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馬は3回目です。慣れてます。

第二王子side変幻の時

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私は幼い頃からの従者のマーシャルと、護衛聖騎士のアーサーを引き連れて真夜中に騎士団に来ていた。王宮に迎えに来た指揮官と副指揮官が側に待機している。お忍びなので大袈裟にはしたくは無かったが、絞ってこの人員になるのはしょうがないだろう。

「其方らに迷惑を掛けて悪かったな。」

私が指揮官にそう声を掛けると、指揮官は私をじっと見つめて言った。


「殿下がハルマの助けになって下さると伺って、正直私共も喜んでいるのです。彼はフォルとしても優秀な馬ですが、彼の望みは人間に戻りたいと言う事ですから。

そうは言っても私たちもこの事を知ったのは前回の変幻の時からです。その時は人から馬へ変幻しました。今回は馬から人です。初めてなので緊張しますね。」


私の後ろに控えているアーサーとマーシャルも身動きしたので、緊張しているのかもしれない。アーサーは乳母兄弟なので、今回の人選に組み込んだのだが、皇太子の方が歳が近いので黙っていてもらう様にもう一度釘を刺した方がいいかもしれない。

それにしてもフォルの佇んでいる場所は随分遠くだ。何もあんなに遠くなくても良いのでは無いか?

「…フォルとウィリアムは、その、恋人同士なのか?」


私の質問に、指揮官と副指揮官は顔を見合わせてなんとも言えない表情を浮かべた後に、私に頷いて副指揮官が言った。

「ええ。私がフォルを買い入れて来たのですが、一目でフォルを自分の馬に選んだのはウィリアムでした。フォルが身体を張ってウィリアムを助けたのもそうでしたが、人間として目の前に現れたハルマを一目で庇護したのもウィリアムです。

あの二人は会った瞬間から惹かれあってましたね。馬の時も、人間の時も。」


私はなるほどと頷いて、まるで秘密の書に書かれていた王弟の日記の様だと思った。馬に変幻する人間というのはそこまで魅力に溢れているのだろうか。

丁度その時、フォルの姿がキラキラと月明かりに包まれた様に見えた。それからの光景は何と表現して良いか分からない。馬の姿がみるみる小さくなって、代わりに若い裸の男の姿になるその不可思議な様子は何とも印象的だった。


フォルの側に控えていたウィリアムらしき男が、布の様なもので小柄な黒髪の男を包み込むのが見えた。私はいよいよフォルの人間版に会えるのかと、心が浮き立つのを感じたんだ。

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