのだろう。腹から股間、腿まで布ごしに手のひらで撫でれば、やはり経験の無い柔らかさを感じた。
目を閉じた顔を眺めると、ぼってりとした唇が赤く色づいていた。私たちも唇はあるけれど薄くて色味が無い。まるで美味しそうな果実の様に見えるそれは、もしかして毒があるのかもしれない。魅惑的なものほど毒が含まれているというのが、この世界では常識だ。
全てが可愛らしく柔らかな、魅力的な戦利品を満足気に眺めていると、部屋の扉がノックされてギルの声がした。
「皇子、入りますよ。医者を連れて来ました。皇子、考えたんですけど、鱗族じゃ無いとすれば、医者じゃ用無しなんじゃ無いですか?まったく、皇子の気まぐれにも…。皇子!…これ何ですか?」
ギルが私のベッドに横たわる戦利品を見つめて驚きの表情を浮かべた。ギルを押し退けてベッドに近づいて来た医官のマージがやはり目を見張って、興奮した様にそれをざっと調べると、ため息をついて呟いた。
「…これは驚いた。皇子、これが何かご存知か?これは多分、別の種族の亜人に違いありません。でもこの世界に別の亜人が居るなんて聞いたこともありません。一体どこからやって来たんでしょう。」
私とギルはマージの興奮に釣られる様に、目を見開いてベッドに横たわるそれを見つめた。確かにそれは身に付けているものも、身体の特徴も我々とは少しづつ違って、結局似ている様で全然似ていなかった。人型と言う以外は。
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