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人間のままでいられますか?
泉に到着
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目の前が開けて、記憶通りにここは美しい秘密の場所という感じだ。森を抜けて、ここに来た途端に空気も澄んでいる。ほんと、何なんだろうここって。
泉の側は変わりなかったけれど、手前の森は随分木が切られて開かれていた。僕はウィルに尋ねた。
「この場所と泉を繋げようとはしなかったの?」
するとウィルは難しい顔をしながら答えた。
「それが、泉の側の木々は切っても直ぐに元に戻ってしまうんだ。だからたぶんあそこは聖域というものなんだろうって事で無理に切り開くのはやめたんだ。
私たちは魔物退治する際の、安全な水の供給場が有れば十分だからね。」
そう言って泉の手前の空き地で騎士達は休息を取り始めた。
僕たちは王子と共に泉へと足を踏み入れた。泉の真ん中にある浮島には、僕が御神木と名付けた大きな木がそびえ立っていた。
「…なるほど、ここは聖域と呼ばれるにふさわしい場所に思う。ここに辿り着いたフォルが人間に変幻したのも分かる気がする。きっかけにはなったんだろうね。そのネックレスは泉の何処で見つかったんだい?」
王子の質問に、僕は御神木を指差した。
「…あの木の根元に引っ掛かって、光っていました。僕が元の世界からこちらへ飛ばされた時は、確かに身につけていたんです。だからまさかと思って。
僕がこの世界に現れた時は馬として産まれたんですからね?不思議な話でしょう?」
王子は秘密の書を撫でながら、泉の淵をゆっくりと何か呟きながら歩いていた。
「…王弟のネックレス、…聖域、4回の変幻、…ミハルの修行の力…。」
王子は僕に向き直ると、言葉を選びながら言った。
「もしハルマが自身の運命を決定出来るとしたら、この場所だと思う。王弟の蹄鉄のモチーフを加工して、4つずつの窪みを作って回数をハッキリさせるようにしたのはミハルだ。
秘密の書には王弟にミハルが、今度来た人間が運命を選べるようにすると語っていたと記述してあったんだ。僕にはあの木から強い聖なる力を感じる。
ネックレスをハルマに渡してくれたのがその聖なる力だとすれば、きっとそれはミハルの修行で培った力でもあるんじゃないのか?人か馬かの運命を選ぶとすれば、それはハルマ自身の強い願いだと思う。
窪みがいっぱいになった4回目の人間の終わりの満月に、ここで運命を捕まえるんだ。」
僕を真っ直ぐに見つめてそう語った王子を、僕はごくりと喉を鳴らして見つめた。
~お知らせ~
最新作BL本日17:00公開開始しました♡
10話ほどの短編『僕の敏感なソレが原因』を連載完了後に書こうと思っていたのですが、既に20話を越えてもうひと息掛かるかなという状況でマゴマゴしているうちに、最新作BL書き出しちゃいました。
取り敢えず校正し続けて、方向が固まったので公開する事にしました♡
今回はファンタジー寄り寄りのギルドやダンジョンを盛った、ハラハラ、ドキドキ、ワクワクを入れたい獣人系BLですw
『獣人てやつは本能に抗えない問題』です♡
題名は初期に変わる可能性ありますが、たぶん今回は大丈夫そう!どうぞよろしくお願いします♡
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「…王弟のネックレス、…聖域、4回の変幻、…ミハルの修行の力…。」
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「もしハルマが自身の運命を決定出来るとしたら、この場所だと思う。王弟の蹄鉄のモチーフを加工して、4つずつの窪みを作って回数をハッキリさせるようにしたのはミハルだ。
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ネックレスをハルマに渡してくれたのがその聖なる力だとすれば、きっとそれはミハルの修行で培った力でもあるんじゃないのか?人か馬かの運命を選ぶとすれば、それはハルマ自身の強い願いだと思う。
窪みがいっぱいになった4回目の人間の終わりの満月に、ここで運命を捕まえるんだ。」
僕を真っ直ぐに見つめてそう語った王子を、僕はごくりと喉を鳴らして見つめた。
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