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雪豹として

父親の事情

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俺はドキドキと心臓の鼓動が速くなるのを感じた。俺はこれ以上話が進むのが怖いような、でも聞かないわけにいかないと分かっていた。

母さんはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、淡々と話し続けた。


「私たちの友情は続いていた。ただあの人は若い頃から家の問題を抱えていたの。雪豹自体の絶滅危惧種という問題よ。

あの人には兄弟は居なかったし、両親は高校生になって直ぐに交通事故で亡くなってしまった。確か、母親が雪豹で、父親が黒豹だった彼は、雪豹の血筋を残す必要があったの。でも彼は女を愛せない。だから自分で雪豹は終わりだって言ってた。

私は彼とそんな愚痴めいた話をしてるうちに、芽生えた思いがあった。私があの人の子供を産んであげようって。もちろん彼は女を愛せない。だから、彼にその話をした時も子供は欲しいけど、無理なんだってなんとも言えない顔で笑ってた。


それからあの人を取り巻くもともと力のある守護者たちが、あの人の考えや希望を叶えるべく動いて形成していったのがマンウンテングループなの。もともと雪弥の様に頭が良かったあの人は、起業でもそれを発揮したわ。彼はあっという間に世間から姿を隠してしまった。そうするだけの力とお金を自分たちで用意したの。

表に出なくなってからも、私達は定期的に会ってたわ。私はあの人以上に心を捧げられる相手が見つからなくて結婚するのは諦めた。恋人には困らなかったけれど、結婚するほど心を奪う人がいなかった。それだけ、雪弥の父親はかけがいのない人だったの。


そのうち私もマウンテングループに出入りするようになって、私は1番の守護者と話をする様になった。その人と雪弥の父親の後継問題の話や、私が産んであげたいと話していた事を何の気無しに雑談していた。しばらく経って、その人が突然私の家に来て言ったの。

私にあの人の子供を産んで欲しいって。いわゆる体外受精よ。私は迷う事なく了解した。それは私の望みでもあったから。私たちは雪弥の父親に内緒で、秘密裏に実行したの。守護者があの人の子種を採取するのは簡単だったと思うわ。私たち希少種は発情が強くてあっという間に訳がわからなくなるでしょう。


そして産まれたのが雪弥の姉さん、美玲よ。私は初めて腕に美玲を抱いた時、悟ったわ。この子は私と同じ黒豹だったと。残念ながら、雪豹は出現しなかった。それからしばらくして、雪弥の父親が顔を青褪めさせて突然家にやってきた。僕の子供を産んだのかって。」
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