上 下
150 / 187
俺が譲れる事は

助教授の知り合い

しおりを挟む
 祥一朗の心配は、まぁ実際俺には全くピンとこない。俺はそもそも通りすがりにフェロモン飛ばされても感じないことが多いからだ。しかも俺のマーキングは結構強力なんじゃないかな?でもゴリラ系はまた別なのかな?

 高山助教授は顎に手を当てて俺を見つめた。そして、身を乗り出すと祥一朗に尋ねた。

「秘密じゃなければ、マーキングのメンバーの家系を教えてもらっても良いかな?多分うちの研究室には君達のマーキングと戦えるフェロモン持ってる学生はいないと思うけどね。念のため。」


 祥一朗は高山助教授に後の三人の話をした。それをモバイルに打ち込みながら聞いていた高山助教授は、眉を持ち上げて感心したように言った。

「鰐2人に、虎に、獅子。しかも白獅子か…。強いね。黒崎君はずいぶん大事にされてるようだ。…黒崎君自身は一体何の家系か話せるかい?いや、私から当てようか。実は君は、さっき話した知り合いによく似てるんだ。私も最後に会ったのはかなり前だけどね。だからオープンキャンパスの説明会で最初に会った時に驚いたのは、そのせいだ。君は…雪豹。違うかい?」


 俺と祥一朗は驚いて目を見開いたと思う。雪豹なんて、ほとんどの人が忘れてしまっている家系だからだ。そして俺はふと、高山助教授の知っている似たようなオーラを持つ知り合いが気になり始めた。それこそ1人しか居ないんじゃないのか?それとも俺たちの知らない遠い親戚か何かが居るんだろうか。

 そう思った俺が訝しげに高山助教授を見つめると、彼は肩をすくめて事もなげに言った。

「私は詳しくは知らないが、君の血縁関係じゃないのかな?白山時也って名前に心当たりはあるかい?」


 俺は首を振った。そんな名前を聞いたのは初めてだったけれど、そもそも俺は父親の名前を知らない。黒崎姓は母方の苗字だし。多分父親かなと思うけど、名前を知らないから知らないとしか言いようがないんだ。困った俺は祥一朗に助けを求めた。

「祥一朗、俺、父親の名前知らないんだ。」

 祥一朗はハッとしてから、俺と目を合わせて頷くと、難しい顔をしてから高山助教授に向き直って言った。


「実は雪弥は自分の父親に会ったことがないんです。もし、高山助教授の仰る知り合いが40~50代だとすると、父親の可能性があると思います。」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

うさキロク

雲古
BL
サイコパス鬼畜サボり魔風紀委員長に馬車馬の如く働かされながらも生徒会長のお兄ちゃんに安らぎを得ながらまぁまぁ平和に暮らしていた。 そこに転校生が来て平和な日常がちょっとずつ崩れていくーーーーーーーー

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

友達が僕の股間を枕にしてくるので困る

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
僕の股間枕、キンタマクラ。なんか人をダメにする枕で気持ちいいらしい。

(…二度と浮気なんてさせない)

らぷた
BL
「もういい、浮気してやる!!」 愛されてる自信がない受けと、秘密を抱えた攻めのお話。 美形クール攻め×天然受け。 隙間時間にどうぞ!

αなのに、αの親友とできてしまった話。

おはぎ
BL
何となく気持ち悪さが続いた大学生の市ヶ谷 春。 嫌な予感を感じながらも、恐る恐る妊娠検査薬の表示を覗き込んだら、できてました。 魔が差して、1度寝ただけ、それだけだったはずの親友のα、葛城 海斗との間にできてしまっていたらしい。 だけれど、春はαだった。 オメガバースです。苦手な人は注意。 α×α 誤字脱字多いかと思われますが、すみません。

全寮制男子高校生活~行方不明になってた族の総長が王道学園に入学してみた~

雨雪
BL
スイマセン、腐男子要素どこいった状態になりそうだったんでタイトル変えました。 元、腐男子が王道学園に入学してみた。腐男子設定は生きてますがあんま出てこないかもです。 書いてみたいと思ったから書いてみただけのお話。駄文です。 自分が平凡だと本気で思っている非凡の腐男子の全寮制男子校での話。 基本思いつきなんでよくわかんなくなります。 ストーリー繋がんなくなったりするかもです。 1話1話短いです。 18禁要素出す気ないです。書けないです。 出てもキスくらいかなぁ *改稿終わって再投稿も終わったのでとりあえず完結です~

とある隠密の受難

nionea
BL
 普通に仕事してたら突然訳の解らない魔法で王子の前に引きずり出された隠密が、必死に自分の貞操を守ろうとするお話。  銀髪碧眼の美丈夫な絶倫王子 と 彼を観察するのが仕事の中肉中背平凡顔の隠密  果たして隠密は無事貞操を守れるのか。  頑張れ隠密。  負けるな隠密。  読者さんは解らないが作者はお前を応援しているぞ。たぶん。    ※プロローグだけ隠密一人称ですが、本文は三人称です。

処理中です...