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雪豹として
美玲の葛藤
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俺の言い草に、姉貴は呆れた顔で俺のデスクチェアに座った。
「…そう。あんたは昔から何考えてるか分からないことが多かったけど、何も考えてなかったのかしら。私は自分の産まれた意味を考えると、望まれなかった子供って名指しで言われてる気がしていた。
だからこんな方法で産んだあの女を恨んだわ。父親は知らなかったかもしれないけど、もうちょっと関わってくれたら良かったのにとも思ったし。」
俺は随分拗らせてる姉貴を見つめて言った。
「なぁ、姉貴はいつ知ったんだ?その、出生の秘密ってやつ。」
姉貴は、俺の大袈裟な物言いに少し頬を緩めると言った。
「発情期終わってからよ。発情期終わってみたら、あんたが入院してるんだもの。驚いたわ。しかも入院理由が私の発情期がきっかけだったでしょう?昔から変わった子供だと思ってたけど、まさか発情期恐怖症になるなんて思わなかったわ。
あの女も動揺してたみたいで、うっかり私に父親の話をしたの。それと、あんたがもしかすると父親似かもしれないって。あの女、望んでそうしたくせに、いざとなったら雪豹じゃなければ良いのになんて言うのよ。私が黒豹で良かったって。
私は、自分のアイデンティティがズタボロになってしまった。元々うちの家族は変だって思ってたから、もっと辛くなった。そんな私に寄り添ってくれる様な母親じゃなかったしね、あの女は。」
俺はさっき思った事を思わず口にしていた。
「はは、確かに俺も、さっきぶっ飛んだ母親だなと思ってたんだ。でも俺、じーさん、ばーさんていうの?そんな記憶もないけど、姉貴は可愛がられたみたいじゃん。覚えてる?」
姉貴は肩をすくめて言った。
「私も3歳ぐらいでしょ?朧げかな。今じゃ何処に居るかも分かんないし。あんたが雪豹ってはっきりした今じゃ、ほんとに注意しないとヤバい事になりそうだから、きっとすんなり会えないかもね。」
俺は本当に今までこんな風に姉貴と話した事がなかったから、ちょっと戸惑っていた。
「姉貴は俺のこと憎んでるのか?」
姉貴はチラッと俺の髪を見て言った。
「発情期の後、あんたの髪が煌めくのを見る度に悔しい気持ちになったのは確かよ。あんたには産まれた意味があるもの。でも、発情期恐怖症で人と関わらない様に引きこもったあんたを見て可哀想に思ったし、今のあんたを見てると、面倒ばかりで雪豹もあんまり良いこと無いかもね。」
「…そう。あんたは昔から何考えてるか分からないことが多かったけど、何も考えてなかったのかしら。私は自分の産まれた意味を考えると、望まれなかった子供って名指しで言われてる気がしていた。
だからこんな方法で産んだあの女を恨んだわ。父親は知らなかったかもしれないけど、もうちょっと関わってくれたら良かったのにとも思ったし。」
俺は随分拗らせてる姉貴を見つめて言った。
「なぁ、姉貴はいつ知ったんだ?その、出生の秘密ってやつ。」
姉貴は、俺の大袈裟な物言いに少し頬を緩めると言った。
「発情期終わってからよ。発情期終わってみたら、あんたが入院してるんだもの。驚いたわ。しかも入院理由が私の発情期がきっかけだったでしょう?昔から変わった子供だと思ってたけど、まさか発情期恐怖症になるなんて思わなかったわ。
あの女も動揺してたみたいで、うっかり私に父親の話をしたの。それと、あんたがもしかすると父親似かもしれないって。あの女、望んでそうしたくせに、いざとなったら雪豹じゃなければ良いのになんて言うのよ。私が黒豹で良かったって。
私は、自分のアイデンティティがズタボロになってしまった。元々うちの家族は変だって思ってたから、もっと辛くなった。そんな私に寄り添ってくれる様な母親じゃなかったしね、あの女は。」
俺はさっき思った事を思わず口にしていた。
「はは、確かに俺も、さっきぶっ飛んだ母親だなと思ってたんだ。でも俺、じーさん、ばーさんていうの?そんな記憶もないけど、姉貴は可愛がられたみたいじゃん。覚えてる?」
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「私も3歳ぐらいでしょ?朧げかな。今じゃ何処に居るかも分かんないし。あんたが雪豹ってはっきりした今じゃ、ほんとに注意しないとヤバい事になりそうだから、きっとすんなり会えないかもね。」
俺は本当に今までこんな風に姉貴と話した事がなかったから、ちょっと戸惑っていた。
「姉貴は俺のこと憎んでるのか?」
姉貴はチラッと俺の髪を見て言った。
「発情期の後、あんたの髪が煌めくのを見る度に悔しい気持ちになったのは確かよ。あんたには産まれた意味があるもの。でも、発情期恐怖症で人と関わらない様に引きこもったあんたを見て可哀想に思ったし、今のあんたを見てると、面倒ばかりで雪豹もあんまり良いこと無いかもね。」
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