もふもふと一緒 〜俺は狙われているみたいだ〜

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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祥一朗おこなの?

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 急に祥一朗が笑顔を引っ込めて、俺の手をぐいぐいと引っ張って歩き出した。俺は何だかいつもの祥一朗じゃ無い気がして、戸惑いを感じていた。

「…祥一朗?…祥一朗!」

 俺が立ち止まると、祥一朗はハッとしたように我に返った。俺の険しい顔を見て眉を下げた祥一朗は、それでも口元を引き締めていつもの優しい笑顔を見せなかった。


 俺は何かが祥一朗の気に障ったんだと、さっきまでの事を思い返した。でも心当たりが無かった。

「…祥一朗、怒ってる?俺、何か気に触ることしちゃった?」

 祥一朗は深くため息をつくと、やっぱり強張った顔でそっぽを向くと一人で歩き出した。こんな祥一朗は珍しい。俺は動揺を隠せずに取り付く島のない祥一朗を黙って追いかけた。

 大学近くの祥一朗の車の側まで来ると、俺はこのまま祥一朗と一緒に居るのが何だか辛くなった。


「祥一朗、怒ってるんだろ?理由を言ってくれないと、俺にはどうしたらいいか分からないよ…。」

 いつでも全面的に俺の味方だった祥一朗が、俺に壁を作ってる。それが思いの外ショックで、泣けてきた。でも気がつけば俺は祥一朗の腕の中に居た。俺はその当たり前に思っていた温かさが、ふとしたきっかけで失うかもしれないものだったんだって分かったんだ。

 相変わらず祥一朗は黙っていたけど、諦めた様に息をつくと俺を抱きしめながらささやいた。


「雪弥が悪いわけじゃない。私の心が狭いせいで、雪弥に八つ当たりしてしまったんだ。…すまない。許してくれるか?」

 俺は首を振って、ぎゅっと祥一朗を抱きしめた。

「祥一朗は理由なく怒る奴じゃないから…。言って。俺に何でも言って。俺、祥一朗と喧嘩するのは耐えられないよ…。」

 そんな俺に祥一朗は、あの俺の好きな柔らかな眼差しで見つめると言った。


「雪弥…。雪弥には降参だ。俺の勝手な嫉妬も、腹立ちも雪弥の前ではあっという間に消えてしまう。

 研究室で高山助教授と雪弥が妙な雰囲気だったのも気になったし、そもそも二人だけになってただろう?それは約束を破った雪弥が悪い。

 が、私が関われない高校での話で、勝手に腹を立てたのは悪かった。雪弥には自由に高校生活を楽しむ権利があるんだし。私がとやかく言えないだろう?」

 そう言った祥一朗は叱られた犬の様な萎れ具合で、俺は胸がキュンとしてもう一度抱きしめたんだ。


 ああ、祥一朗って時々凄い可愛いんだよ。

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