114 / 131
人間のままでいられますか?
王子との対面
しおりを挟む
「其方がハルマか。明るい場所で見ると、なるほど、秘密の書は真実が書かれていたのだと、またひとつ確証が得られたね。」
そう言って綺麗な青い目をキラキラさせながら、目の前の殿下は嬉しそうに頷いた。年齢は確か14歳と聞いたが、14歳にしてはしっかりしている。まぁ、王族だし…。
僕は『王子様』と人間としてはどう接するのがベターなのか分からずに、副指揮官や、ウィルをチラチラ見つめた。するとクスクスと楽しげな笑い声をあげて、殿下が執務室?いや、勉強部屋?から僕たちを引き連れてちょっと変わったテラスへと連れ出した。
広いテラスは眼下に手入れの行き届いた美しい庭園が広がっていた。ただ見た事のないガラスの様なドーム型の屋根と囲いに囲まれていた。
殿下は僕たちにウィンクすると、唇に指を押し当てて言った。
「内緒話をするには、ここが丁度良いんだ。結構良いだろう?私が設計したんだ。」
僕は揺らめく様な虹色のガラス質の壁に手を触れた。あんまり硬くない。ちょっとプラスチックの様だ。柔らかな素材だからドーム型に加工も出来たのかもしれない。
これがガラスだとかなり重そうだ。そう思いながら天井を見上げた。僕が興味津々で見つめていると、殿下が声を掛けてきた。
「ハルマ、そろそろこっちに来て座れ。後で見学させてやるから。」
僕がハッとして殿下を見ると、副指揮官も、ウィルも、困った顔で既にテラステーブルに着席していた。僕は慌てて空いていた椅子に座ると、従者が待っていたかの様にお茶をサーブしてくれた。
殿下が美味しそうにお茶を飲むのを待って、僕も副指揮官に習って上品にお茶をいただいた。あー、美味しい。王宮半端ない。僕がお茶の美味しさに感動していると、殿下がじっと僕を見つめていた。
「ハルマ、其方はミハルという名前に覚えはあるか?」
僕は突然殿下に尋ねられて、ちょっとボンヤリしてしまった。まさか殿下の口からその名前を聞く事になるなんて、思いもしなかったからだ。
僕は心臓がドキドキするのを感じながら頷いた。
「はい。…ミハルという名前には覚えがあります。確か、僕のお祖父さんの兄の名前だと思います。でも彼は若くして亡くなっていて、僕は会ったことはありません。」
すると殿下は手に持っていた、美しいけれど少し年季の入った革張りの手帳をひと撫ですると言った。
「そうか。ミハルは若くして亡くなっていたのか。…それはまるで運命の悪戯の様だね。」
そう言いながら、少し悲しげな表情で微笑んだんだ。
そう言って綺麗な青い目をキラキラさせながら、目の前の殿下は嬉しそうに頷いた。年齢は確か14歳と聞いたが、14歳にしてはしっかりしている。まぁ、王族だし…。
僕は『王子様』と人間としてはどう接するのがベターなのか分からずに、副指揮官や、ウィルをチラチラ見つめた。するとクスクスと楽しげな笑い声をあげて、殿下が執務室?いや、勉強部屋?から僕たちを引き連れてちょっと変わったテラスへと連れ出した。
広いテラスは眼下に手入れの行き届いた美しい庭園が広がっていた。ただ見た事のないガラスの様なドーム型の屋根と囲いに囲まれていた。
殿下は僕たちにウィンクすると、唇に指を押し当てて言った。
「内緒話をするには、ここが丁度良いんだ。結構良いだろう?私が設計したんだ。」
僕は揺らめく様な虹色のガラス質の壁に手を触れた。あんまり硬くない。ちょっとプラスチックの様だ。柔らかな素材だからドーム型に加工も出来たのかもしれない。
これがガラスだとかなり重そうだ。そう思いながら天井を見上げた。僕が興味津々で見つめていると、殿下が声を掛けてきた。
「ハルマ、そろそろこっちに来て座れ。後で見学させてやるから。」
僕がハッとして殿下を見ると、副指揮官も、ウィルも、困った顔で既にテラステーブルに着席していた。僕は慌てて空いていた椅子に座ると、従者が待っていたかの様にお茶をサーブしてくれた。
殿下が美味しそうにお茶を飲むのを待って、僕も副指揮官に習って上品にお茶をいただいた。あー、美味しい。王宮半端ない。僕がお茶の美味しさに感動していると、殿下がじっと僕を見つめていた。
「ハルマ、其方はミハルという名前に覚えはあるか?」
僕は突然殿下に尋ねられて、ちょっとボンヤリしてしまった。まさか殿下の口からその名前を聞く事になるなんて、思いもしなかったからだ。
僕は心臓がドキドキするのを感じながら頷いた。
「はい。…ミハルという名前には覚えがあります。確か、僕のお祖父さんの兄の名前だと思います。でも彼は若くして亡くなっていて、僕は会ったことはありません。」
すると殿下は手に持っていた、美しいけれど少し年季の入った革張りの手帳をひと撫ですると言った。
「そうか。ミハルは若くして亡くなっていたのか。…それはまるで運命の悪戯の様だね。」
そう言いながら、少し悲しげな表情で微笑んだんだ。
1
お気に入りに追加
1,052
あなたにおすすめの小説
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
空は遠く
chatetlune
BL
素直になれないひねくれ者同士、力と佑人のこじらせ同級生ラブ♥ 高校では問題児扱いされている力と成績優秀だが過去のトラウマに縛られて殻をかぶってしまった佑人を中心に、切れ者だがあたりのいい坂本や落ちこぼれの東山や啓太らが加わり、積み重ねていく17歳の日々。すれ違いから遠のいていく距離。それでもやっぱり惹かれていく。
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる