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俺の祥一朗
鷹見side驚きの光景
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それはいつもの騒めく大学カフェテリアと何ら変わりはなかった。ひとりの女子学生が悲鳴に近い大きな声で友人に衝撃的な情報を告げるまでは。鱗川祥一朗が男子高校生と手を繋いでキャンパスを歩いてる?恋人っぽい?俺は耳に飛び込んできた情報が処理出来なくて、目の前のクラスメイトと顔を見合わせた。
祥一朗はこの応明大学の有名人で、大学から仲良くなった友人だ。俺自身は応明大学の附属高校出身で、大学内で幅を利かせている学生の一人ではある。附属高出身の学生は情報が集まり易く、スタートから仲間も多いので何かと有利なのは間違いないからだ。
その中で抜群の頭角を入学当初から示していたのは鱗川祥一朗だった。有名企業の御曹司で、自身も高校時代から新規事業を立ち上げていたらしく、大学生の今じゃ学生と企業人との二足の草鞋を履いてる忙しい奴だ。高校も名門全寮制進学校で頭の良さはピカイチだろう。そこでも生徒会長だったらしいし。
何を考えているのかわからない冷静沈着な雰囲気と、190cmはあるだろう恵まれたバランスの良い体格、鰐系の名家の御曹司と、人の注目を浴びるには十分な条件が揃っていた。俺はたまたま、グループワークのメンバーだったせいで話すようになったのだけれど、見かけよりはざっくばらんな男だった。
ただ、女にも男にもモテる鱗川だったが、多くの誘惑やフェロモンに全く動じなかった。俺たちは密かに鱗川は今話題の無性愛なんじゃないかと噂していたくらいだ。
それがここ、ひと月の間にロリコン疑惑なんて言う噂が、あっという間に拡がった。それは最近鱗川が、一週間大学を休んだ理由のせいだろう。「発情期の相手」それは珍しい理由ではない。高校生ならば。でも大学生で、しかも鱗川だ。あり得ない。
発情期は大体中学1、2年生が迎えるもので、その発散の相手は体格差もあって同世代か、高校1、2年までだ。まして鱗川は体格が良い。中学生相手で大丈夫なのかという余計な詮索と、色っぽい噂のない注目の学生だったお陰で、ロリコンなんじゃないかと憶測を呼んだ。
流石にクラスメイトで仲良くしている俺にも、正面切ってロリコン疑惑があるぞとは言えなかった。ただ、休み明けの鱗川の様子は、妙な色気と柔らかさがあって、俺は「相手」を鱗川が望んでやったのだと理解していた。そんなこんなの中で、このカフェを騒がす一報だ。
一緒にランチ後時間潰しをしていた俺たちは、目配せするとサッと立ち上がって、キャンパス内へ鱗川を探しに出たんだ。そして探す間もなくキャンパスの広場のど真ん中で発見したのは、目を疑う光景だった。高校生らしい制服を着た相手を抱き締めている、見たことのない甘い眼差しの鱗川がそこにはいた。
祥一朗はこの応明大学の有名人で、大学から仲良くなった友人だ。俺自身は応明大学の附属高校出身で、大学内で幅を利かせている学生の一人ではある。附属高出身の学生は情報が集まり易く、スタートから仲間も多いので何かと有利なのは間違いないからだ。
その中で抜群の頭角を入学当初から示していたのは鱗川祥一朗だった。有名企業の御曹司で、自身も高校時代から新規事業を立ち上げていたらしく、大学生の今じゃ学生と企業人との二足の草鞋を履いてる忙しい奴だ。高校も名門全寮制進学校で頭の良さはピカイチだろう。そこでも生徒会長だったらしいし。
何を考えているのかわからない冷静沈着な雰囲気と、190cmはあるだろう恵まれたバランスの良い体格、鰐系の名家の御曹司と、人の注目を浴びるには十分な条件が揃っていた。俺はたまたま、グループワークのメンバーだったせいで話すようになったのだけれど、見かけよりはざっくばらんな男だった。
ただ、女にも男にもモテる鱗川だったが、多くの誘惑やフェロモンに全く動じなかった。俺たちは密かに鱗川は今話題の無性愛なんじゃないかと噂していたくらいだ。
それがここ、ひと月の間にロリコン疑惑なんて言う噂が、あっという間に拡がった。それは最近鱗川が、一週間大学を休んだ理由のせいだろう。「発情期の相手」それは珍しい理由ではない。高校生ならば。でも大学生で、しかも鱗川だ。あり得ない。
発情期は大体中学1、2年生が迎えるもので、その発散の相手は体格差もあって同世代か、高校1、2年までだ。まして鱗川は体格が良い。中学生相手で大丈夫なのかという余計な詮索と、色っぽい噂のない注目の学生だったお陰で、ロリコンなんじゃないかと憶測を呼んだ。
流石にクラスメイトで仲良くしている俺にも、正面切ってロリコン疑惑があるぞとは言えなかった。ただ、休み明けの鱗川の様子は、妙な色気と柔らかさがあって、俺は「相手」を鱗川が望んでやったのだと理解していた。そんなこんなの中で、このカフェを騒がす一報だ。
一緒にランチ後時間潰しをしていた俺たちは、目配せするとサッと立ち上がって、キャンパス内へ鱗川を探しに出たんだ。そして探す間もなくキャンパスの広場のど真ん中で発見したのは、目を疑う光景だった。高校生らしい制服を着た相手を抱き締めている、見たことのない甘い眼差しの鱗川がそこにはいた。
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