34 / 131
人間生活始まるよ〜?
ウィリアムside矛盾するハルマ
しおりを挟む
好奇心を滲ませた顔で王都の街をそぞろ歩くハルマは、可愛らしかった。その印象的な風貌は街行く人の注目を集めていたけれど、ハルマ自身は見られている事よりも周囲を楽しむ事に忙しいようだった。
サラリと揺れる艶のある黒髪は見た事の無いデザインで整えられていて、ハルマのこの国には見られない透明感のあるクリーム色の肌の色と、目が合うと離せなくなるあのもの言いたげな黒い瞳を引き立てていた。
ハルマを泉から連れ戻った日、私は心持ちウキウキしながら、約束通り夕食に連れ出しに部屋へ行ったんだ。すると廊下をこちらに向かって、ハルマと友人のケインが歩いて来た。
明らかにケインはハルマをターゲットにしたのが判って、私は胸の奥がザワつくのを感じた。友人ながらケインは普段から遊び人で知られていて、私はハルマをケインから引き剥がしたいと思った。
そんな風に思う自分にも戸惑ったけれど、その前にハルマが私の側に来てくれた。そんなハルマにすっかり気分は上昇した。ハルマは私が泉から連れてきた関係で、副指揮官に面倒を見るように任されていたんだ。
私はそれを理由に、ハルマの様子を見るために毎日夕食を一緒に摂っていた。ハルマは私にいつもキラキラした眼差しを向けてくれて、すっかり懐いてくれた。
周囲の騎士たちがその事で私にやっかみを言うほど、実はハルマは人気があった。観察していると、ハルマはあからさまな誘いにもキョトンとして、鈍感だった。
それか、あまりその手のことに経験が無くてどうしていいのか分からないのかもしれなかった。私を慕ってくれる、19歳という割にこなれていない可愛いハルマと過ごすうちに、どんどん彼に惹かれていったんだ。
その週末、私はハルマと連れ立って騎士団の制服を仕立てる為に王都にいた。思わず似合いそうな服を贈ってしまったけれど、遠慮がちなハルマに、私にはますます好感を持った。
でも、楽しげに街歩きを楽しむハルマから、明らかなお誘いを受けた時は驚きと一緒に、私が受けた純情そうな印象とのギャップになぜか腹立ちを感じた。
私はハルマのしなやかな腕を掴むと、路地の有名な連れ込み街へ足を踏み入れた。ここは何度か利用した事があった。私は自分でも分からない腹立ちに任せて、シャツのボタンを外して私を誘うハルマを、何も言わずに抱き寄せると乱暴に口づけた。
ハルマが息を呑んで、私の口づけに素直に従っていたけれど、直ぐにハルマがほとんど経験がない事が分かってしまった。私がその事をハルマに告げると、ハルマは潤んだ黒い瞳を私に向けて言った。
「やめないで…。」
誘惑をしてきた、こなれたハルマと、口づけに慣れていないウブなハルマ。どちらが本当の君なのか…。
サラリと揺れる艶のある黒髪は見た事の無いデザインで整えられていて、ハルマのこの国には見られない透明感のあるクリーム色の肌の色と、目が合うと離せなくなるあのもの言いたげな黒い瞳を引き立てていた。
ハルマを泉から連れ戻った日、私は心持ちウキウキしながら、約束通り夕食に連れ出しに部屋へ行ったんだ。すると廊下をこちらに向かって、ハルマと友人のケインが歩いて来た。
明らかにケインはハルマをターゲットにしたのが判って、私は胸の奥がザワつくのを感じた。友人ながらケインは普段から遊び人で知られていて、私はハルマをケインから引き剥がしたいと思った。
そんな風に思う自分にも戸惑ったけれど、その前にハルマが私の側に来てくれた。そんなハルマにすっかり気分は上昇した。ハルマは私が泉から連れてきた関係で、副指揮官に面倒を見るように任されていたんだ。
私はそれを理由に、ハルマの様子を見るために毎日夕食を一緒に摂っていた。ハルマは私にいつもキラキラした眼差しを向けてくれて、すっかり懐いてくれた。
周囲の騎士たちがその事で私にやっかみを言うほど、実はハルマは人気があった。観察していると、ハルマはあからさまな誘いにもキョトンとして、鈍感だった。
それか、あまりその手のことに経験が無くてどうしていいのか分からないのかもしれなかった。私を慕ってくれる、19歳という割にこなれていない可愛いハルマと過ごすうちに、どんどん彼に惹かれていったんだ。
その週末、私はハルマと連れ立って騎士団の制服を仕立てる為に王都にいた。思わず似合いそうな服を贈ってしまったけれど、遠慮がちなハルマに、私にはますます好感を持った。
でも、楽しげに街歩きを楽しむハルマから、明らかなお誘いを受けた時は驚きと一緒に、私が受けた純情そうな印象とのギャップになぜか腹立ちを感じた。
私はハルマのしなやかな腕を掴むと、路地の有名な連れ込み街へ足を踏み入れた。ここは何度か利用した事があった。私は自分でも分からない腹立ちに任せて、シャツのボタンを外して私を誘うハルマを、何も言わずに抱き寄せると乱暴に口づけた。
ハルマが息を呑んで、私の口づけに素直に従っていたけれど、直ぐにハルマがほとんど経験がない事が分かってしまった。私がその事をハルマに告げると、ハルマは潤んだ黒い瞳を私に向けて言った。
「やめないで…。」
誘惑をしてきた、こなれたハルマと、口づけに慣れていないウブなハルマ。どちらが本当の君なのか…。
1
お気に入りに追加
1,051
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる