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俺が譲れる事は
高山side羨望と諦め
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好奇心だけいっぱいの眼差しで、私を見つめる目の前の高校生は、確かに幼い頃に初めて会ったあの人によく似ていた。
あの日、小学校は創立記念日で休校だった。私の父親には仲の良い双子の兄弟がいた。父親は弟だったけれど、若いうちに母親と出会って結婚していたので、独身の伯父とはそうしょっちゅう会っていたわけではなかった。
確かあの日は、久しぶりに忙しい伯父と会うことが出来たんだ。子供の私から見ても父親よりもいかめしい伯父が、一緒に連れてきて私たちに会わせたのが白山時也、その人だった。
私は目の前の黒崎君を見れば見るほど、あの日の白山さんを思い出した。彼と違うのは髪の色と、話し始めると受ける印象だろうか。
彼、白山さんは、全ての人を振り向かせる太陽のような人だった。一方、目の前の青年は綺麗な顔はよく似ているのに、月のように儚げな風情で、惹きつけられて目を逸らすことが出来ない。でも二人の放つオーラは本当によく似ている…。
私は人が心から愛しい者を見詰める熱い眼差しというものを、伯父が白山さんを連れてきた時に知ったんだ。
もちろん私の両親も愛し合っていたには違いないけれど、子供の私の前では蕩けるように見つめ合ったりはしなかったから…。ある意味ゴリラ系の家系同士の純血主義のマッチングがたまたま上手くいった両親は、幼馴染で気の置けない関係なんだろう。
でも丁度物心のつく頃の、10歳の柔らかな子供の心に訴えてくる情愛という、命を掛けて愛し合うような激情さえ感じるそれを、伯父は目の前の美しい男に向けていた。それはあっという間に私の心の奥深くに住み着いてしまった。羨望という名前の希望だったかもしれない。
それから何度か伯父と一緒の白山さんに会う機会があった。太陽の様な明るい白山さんは、段々大人になっていく私には眩し過ぎた。そして、大人になるにつけ、自分にはあのような激情が手に入らないこと、奇跡でも起きない限り見つからないことが明らかになっていった。
それは伯父を妬む気持ちに代わって、私はいつの間にか伯父たちに会う機会を避ける様になっていたんだ。
そんな私の目の前に既視感さえ感じる、黒崎雪弥が目の前に現れた。私はいつもなら絶対しない事をした。初めて会った相手に無断でフェロモンをぶつけるという恥ずべき行為だ。でも私はそれを止める気がまるっきりなかったんだ。
あの日、小学校は創立記念日で休校だった。私の父親には仲の良い双子の兄弟がいた。父親は弟だったけれど、若いうちに母親と出会って結婚していたので、独身の伯父とはそうしょっちゅう会っていたわけではなかった。
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私は目の前の黒崎君を見れば見るほど、あの日の白山さんを思い出した。彼と違うのは髪の色と、話し始めると受ける印象だろうか。
彼、白山さんは、全ての人を振り向かせる太陽のような人だった。一方、目の前の青年は綺麗な顔はよく似ているのに、月のように儚げな風情で、惹きつけられて目を逸らすことが出来ない。でも二人の放つオーラは本当によく似ている…。
私は人が心から愛しい者を見詰める熱い眼差しというものを、伯父が白山さんを連れてきた時に知ったんだ。
もちろん私の両親も愛し合っていたには違いないけれど、子供の私の前では蕩けるように見つめ合ったりはしなかったから…。ある意味ゴリラ系の家系同士の純血主義のマッチングがたまたま上手くいった両親は、幼馴染で気の置けない関係なんだろう。
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それから何度か伯父と一緒の白山さんに会う機会があった。太陽の様な明るい白山さんは、段々大人になっていく私には眩し過ぎた。そして、大人になるにつけ、自分にはあのような激情が手に入らないこと、奇跡でも起きない限り見つからないことが明らかになっていった。
それは伯父を妬む気持ちに代わって、私はいつの間にか伯父たちに会う機会を避ける様になっていたんだ。
そんな私の目の前に既視感さえ感じる、黒崎雪弥が目の前に現れた。私はいつもなら絶対しない事をした。初めて会った相手に無断でフェロモンをぶつけるという恥ずべき行為だ。でも私はそれを止める気がまるっきりなかったんだ。
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