106 / 131
馬は3回目です。慣れてます。
大人ですから
しおりを挟む
結局、リーダーの取り計らいで和解した僕と聖騎士団の馬たちは、凄く仲良くなった訳じゃないけど、そこそこ仲間になった。あの僕を敵視してきたロビンは、僕に必要以上近づかない様に気をつけてるみたいだ。
もしかして僕が食べちゃうって話、真に受けてるのかな。ふふ。僕は彼らと一緒に行動するうちに、この全てにおいて恵まれている様に見えるエリート集団も、それはそれで悩みや葛藤があるんだと気づいた。
エリートは常に求められているものがレベチだからね。大変だよね。僕はワイルドな騎士団に買われて本当に良かったよ。…まぁ魔物狩りは未だに慣れないけど。どうも見た目と匂いがね…。
僕はエリートの芦毛のコボックに尋ねた。コボックは模様が一切ないグレーの美しい馬だ。…いや、ここの馬はどの馬も美馬だけどさ。
『コボックって、式典とか、王族を乗せたりとか、結構気が張る仕事が多いよね。他の仕事したいとか思うの?』
コボックは僕より一歳上のなかなか気の良い馬だった。
『そうだなぁ。私はここでの生活しか知らないけど、確かに子供時代の草原を自由に駆け回ったあの頃も懐かしく思うよ。フォルは騎士団の馬だろう?君はどんな経験をしたんだい?教えてくれる?』
僕はコボックに請われて、今までの経験を面白おかしく話した。森の魔物を至近距離で討ち取るためにぎりぎりまで近づく事とか。怪物の標的になって森の中を逃げ惑った事とか。
結局串刺しになった怪物が自滅してくれたおかげで命が助かったとか。手綱を取られて敵陣へ連れて行かれた事とか。追手に追われて夜の森に隠れた事とか。
いつの間にか周囲にエリート馬達が集まってきていて、僕の話を恐々と聞いていた。僕はギャラリーが多いことに気を良くして、臨場感を大事にするあまり、ちょっと本気を出してしまった。
僕が怪物の断末魔を実演すると、ロビンが急に嘶いて走り出した。すると皆も釣られたようにロビンの後を追って走り出してしまった。ついでに釣られて僕まで。何でだ。
僕が追いかけると、みんなが僕を恐怖に滲んだ目で見ながらスピードを上げるのが後から考えると笑えるけど、その時の僕はすっかり馬の習性に操られていて必死に追いかけてしまった。
馬丁達が僕たちの剣幕に慌てて僕たちを落ち着かせようと頑張り出したのにハッと気づいて、追いかけるのをやめたら、ようやくエリートくん達も走るのをやめた。
後で綺麗な顔を顰めたリーダーに、僕が叱られたのは解せない。コボックが僕に頼んだんですよ?話してくれって!
~お知らせ~
軽い新作BL短編 『僕の敏感なソレが原因』投稿開始しました♡
男子高校生のちょっとしたキッカケで始まる親友同士のイチャイチャドキドキな胸キュンBLです♫
勢いで書いてますので、10話以内で収まる様に頑張ります!
よろしくお願いします(≧∀≦)
もしかして僕が食べちゃうって話、真に受けてるのかな。ふふ。僕は彼らと一緒に行動するうちに、この全てにおいて恵まれている様に見えるエリート集団も、それはそれで悩みや葛藤があるんだと気づいた。
エリートは常に求められているものがレベチだからね。大変だよね。僕はワイルドな騎士団に買われて本当に良かったよ。…まぁ魔物狩りは未だに慣れないけど。どうも見た目と匂いがね…。
僕はエリートの芦毛のコボックに尋ねた。コボックは模様が一切ないグレーの美しい馬だ。…いや、ここの馬はどの馬も美馬だけどさ。
『コボックって、式典とか、王族を乗せたりとか、結構気が張る仕事が多いよね。他の仕事したいとか思うの?』
コボックは僕より一歳上のなかなか気の良い馬だった。
『そうだなぁ。私はここでの生活しか知らないけど、確かに子供時代の草原を自由に駆け回ったあの頃も懐かしく思うよ。フォルは騎士団の馬だろう?君はどんな経験をしたんだい?教えてくれる?』
僕はコボックに請われて、今までの経験を面白おかしく話した。森の魔物を至近距離で討ち取るためにぎりぎりまで近づく事とか。怪物の標的になって森の中を逃げ惑った事とか。
結局串刺しになった怪物が自滅してくれたおかげで命が助かったとか。手綱を取られて敵陣へ連れて行かれた事とか。追手に追われて夜の森に隠れた事とか。
いつの間にか周囲にエリート馬達が集まってきていて、僕の話を恐々と聞いていた。僕はギャラリーが多いことに気を良くして、臨場感を大事にするあまり、ちょっと本気を出してしまった。
僕が怪物の断末魔を実演すると、ロビンが急に嘶いて走り出した。すると皆も釣られたようにロビンの後を追って走り出してしまった。ついでに釣られて僕まで。何でだ。
僕が追いかけると、みんなが僕を恐怖に滲んだ目で見ながらスピードを上げるのが後から考えると笑えるけど、その時の僕はすっかり馬の習性に操られていて必死に追いかけてしまった。
馬丁達が僕たちの剣幕に慌てて僕たちを落ち着かせようと頑張り出したのにハッと気づいて、追いかけるのをやめたら、ようやくエリートくん達も走るのをやめた。
後で綺麗な顔を顰めたリーダーに、僕が叱られたのは解せない。コボックが僕に頼んだんですよ?話してくれって!
~お知らせ~
軽い新作BL短編 『僕の敏感なソレが原因』投稿開始しました♡
男子高校生のちょっとしたキッカケで始まる親友同士のイチャイチャドキドキな胸キュンBLです♫
勢いで書いてますので、10話以内で収まる様に頑張ります!
よろしくお願いします(≧∀≦)
21
お気に入りに追加
1,057
あなたにおすすめの小説

すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる