82 / 187
再びの学校生活へ
聖の独白
しおりを挟む
聖は俺を湯船の中で抱き抱えると、俺の顔を見ないようにして話し出した。
「俺は秋良や椿みたいに、雪に執着してるつもりはなかったんだ。最初は中学入ってすぐに、幼なじみの秋良と椿がなんか一目惚れしたみたいなこと言ってて、なんだそれって思ってた。俺はあんまり人を好きだとか好きじゃないとかどうでも良かった。まぁ格闘技のほうに熱中してたっていうのもあるしな。
でも、いつも雪が側に居るようになって、それが当たり前になってから変わったのかもしれない。雪ってさ、気が張ってる割にどっか抜けてて、俺はなんかそういうのがほっとけなかった。いつもお前の側にいて助けているうちに、あぁそういえばこいつってスゲェきれいだなぁとか気づいて。
俺だけに時々見せる懐いた感じとか、多分俺がガツガツ行かないせいで雪が油断してたんだと思うけど、そういうのを他の奴に見せるのは許せないと思うようになってた。あー俺もけっこうな執着してるんだなって気がついたのはその時だよ。
それからすぐ俺にも発情期が来て、ほとんど家が用意した相手だった。それで終わった後に何か虚しいっていうか、俺の求めるのはこんなんじゃないってそれだけはわかった。でも実際は思春期の欲望になんて勝てなくて、変なやつじゃなきゃ良いやって、俺も結構軽かったと思う。
でもそんな時も、ふとこれが雪だったらどうだったろうって思うことが多くなった。高校になって3年の奴らが雪に絡んでるの目の当たりにして、俺は何か許せなかった。雪は俺たちのものなのにって。でも、その時初めて雪はいつまでも俺たちの側に居るわけじゃないんだってはっきりわかったっていうか。
雪を手に入れたかったら自分から行動しなきゃだめだって気づいたんだ。でも、そう考えると返ってどうしていいかわかんなくて、俺中学の頃の方がきっと雪の近くにいたと思う。それで今回の雪の発情期事件だろ。
秋良は兄貴だからすげえショックだったと思うけど、実際は俺も雪に発情期くるの一番にわかったから、っていうかわかってただけに雪が消えちゃってやるせないっていうか、悲しかった。でも雪がこんな複雑な状況だったから、今になって考えればこれでよかったんだと思うよ。
だから今みたいに雪にマーキングできるって、雪が受け入れてくれて、俺ほんとにうれしいんだ。俺もっと強くなって誰にも雪のこと傷つけさせないから。守るから。」
聖はそう言って真剣な眼差しで俺を見つめたんだ。
「俺は秋良や椿みたいに、雪に執着してるつもりはなかったんだ。最初は中学入ってすぐに、幼なじみの秋良と椿がなんか一目惚れしたみたいなこと言ってて、なんだそれって思ってた。俺はあんまり人を好きだとか好きじゃないとかどうでも良かった。まぁ格闘技のほうに熱中してたっていうのもあるしな。
でも、いつも雪が側に居るようになって、それが当たり前になってから変わったのかもしれない。雪ってさ、気が張ってる割にどっか抜けてて、俺はなんかそういうのがほっとけなかった。いつもお前の側にいて助けているうちに、あぁそういえばこいつってスゲェきれいだなぁとか気づいて。
俺だけに時々見せる懐いた感じとか、多分俺がガツガツ行かないせいで雪が油断してたんだと思うけど、そういうのを他の奴に見せるのは許せないと思うようになってた。あー俺もけっこうな執着してるんだなって気がついたのはその時だよ。
それからすぐ俺にも発情期が来て、ほとんど家が用意した相手だった。それで終わった後に何か虚しいっていうか、俺の求めるのはこんなんじゃないってそれだけはわかった。でも実際は思春期の欲望になんて勝てなくて、変なやつじゃなきゃ良いやって、俺も結構軽かったと思う。
でもそんな時も、ふとこれが雪だったらどうだったろうって思うことが多くなった。高校になって3年の奴らが雪に絡んでるの目の当たりにして、俺は何か許せなかった。雪は俺たちのものなのにって。でも、その時初めて雪はいつまでも俺たちの側に居るわけじゃないんだってはっきりわかったっていうか。
雪を手に入れたかったら自分から行動しなきゃだめだって気づいたんだ。でも、そう考えると返ってどうしていいかわかんなくて、俺中学の頃の方がきっと雪の近くにいたと思う。それで今回の雪の発情期事件だろ。
秋良は兄貴だからすげえショックだったと思うけど、実際は俺も雪に発情期くるの一番にわかったから、っていうかわかってただけに雪が消えちゃってやるせないっていうか、悲しかった。でも雪がこんな複雑な状況だったから、今になって考えればこれでよかったんだと思うよ。
だから今みたいに雪にマーキングできるって、雪が受け入れてくれて、俺ほんとにうれしいんだ。俺もっと強くなって誰にも雪のこと傷つけさせないから。守るから。」
聖はそう言って真剣な眼差しで俺を見つめたんだ。
21
お気に入りに追加
1,206
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる