上 下
126 / 187
俺たちの進路

友達が欲しい

しおりを挟む
俺は最近、発情期前の変な注目のされ方をしていた頃の警戒心がすっかりなくなっていた。その反動か、普通の学生生活がしたいという湧き上がる欲求が、今までの分も溢れてきてるんだ。俺はまだツアーが出発しないのを横目で見ながら秋良に聞いた。

「なぁ、俺って友達作れないのかな?女の子しか恋愛対象じゃない男とか大丈夫だろ?最近、教室でも一部女子たちとは結構仲良くしてるよ。あんな風に友達増やしたいんだけど。」

秋良は聖と椿を見つめながら言った。


「…あー、どーかなぁ。問題はオーラだよなぁ。俺たちは雪が女子たちと仲良くしてくれる分には安心だけどね。実際俺たちだって、男だけがターゲットだった訳じゃないんだよね。聖、お前昔からどっちかというと女の子ばっかりだったろ?そこはどう考える?女子が指向の男を雪に近づけても大丈夫か?」

俺は今までその手の性的な事、恋愛的な事には、自分自身は勿論、周囲の人間のプライベートに関しても無関心だった。そっか、こいつらは男女どっちも対象だったな。今も?そう考えて、俺は少しモヤモヤを感じた。こんな時、俺は自分がこの世界にフィットしてないと感じてしまう。俺が異端なんだ、きっと。


「雪、どうした?」

優しい声で呼びかける聖に、俺はハッとして首を振って笑って誤魔化した。聖はちょっと考え込んだ眼差しで俺を見つめると、スッと近づいてきてぎゅっと抱きしめた。

「雪が不安になることなんて、何ひとつ無いんだ。俺は確かに雪が側にいる中学時代から、どちらかと言うと女の子の方が好きだった。秋良や聖みたいに雪に執着してた訳でもないし。でも、そうだな。近くにいたらやっぱり雪に食われるんだと思うよ。知らず知らずに心を喰われて、気づけば俺の心は全部雪の身体の中に入ってるっていうか。」


隣に居た椿が頭に後ろで手を組んで言った。

「そっかー。やっぱり男の友達はナシじゃないの?それともちょっとだけ話すレベルでいいの?ゆきちゃん、さっきみたいに懐いちゃって、知らずに聖のパターンてのも困るし。俺は反対。店長の匠さんや、楓さん?みたいなタイプなら大丈夫かもしれないけど。歳が近いとゆきちゃんのオーラにどうしても引きずられるよね?」

俺は聖の腕の中で、ハッと顔を上げて言った。

「なぁ、じゃあさ、オーラ出さないようにするってのどう?」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

男子学園でエロい運動会!

ミクリ21 (新)
BL
エロい運動会の話。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

αなのに、αの親友とできてしまった話。

おはぎ
BL
何となく気持ち悪さが続いた大学生の市ヶ谷 春。 嫌な予感を感じながらも、恐る恐る妊娠検査薬の表示を覗き込んだら、できてました。 魔が差して、1度寝ただけ、それだけだったはずの親友のα、葛城 海斗との間にできてしまっていたらしい。 だけれど、春はαだった。 オメガバースです。苦手な人は注意。 α×α 誤字脱字多いかと思われますが、すみません。

諦めようとした話。

みつば
BL
もう限界だった。僕がどうしても君に与えられない幸せに目を背けているのは。 どうか幸せになって 溺愛攻め(微執着)×ネガティブ受け(めんどくさい)

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...