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俺が譲れる事は

自己解決

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俺は冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを取り出すと、ひと息に飲んだ。これが大人だったら、きっとお酒でも飲んで憂さ晴らしって所だろうが、いかんせん俺はまだ未成年だ。

俺はバスローブのまま、ベッドに座るとスマホを拾い上げて着信メッセージを眺めた。

三人からそれぞれメッセージが来ていた。明日の朝迎えに行くとの事だったけれど、三人に迎えに来られるとか、俺って幼稚園児みたいだ。俺は三人の過保護ぶりに嬉しいやら、めんどくさいやらで、一向にモヤモヤが晴れなかった。俺は祥一朗に電話を掛けた。


呼び出し音が数回鳴った後に、祥一朗の甘やかす様な低い声が聞こえてきた。

「雪弥。電話くれたのか?嬉しいよ。…何かあったのか?」

俺は今ここに祥一朗が居てくれたら良いのにと思いながら、見えないのに首を振って話した。

「…ううん、何でもない。ちょっと三人と喧嘩しただけ。っていうか、俺が八つ当たりしちゃっただけだよ。」

祥一朗はスマホの向こう側でしばらく黙っていたけれど、こう言った。


「今、たまたま打ち合わせがあって、寮の近くに居るんだ。今から20分あればそっちに行けるけど、迎えに行こうか?寮に居たくないんじゃないかと思って。授業中なら、こっそり抜け出せるだろ?」

俺は迷った。ここで祥一朗に甘えたいのは山々だけど、それって結局逃げ回ってる事と一緒なんじゃないかって。俺はしばらく躊躇したけれど、今日は一人で色々考えたいからと祥一朗に言った。


「そうか。私もただ雪弥に会いたかっただけだったんだが。雪弥がそう言うなら、また日を改めて会おう。また連絡する。…今日連絡くれて嬉しかったよ。愛してるよ、雪弥。じゃあ。」

電話の切れた音を耳に残しながら、俺はスマホを握ったままベッドに仰向けに倒れた。

祥一朗の甘い囁きに俺は会いたくて堪らなくなった。鎖の関係なんだ。甘やかしてもらっても良いんじゃないか?もう一人の俺がささやく。でも俺が授業をサボって部屋に閉じ籠ったのは、現実逃避するためじゃないだろ?


俺はため息をつくと、取り敢えず眠ろうと思った。疲れた頭じゃいい考えは浮かばない。俺はバスローブを脱いで、パンツだけ履くと肌触りの良いケットにくるまってベッドに丸くなった。こんな昼間から眠れないかと思ったけど、俺はあっという間に気怠い睡魔に襲われていった。

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