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雪豹として
秋良side雪弥という人間
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兄貴のマンションの前で嫌な予感がしたのは気のせいではなかった。ドアが開くなり、俺も見た事のない満面な笑顔の祥一朗の拡げた両手の中に、吸い込まれるように雪が抱きついていった。そのまま、何やら耳が痒くなるようなセリフを甘い顔で囁いた兄貴に、俺たちの前なのにねだる様にキスした雪はあっという間に二人だけの世界に入ってしまった。
唖然とする俺たちに、兄貴の後ろから顔を覗かせた楓さんが手招きしているので、俺たちはなんとも言えない気持ちで熱いキスをしてる二人の横を通って、リビングへ足を踏み入れた。さっきから文句が止まらない椿が心なしか顔を引き攣らせて言った。
「ゆきちゃんどうしちゃったの⁉︎俺、夢でも見てるかと思ったんだけど…。そもそも車の中でも秋良とエロいチューしてた。そしたらこれだよ。俺、もう何が何だか…。」
聖が椿の肩を組んでニヤつきながら言った。
「雪はさ、鎖の相手にはきっとあんな感じで甘えたくなるんだろ。だから俺たちにもタイミングさえ合えば、きっとあんな感じで甘えん坊さんになるんじゃねぇの?椿は雪が甘える前に捕まえに行っちゃうからな、それが敗因だと俺は思うぜ。」
椿がハッとしたように両手で口を覆ったのを面白く眺めながら、楓さんが二人を呼びに行ったのを眺めるともなしに見送った。そう言えば、車の中で雪が俺のキスに甘えるように返してくれてたな…。ああ、もっと一緒にイチャイチャしたい…。
戻ってきた二人を少し恨めしい気持ちで眺めていると、慌てた様子の雪が兄貴が可愛かったからキスしたみたいな事言うので、俺は思わず兄貴のどこにかわいい要素があったんだと声に出てしまった。寮室に帰ったら男の可愛さを調べないとな…。
それから雪が淡々と話した内容は驚くものだった。体外受精で、しかも暴走した母親の結果の子供だと。雪に紹介されて会った時の印象は綺麗で、スマートな女性という感じだった。確かにそう考えると母親らしい雰囲気は微塵も感じなかったかもしれない。
でも雪はその事も、父親のことも全く頓着していなくてこっちが心配になるくらいだった。本当に外見の繊細な美しさと醸し出す儚さを、完全に裏切る漢らしい雪弥、それが俺の惹かれたギャップ萌えの雪だった。男らしくあろうと頑張る感じが可愛いんだ、雪は。ふっ。
唖然とする俺たちに、兄貴の後ろから顔を覗かせた楓さんが手招きしているので、俺たちはなんとも言えない気持ちで熱いキスをしてる二人の横を通って、リビングへ足を踏み入れた。さっきから文句が止まらない椿が心なしか顔を引き攣らせて言った。
「ゆきちゃんどうしちゃったの⁉︎俺、夢でも見てるかと思ったんだけど…。そもそも車の中でも秋良とエロいチューしてた。そしたらこれだよ。俺、もう何が何だか…。」
聖が椿の肩を組んでニヤつきながら言った。
「雪はさ、鎖の相手にはきっとあんな感じで甘えたくなるんだろ。だから俺たちにもタイミングさえ合えば、きっとあんな感じで甘えん坊さんになるんじゃねぇの?椿は雪が甘える前に捕まえに行っちゃうからな、それが敗因だと俺は思うぜ。」
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戻ってきた二人を少し恨めしい気持ちで眺めていると、慌てた様子の雪が兄貴が可愛かったからキスしたみたいな事言うので、俺は思わず兄貴のどこにかわいい要素があったんだと声に出てしまった。寮室に帰ったら男の可愛さを調べないとな…。
それから雪が淡々と話した内容は驚くものだった。体外受精で、しかも暴走した母親の結果の子供だと。雪に紹介されて会った時の印象は綺麗で、スマートな女性という感じだった。確かにそう考えると母親らしい雰囲気は微塵も感じなかったかもしれない。
でも雪はその事も、父親のことも全く頓着していなくてこっちが心配になるくらいだった。本当に外見の繊細な美しさと醸し出す儚さを、完全に裏切る漢らしい雪弥、それが俺の惹かれたギャップ萌えの雪だった。男らしくあろうと頑張る感じが可愛いんだ、雪は。ふっ。
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