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雪豹として

カフェオレ

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「おはよう。」

俺は一緒に住んでた時でさえしなかった朝の挨拶を、母さんにした。母さんは少し驚いた顔をしたけれど、微笑んで挨拶を返した。俺は何だか気恥ずかしくなって言った。

「改めて俺って、どうしようもないお子様だったって分かったよ。俺はほんと周囲に関心がなくって、結構変な子供だったよね。まぁ母さんも相当ぶっ飛んでるけどね。ぶっ飛んだ親子って感じ?

あ、あと、昨日姉貴が部屋に来て色々話したよ。姉貴は俺より色々分かってたから悩んだみたいだね。でも、もう大人だから吹っ切ったって。俺のこともちょっと同情気味だったよ。姉貴も黒豹の希少種で結構苦労してるみたいだし。」


俺が馬鹿みたいにペラペラ喋るせいか、母さんはちょっと呆然としていたみたいだ。母さんは、ハッと気を取り直すと俺にカフェオレを入れてくれた。

元々俺たちは干渉を嫌って、一緒にご朝飯を食べるとかの習慣がないんだ。だから俺はいつもカフェオレとコーンフレーク的なもので済ましていた。母さんは俺が毎朝カフェオレを飲んでた事知ってたんだな。そんな事をくすぐったく思いながら、俺と母さんは黙って向かい合って飲んでいた。すると母さんが俺を見つめて言った。

「…なかなか雪弥には会えないから、今聞いておこうと思うの。昨日色々知ったばかりで整理がつかないかもしれないけれど、雪弥は父親に会いたいのかしら。雪弥は雪豹で、雪豹の事を聞けるのはあの人しか居ないわ。雪弥が望めば会うことは出来ると思う。」


俺はカフェオレの湯気を見つめながら言った。

「…どうかな。昨日聞いたばかりで、どう考えていいか。大体遺伝子くれただけの人なんだよね、俺にとっては。向こうは俺に関心あるのかさえ分かんないし。関心ない人に会っても虚しいっていうか。…とりあえず、今は会いたいって気持ちは無いな。雪豹として困ったら、母さんにメールで聞くよ。それでいいかな?」

母さんは何を考えてるかわからない表情で、頷いた。そう言えば、母さんは結構ポーカーフェイスだな。俺ってそれを真似て育ったのかもしれないな。お手本と言えば目の前の人か姉貴だ。


「母さんって、どうしていつもそんなに感情を殺してるの。俺、多分母さんの真似して育ってるから、表情筋死んでるよ。」

母さんは少し頬を緩めて言った。

「希少種ゆえかしら。動揺してるのを悟られると漬け込まれるから。雪弥も発情期終わったから、これから身に染みて分かるはずよ。まして雪豹だしね。」

その時は、そんな母さんの言葉をぼんやり聞いていたけれど、それを実感として経験するのに時間は掛からなかったんだ。



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