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人間に戻っちゃった!
僕は魔物かな
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ケインと連れ立って歩いて行くと、前方からウィリアムが歩み寄って来た。そう言えば、迎えに来るって言ってたな。ウィリアムは僕をチラリと見て少し驚いた表情を浮かべた後、眉を顰めてケインを見て言った。
「私が彼を迎えに行くと言ってあったはずだけど…。」
すると、ケインは僕の肩に手を回して僕の顔を覗き込んで言った。
「ちょっと時間があったからさ。こいつも暇なんじゃ無いかって思って、早く迎えに行ってやろうと思っただけだぜ?こいつ見てくれよ。随分見違えたよな?おい、ウィル、そんな怖い顔しなくても、とって食いはしないさ。…今はね?」
ん?何か今よく聞こえなかったけど…。僕はウィリアムの視線が怖くてケインからそっと離れて言った。
「すみません。部屋で待っていたら良かったですね。僕、すっかりお腹が空いちゃいました。そう言えば僕、昨日から食べてないかも…。」
二人はギョッとした様に、慌てて僕を食堂へ連れて行ってくれた。広い食堂はかなりの人数がもう食べ始めていて、いかにも騎士の様なガタイの良い人達が多い一方で、事務方なのかなと思わせる人達もいた。
「ここは王国騎士団専用の食堂なんだ。だから男っ気が多いけどな、皆気の良い奴らだから安心しなよ。」
ケインが僕にウィンクして、先に食事を取りに列に並んだ。なるほど、ここは学食みたいだ。僕はふいに大学のキャンパスを思い出して、馬生活の時にはあまり考えなかった前世?のことを思った。
「…ルマ、ハルマ。どうしたんだ?大丈夫か?」
ウィリアムが緑色の瞳で僕を見つめて心配そうに呼びかけていた。僕は物思いからハッと浮上すると、にっこりと微笑んでウィリアムの後をついて行った。
王国騎士団で三ヶ月ほど馬生活していた僕だったが、人間のエリアには立ち入ったことが無かった僕は、物珍しげに辺りを見回した。
すると僕は妙に周囲の人間と目が合った。…なんかデジャブ。選考会でもこんな視線を浴びた気がする。確かに僕は、この世界の外人顔の中では、のっぺり系の見慣れない顔だろうけど…。
「ウィル、その子か?森から連れて来たのって。怖いくらい魅惑的だ。もしかして魔物なんじゃ無いか?俺たちをたぶらかしそうだ。」
いかついおっさんがそんな風に騒ぐので、周囲の人達もガヤガヤと楽しげに騒ぎ立てた。するとウイリアムがそのおっさんの側に近寄って言った。
「彼は指揮官がここに留め置いた人物だ。余計な事は言わぬ方が良いし、手出しは無用だ。」
すると騒ぎ立ててた人達が、急に勢いを無くして肩をすくめて僕を揶揄うのをやめた。
「ハルマ、気にしなくて良い。あいつらも悪気はないんだ。気を悪くしないでくれ。」
そう優しく言って微笑むウィリアムがやっぱり好きだなと思ったけれど、僕は彼らの言う事は間違ってない気もした。だって昨日まで馬だった僕は、はっきり言って魔物の類いじゃないのかな?
「私が彼を迎えに行くと言ってあったはずだけど…。」
すると、ケインは僕の肩に手を回して僕の顔を覗き込んで言った。
「ちょっと時間があったからさ。こいつも暇なんじゃ無いかって思って、早く迎えに行ってやろうと思っただけだぜ?こいつ見てくれよ。随分見違えたよな?おい、ウィル、そんな怖い顔しなくても、とって食いはしないさ。…今はね?」
ん?何か今よく聞こえなかったけど…。僕はウィリアムの視線が怖くてケインからそっと離れて言った。
「すみません。部屋で待っていたら良かったですね。僕、すっかりお腹が空いちゃいました。そう言えば僕、昨日から食べてないかも…。」
二人はギョッとした様に、慌てて僕を食堂へ連れて行ってくれた。広い食堂はかなりの人数がもう食べ始めていて、いかにも騎士の様なガタイの良い人達が多い一方で、事務方なのかなと思わせる人達もいた。
「ここは王国騎士団専用の食堂なんだ。だから男っ気が多いけどな、皆気の良い奴らだから安心しなよ。」
ケインが僕にウィンクして、先に食事を取りに列に並んだ。なるほど、ここは学食みたいだ。僕はふいに大学のキャンパスを思い出して、馬生活の時にはあまり考えなかった前世?のことを思った。
「…ルマ、ハルマ。どうしたんだ?大丈夫か?」
ウィリアムが緑色の瞳で僕を見つめて心配そうに呼びかけていた。僕は物思いからハッと浮上すると、にっこりと微笑んでウィリアムの後をついて行った。
王国騎士団で三ヶ月ほど馬生活していた僕だったが、人間のエリアには立ち入ったことが無かった僕は、物珍しげに辺りを見回した。
すると僕は妙に周囲の人間と目が合った。…なんかデジャブ。選考会でもこんな視線を浴びた気がする。確かに僕は、この世界の外人顔の中では、のっぺり系の見慣れない顔だろうけど…。
「ウィル、その子か?森から連れて来たのって。怖いくらい魅惑的だ。もしかして魔物なんじゃ無いか?俺たちをたぶらかしそうだ。」
いかついおっさんがそんな風に騒ぐので、周囲の人達もガヤガヤと楽しげに騒ぎ立てた。するとウイリアムがそのおっさんの側に近寄って言った。
「彼は指揮官がここに留め置いた人物だ。余計な事は言わぬ方が良いし、手出しは無用だ。」
すると騒ぎ立ててた人達が、急に勢いを無くして肩をすくめて僕を揶揄うのをやめた。
「ハルマ、気にしなくて良い。あいつらも悪気はないんだ。気を悪くしないでくれ。」
そう優しく言って微笑むウィリアムがやっぱり好きだなと思ったけれど、僕は彼らの言う事は間違ってない気もした。だって昨日まで馬だった僕は、はっきり言って魔物の類いじゃないのかな?
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