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俺の祥一朗
大学見学
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「へー、ここが祥一朗の大学か。ここって俺の姉貴も通ってるらしいよ。」
そう言って寮まで迎えにきてくれた祥一朗の車から降りた。祥一朗は大学の目の前の駐車場を借りているらしくて、慣れた様子で車を停めていた。そう言えば、祥一朗のこの車も詳しくはないけれど、高級車の類のような気がする。自分で仕事をしていると、色々自由なお金があって良いな。
「知ってるよ。黒崎美玲さんだろ。私とは学部は違うけれど、才色兼備で有名だよ。雪弥のお姉さんだというのは、一眼見れば分かる。俺は雪弥をよく見てるから…。雪弥は前からお姉さんに似てるのが嫌だったって言ってただろ?今はぱっと見は似てないかな。並んだらわかる感じ。やっぱり男と女ってのもあるし、雰囲気も全然違うせいかな。」
俺は祥一朗と歩き出して、少し悪戯心を出して手を差し出した。
「ん。繋いで。…俺、迷子は嫌だから。」
俺は手を差し出した瞬間から、悪戯心が吹き飛ばされて、妙な羞恥心がじわじわ湧き上がってきた。早く祥一朗が手を繋いでくれないと、穴を掘って埋まりたくなる。顔が熱く感じて俯いて動揺していると、祥一朗の大きな手が俺の差し出した手を握った。俺はほっとして祥一朗を見上げると、俺を見つめる眼差しが獰猛なそれで、俺は目が離せなくなってしまった。
「雪弥は悪い子だ。こんな場所で、こんな時間に私の理性を飛ばそうとするなんて。‥もう見学はやめて私のマンションへ攫って行きたい。」
俺って今、誘惑されてる⁉︎俺はドキドキする心臓をなだめながら言った。
「…だめ。今日は絶対大学見学しなきゃダメなの。」
祥一朗は迷うように俺の手をにぎにぎすると、深呼吸して言った。
「しょうがない。さっさと終わらせよう。」
俺はさっさと終わらせてからどうするのかとは、聞けなかった。うん、自ら墓穴を掘る気はない。それにその先は俺も密かに期待してる気がするし…。取り敢えず、今は目の前のミッションを実行だ。一緒に手を繋いで歩き回ればいのかな?それくらいしか考えてなかったけど…。
正門から祥一朗と入っていくと、あっという間に視線が突き刺さった。うん、文字通り刺さってる。俺は祥一朗を見上げた。あー、これって祥一朗のせいだな。普段ポーカーフェイスの祥一朗が妙な色気をかまして微笑んでいる。これはまずいけど、ロリコン疑惑払拭の仲良しアピールだから正解なのだろうか。
しかも俺、何も考えてなかったけど、今制服だった。大学で高校の制服って目立つ。俺は祥一朗を見上げて言った。
「なぁ、俺何も考えないで来ちゃったけど、私服の方が良かったのかな?制服姿って大学内だと妙に目立つ気がするんだけど。」
そう言って寮まで迎えにきてくれた祥一朗の車から降りた。祥一朗は大学の目の前の駐車場を借りているらしくて、慣れた様子で車を停めていた。そう言えば、祥一朗のこの車も詳しくはないけれど、高級車の類のような気がする。自分で仕事をしていると、色々自由なお金があって良いな。
「知ってるよ。黒崎美玲さんだろ。私とは学部は違うけれど、才色兼備で有名だよ。雪弥のお姉さんだというのは、一眼見れば分かる。俺は雪弥をよく見てるから…。雪弥は前からお姉さんに似てるのが嫌だったって言ってただろ?今はぱっと見は似てないかな。並んだらわかる感じ。やっぱり男と女ってのもあるし、雰囲気も全然違うせいかな。」
俺は祥一朗と歩き出して、少し悪戯心を出して手を差し出した。
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俺は手を差し出した瞬間から、悪戯心が吹き飛ばされて、妙な羞恥心がじわじわ湧き上がってきた。早く祥一朗が手を繋いでくれないと、穴を掘って埋まりたくなる。顔が熱く感じて俯いて動揺していると、祥一朗の大きな手が俺の差し出した手を握った。俺はほっとして祥一朗を見上げると、俺を見つめる眼差しが獰猛なそれで、俺は目が離せなくなってしまった。
「雪弥は悪い子だ。こんな場所で、こんな時間に私の理性を飛ばそうとするなんて。‥もう見学はやめて私のマンションへ攫って行きたい。」
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「…だめ。今日は絶対大学見学しなきゃダメなの。」
祥一朗は迷うように俺の手をにぎにぎすると、深呼吸して言った。
「しょうがない。さっさと終わらせよう。」
俺はさっさと終わらせてからどうするのかとは、聞けなかった。うん、自ら墓穴を掘る気はない。それにその先は俺も密かに期待してる気がするし…。取り敢えず、今は目の前のミッションを実行だ。一緒に手を繋いで歩き回ればいのかな?それくらいしか考えてなかったけど…。
正門から祥一朗と入っていくと、あっという間に視線が突き刺さった。うん、文字通り刺さってる。俺は祥一朗を見上げた。あー、これって祥一朗のせいだな。普段ポーカーフェイスの祥一朗が妙な色気をかまして微笑んでいる。これはまずいけど、ロリコン疑惑払拭の仲良しアピールだから正解なのだろうか。
しかも俺、何も考えてなかったけど、今制服だった。大学で高校の制服って目立つ。俺は祥一朗を見上げて言った。
「なぁ、俺何も考えないで来ちゃったけど、私服の方が良かったのかな?制服姿って大学内だと妙に目立つ気がするんだけど。」
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