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味方の元へ

カミングアウトはどこまで

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ウィルにどうして敵陣に追われて居たのかと尋ねられて、僕は落ち着かない気持ちでベッドを降りた。シャツを羽織って、窓から朝日が登りそうな薄紫色の空を見つめていたら、僕の口から思わず意図しない言葉が出てしまった。

僕はこの世界の人間じゃないと言ってしまってから、ハッとして振り返ると、ウィルは怪訝そうな顔で僕を見つめていた。僕は、急に告白するのが怖くなった。


この世界の人間じゃない事と、僕が馬人間だって事と、どっちが受け入れられるだろうか。僕は笑って誤魔化すと、ウィルに言った。

「だからね、僕はこの国の人間じゃないって言ったんだ。でも敵の国の人間でもないよ?本当は僕、気がついたらあの泉に居たんだよ。だから本当に自分の出生が分からないんだ。

でも、この国には僕みたいな人間は見かけない。僕は急に不安に駆られて、僕に似た人間はいないかと手掛かりを探しに出掛けたんだ。でも結局会えなかった。


僕は自分の焦りが馬鹿みたいに思えて、やっぱりウィルの側に帰ろうって戻ることにしたんだ。でも途中で魔物に追われて、道を間違えてしまったんだ。

気づけば僕は敵国の砦近くの森にいた。僕は敵の騎士たちに見つかったら何をされるか分からないと思った。だから夜になるまで隠れて、馬に乗って逃げようと息を殺してじっとしていた。


夜ひと気が無くなってから馬場に向かうと、味方の旗があるのに気づいたんだ。僕は不思議に思って、近づいてみた。今夜は満月でよく見えたから。そこには味方の旗に似たものが五本あったよ。

僕が不思議に思っていると、誰かが起き出した気がしたんだ。僕は慌てて馬場から馬を連れ出すと、何とか馬に跨って砦から離れた。


すると味方の砦が見えてきたけど、後ろから追われてる気がした僕はこのままだと捕まってしまうと思った。特に後ろから射掛けられたら終わりだと思った僕は、森の近くで馬から降りて、こっそりとこの砦目指して歩き出したんだけど…。

敵の騎士が追ってきてしまった。きっと僕が馬を連れ出したのを見てたんだと思う。


僕は隠れて騎士が諦めて立ち去るのを待ってたけど、森の奥から来た魔物から逃れるために、僕は慌てて飛び出して砦まで夢中で走った。

それから僕が覚えてるのは後ろに迫る騎士と転んでしまった事と、僕を掴む腕の感触だけ…。ウィルが助けてくれたんでしょ?本当にありがとう。」
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