もふもふと一緒 〜俺は狙われているみたいだ〜

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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再びの学校生活へ

聖の独白

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聖は俺を湯船の中で抱き抱えると、俺の顔を見ないようにして話し出した。

「俺は秋良や椿みたいに、雪に執着してるつもりはなかったんだ。最初は中学入ってすぐに、幼なじみの秋良と椿がなんか一目惚れしたみたいなこと言ってて、なんだそれって思ってた。俺はあんまり人を好きだとか好きじゃないとかどうでも良かった。まぁ格闘技のほうに熱中してたっていうのもあるしな。


でも、いつも雪が側に居るようになって、それが当たり前になってから変わったのかもしれない。雪ってさ、気が張ってる割にどっか抜けてて、俺はなんかそういうのがほっとけなかった。いつもお前の側にいて助けているうちに、あぁそういえばこいつってスゲェきれいだなぁとか気づいて。

俺だけに時々見せる懐いた感じとか、多分俺がガツガツ行かないせいで雪が油断してたんだと思うけど、そういうのを他の奴に見せるのは許せないと思うようになってた。あー俺もけっこうな執着してるんだなって気がついたのはその時だよ。


それからすぐ俺にも発情期が来て、ほとんど家が用意した相手だった。それで終わった後に何か虚しいっていうか、俺の求めるのはこんなんじゃないってそれだけはわかった。でも実際は思春期の欲望になんて勝てなくて、変なやつじゃなきゃ良いやって、俺も結構軽かったと思う。

でもそんな時も、ふとこれが雪だったらどうだったろうって思うことが多くなった。高校になって3年の奴らが雪に絡んでるの目の当たりにして、俺は何か許せなかった。雪は俺たちのものなのにって。でも、その時初めて雪はいつまでも俺たちの側に居るわけじゃないんだってはっきりわかったっていうか。


雪を手に入れたかったら自分から行動しなきゃだめだって気づいたんだ。でも、そう考えると返ってどうしていいかわかんなくて、俺中学の頃の方がきっと雪の近くにいたと思う。それで今回の雪の発情期事件だろ。

秋良は兄貴だからすげえショックだったと思うけど、実際は俺も雪に発情期くるの一番にわかったから、っていうかわかってただけに雪が消えちゃってやるせないっていうか、悲しかった。でも雪がこんな複雑な状況だったから、今になって考えればこれでよかったんだと思うよ。


だから今みたいに雪にマーキングできるって、雪が受け入れてくれて、俺ほんとにうれしいんだ。俺もっと強くなって誰にも雪のこと傷つけさせないから。守るから。」

聖はそう言って真剣な眼差しで俺を見つめたんだ。
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