8 / 131
馬になっちゃった!
魔物退治?
しおりを挟む
僕たちに話しかけて来たのは、あの副指揮官だった。この人は結構現場の偉い人なのかな。でも何でもやってるのを見ると中間管理職なのかもね。
僕がちょっぴり同情の気持ちで挨拶すると、副指揮官は少し笑って言った。
「しかしほんとこいつは人間みたいだ。俺に愛想を振り撒くのもちゃんと忘れないんだから。もしこいつが人間なら、きっと凄い勢いで出世しただろうな。ははは。
お前も自分の馬を持つのを待ってて良かったな。なかなかこの様な素晴らしい馬と巡り合うのは難しいからな。まぁ、俺の愛馬もなかなかのものだがな?…少し休憩したら今日は森に行って魔物退治だ。
お前の馬は初めてだろう?怯えるかもしれないから後方にいる様にしろ。下手に怯えて怪我をさせたくないからな。こればっかりは慣れてもらうしかないな。お前も頑張れよ?」
そう言って副指揮官が僕の首筋をポンポンと叩いて立ち去った。ご主人様は仲間に呼ばれて騎士達の集まりへ行ってしまった。…僕は今聞いた事の整理がつかなかった。
僕は先輩馬達のいる場所へ行くと、唐突に尋ねた。
『先輩、あの、さっき副指揮官が魔物退治に行くとか言ってたんですけど…。』
先輩馬達は頭を振りながら、興奮した様に言った。
『ああ、マジで燃えるぜ?魔物の森は恐ろしいけど、ご主人様達が魔剣でバッサバッサとやってくれるから、俺たちがどうこうなる訳じゃないから安心しな。まぁ、お前は新参者だから、後方で俺たちの華麗な動きを見て勉強するんだな。』
僕は側にいた新参者の仲間の栗毛に尋ねた。
『…なぁ、君は魔物って見たことあるか?』
栗毛は相変わらず僕を胡乱な眼差しで見つめると、ボソボソと話し出した。
『…俺は一度だけある。牧場の近くに現れたんだ。馬丁達が大鎌を持って、ズタズタに引き裂いてたけど。ちょっとエグかったな。仲間達は皆怯えてたけど、まぁ幼かったからしょうがない。』
僕は馬丁でさえ退治出来るのなら、騎士達にとっては朝飯前だろうと踏んで、さっきよりも気楽な気持ちで魔物退治を迎えることが出来たんだ。
それに元人間の僕にとって、魔物の響きは厨二病を刺激した。僕はすっかりウキウキとして前脚で土を引っ掻いた。おっと、いけない。馬らしく行動しちゃったぜ。
でも、それがあんな事になるなんて、神様は僕に一体どれだけびっくり箱を用意すれば気が済むんだろうね?
僕がちょっぴり同情の気持ちで挨拶すると、副指揮官は少し笑って言った。
「しかしほんとこいつは人間みたいだ。俺に愛想を振り撒くのもちゃんと忘れないんだから。もしこいつが人間なら、きっと凄い勢いで出世しただろうな。ははは。
お前も自分の馬を持つのを待ってて良かったな。なかなかこの様な素晴らしい馬と巡り合うのは難しいからな。まぁ、俺の愛馬もなかなかのものだがな?…少し休憩したら今日は森に行って魔物退治だ。
お前の馬は初めてだろう?怯えるかもしれないから後方にいる様にしろ。下手に怯えて怪我をさせたくないからな。こればっかりは慣れてもらうしかないな。お前も頑張れよ?」
そう言って副指揮官が僕の首筋をポンポンと叩いて立ち去った。ご主人様は仲間に呼ばれて騎士達の集まりへ行ってしまった。…僕は今聞いた事の整理がつかなかった。
僕は先輩馬達のいる場所へ行くと、唐突に尋ねた。
『先輩、あの、さっき副指揮官が魔物退治に行くとか言ってたんですけど…。』
先輩馬達は頭を振りながら、興奮した様に言った。
『ああ、マジで燃えるぜ?魔物の森は恐ろしいけど、ご主人様達が魔剣でバッサバッサとやってくれるから、俺たちがどうこうなる訳じゃないから安心しな。まぁ、お前は新参者だから、後方で俺たちの華麗な動きを見て勉強するんだな。』
僕は側にいた新参者の仲間の栗毛に尋ねた。
『…なぁ、君は魔物って見たことあるか?』
栗毛は相変わらず僕を胡乱な眼差しで見つめると、ボソボソと話し出した。
『…俺は一度だけある。牧場の近くに現れたんだ。馬丁達が大鎌を持って、ズタズタに引き裂いてたけど。ちょっとエグかったな。仲間達は皆怯えてたけど、まぁ幼かったからしょうがない。』
僕は馬丁でさえ退治出来るのなら、騎士達にとっては朝飯前だろうと踏んで、さっきよりも気楽な気持ちで魔物退治を迎えることが出来たんだ。
それに元人間の僕にとって、魔物の響きは厨二病を刺激した。僕はすっかりウキウキとして前脚で土を引っ掻いた。おっと、いけない。馬らしく行動しちゃったぜ。
でも、それがあんな事になるなんて、神様は僕に一体どれだけびっくり箱を用意すれば気が済むんだろうね?
13
お気に入りに追加
1,052
あなたにおすすめの小説
【完結】僕の大事な魔王様
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。
「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」
魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。
俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/11……完結
2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位
2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位
2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位
2023/09/21……連載開始
釣った魚、逃した魚
円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。
王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。
王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。
護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。
騎士×神子 攻目線
一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。
どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。
ムーンライト様でもアップしています。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
エルフの国の取り替えっ子は、運命に気づかない
コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26
BL
エルフの国の王子として生まれたマグノリアンは人間の種族。そんな取り替えっ子の彼は、満月の夜に水の向こうに人間の青年と出会う。満月の夜に会う様になった彼と、何処か満たされないものを感じていたマグノリアンは距離が近づいていく。
エルフの夜歩き(恋の時間※)で一足飛びに大人になるマグノリアンは青年に心を引っ張られつつも、自分の中のエルフの部分に抗えない。そんな矢先に怪我で記憶を一部失ったマグノリアンは青年の事を忘れてしまい、一方で前世の記憶を得てしまった。
18歳になった人間のマグノリアンは、父王の計らいで人間の国へ。青年と再開するも記憶を失ったマグノリアンは彼に気づかない。
人間の国の皇太子だった青年とマグノリアン、そして第二王子や幼馴染のエルフなど、彼らの思惑が入り乱れてマグノリアンの初恋の行方は?
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
ラストダンスは僕と
中屋沙鳥
BL
ブランシャール公爵令息エティエンヌは三男坊の気楽さから、領地で植物の品種改良をして生きるつもりだった。しかし、第二王子パトリックに気に入られて婚約者候補になってしまう。側近候補と一緒にそれなりに仲良く学院に通っていたが、ある日聖女候補の男爵令嬢アンヌが転入してきて……/王子×公爵令息/異世界転生を匂わせていますが、作品中では明らかになりません。完結しました。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる