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味方の元へ

ウィルside謎めいたハル

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緊張した様子で自分のネックレスをじっと眺めるハルを見つめて、私は落ち着かない気分を味わっていた。いつもの天真爛漫なハルと違って、何か思い悩む様子は以前から度々あった。

それが自分の出生を探す旅に突然出てしまった事に繋がったように、私にはまたハルが急に居なくなってしまうのでは無いかと、二度と私の前に現れないのではないかと恐れを感じるんだ。


私はハルのネックレスをもう一度大切に小箱に仕舞うと、引き出しの奥へと仕舞い込んだ。とりあえずこれがここにある限り、ハルは自分の側にいてくれる気がした。

その日は、指揮官、副指揮官と報告に上げた昨夜の事ついて、ハルとケインと一緒に会議室で状況報告をした。もう一度ハルが私に話したことと同じことを彼らに話して、ハルは部屋を出て行った。


会議室に残った我々の顔を見合わせて副指揮官は難しい顔をして言った。

「確かにハルマを追ってきた騎士の言い分と照らし合わせると、ハルマが敵の内偵である可能性は薄れた。しかし、腕が立つわけではない彼が、今まで無事に旅をしてこられた事が気になる。

実際森のそばを歩いてこちらに逃げてくる最中に、魔物に襲われていたんだろう?一人旅で、しかも敵の森の中を彷徨っていて無事でいられるのは、ちょっと想像できない。

とはいえ、ハルマのもたらした情報は貴重なものだ。…しばらくウィリアムとケインはハルマの動向に注意を払う事。ハッキリするまでは、頭の隅にハルマは内偵かもしれないと考えておいてくれ。

今は戦も終盤だ。何事にも慎重さが求められる。…ではそのように。解散。」


指揮官の言葉に、私たちは黙って頷いた。確かに指揮官の言うことはもっともなんだ。私にでさえ、ハルがどうやって迷い込んだ森から敵陣へ、無事に到達したのか理解できない。

それほどまでに森の中には魔物がいる。私がそんな事を考え込んでいると、副指揮官が話しかけてきた。

「ウィリアム、とにかくハルマが戻ってきて良かったな。そうだ、ハルマに敵陣の馬場にフォルが居なかったどうか聞いてみてくれないか。ハルマがフォルを見かけた可能性は高いだろう?

ああ、でもハルマはフォルの事知らないのか。なぜかハルマはいつもフォルとすれ違ってばかりだよな。まぁ聞いてみてくれ。」


そう言って立ち去る副指揮官の後ろ姿を見送りながら、私は副指揮官の何気ないひと言が気になった。確かにそうだ。フォルが居る時にはハルは居なくて、ハルが現れると、フォルがいない。これは偶然の一致なのか?

フォルを知らないハルマに、ハルマを知らないフォル。私にはなぜかその事に妙な引っ掛かりを覚えた。







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