上 下
175 / 187
コントロール

椿とお試し実験

しおりを挟む
「いい?じゃあ、今からゆきちゃんを発情させるからね?」

もの凄いいい顔で、椿は俺に近づいてきた。結局、高山助教授の研究室での実験は幸先の良いものだったので、俺たちは祝杯をあげる気分であっという間に椿の寮室へ連れ込まれたんだ。

まぁ、俺も早速フェロモンコントロールは試してみたかったし、上手くいけば俺の生活が生きやすくなる。俺は頷くとちょっとだけ緊張しながら椿のフェロモンを待った。


椿は俺をそっと抱き寄せると、首筋の匂いを深呼吸して大きく吸い込んだ。そう言えば、こいつらよく俺の匂い嗅いでるな…。

途端に俺はゾクゾクと背中を駆け上がる何とも言えない焦燥感を感じた。実験の時は慣れない異質なものに侵略される様なザワザワ感だったけれど、このゾクゾクするものは気持ちいいものだと俺は知っている。

心臓のドキドキは急に煩く感じて、俺は熱いため息を吐き出した。椿は赤らんだ顔でにっこり笑って言った。


「やっぱり。実験の時とは違うフェロモンだ。さっき実験室で出たフェロモンは確かに凄まじい量だったけど、直接俺の股間を刺激する様なピリピリするものだったんだ。

でも今ゆきちゃんが出してるフェロモンは甘くて、柔らかくて、俺にまとわりつく様な、それでいて身体を熱くさせる素敵なものだよ。もしかしてこれが鎖の関係のフェロモンなのかな?

ゆきちゃんはどう感じる?」


俺はぼうっと椿のフェロモンに包まれて、ヒタヒタと温かい海の波打ち際にいる様な緩んだ気分だった。時々ゾクゾクとする快感が俺の身体を走り抜けていくので、俺の股間はすっかりビクビクと脈打っていた。

「…うん。気持ちいい。つばきのフェロモン、好き。」

俺はもう呂律も回らない感じで、ぼんやりしていた。椿はそんな俺を見て、ギラついた眼差しをしかめると、ため息をついて言った。


「ああ、もう頭から喰いたいのに、実験の検証しなきゃいけないなんて辛い!ゆきちゃん、どーする?フェロモンのコントロール頑張れそう?」

俺は椿の言葉に段々覚醒してきて、ハッと目を見開くと、大きく息を吸って吐いた。

「悪い。実験する…。ちょっと支えてて。」

椿に支えてもらいながら、俺は椿のもたらした柔らかなものを手の先へと集めていった。手の中に凄く熱いものが溜まっていく感覚があって、それと同時にぼんやりとした意識がハッキリしてきた。


「ゆきちゃん、出来たみたいじゃない?さっきよりゆきちゃんのフェロモン薄くなった気がする。ゆきちゃんもスッキリしちゃったし。

…じゃあ、実験はここまでで、これからはご褒美タイムって事で大丈夫だよね?」

そう言って機嫌良く笑う椿の笑顔が怖かった…。



~お知らせ~
新作公開開始しました♡
ほのぼの系オメガバース三兄弟BL『三好家の末っ子は今日もご機嫌』です♪
悲壮感の無いポップなオメガバースの世界を書いてみました笑
良かったら覗いてみてくださいね☆

よろしくお願いします!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

(…二度と浮気なんてさせない)

らぷた
BL
「もういい、浮気してやる!!」 愛されてる自信がない受けと、秘密を抱えた攻めのお話。 美形クール攻め×天然受け。 隙間時間にどうぞ!

友達が僕の股間を枕にしてくるので困る

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
僕の股間枕、キンタマクラ。なんか人をダメにする枕で気持ちいいらしい。

αなのに、αの親友とできてしまった話。

おはぎ
BL
何となく気持ち悪さが続いた大学生の市ヶ谷 春。 嫌な予感を感じながらも、恐る恐る妊娠検査薬の表示を覗き込んだら、できてました。 魔が差して、1度寝ただけ、それだけだったはずの親友のα、葛城 海斗との間にできてしまっていたらしい。 だけれど、春はαだった。 オメガバースです。苦手な人は注意。 α×α 誤字脱字多いかと思われますが、すみません。

全寮制男子高校生活~行方不明になってた族の総長が王道学園に入学してみた~

雨雪
BL
スイマセン、腐男子要素どこいった状態になりそうだったんでタイトル変えました。 元、腐男子が王道学園に入学してみた。腐男子設定は生きてますがあんま出てこないかもです。 書いてみたいと思ったから書いてみただけのお話。駄文です。 自分が平凡だと本気で思っている非凡の腐男子の全寮制男子校での話。 基本思いつきなんでよくわかんなくなります。 ストーリー繋がんなくなったりするかもです。 1話1話短いです。 18禁要素出す気ないです。書けないです。 出てもキスくらいかなぁ *改稿終わって再投稿も終わったのでとりあえず完結です~

とある隠密の受難

nionea
BL
 普通に仕事してたら突然訳の解らない魔法で王子の前に引きずり出された隠密が、必死に自分の貞操を守ろうとするお話。  銀髪碧眼の美丈夫な絶倫王子 と 彼を観察するのが仕事の中肉中背平凡顔の隠密  果たして隠密は無事貞操を守れるのか。  頑張れ隠密。  負けるな隠密。  読者さんは解らないが作者はお前を応援しているぞ。たぶん。    ※プロローグだけ隠密一人称ですが、本文は三人称です。

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

処理中です...