もふもふと一緒 〜俺は狙われているみたいだ〜

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
上 下
63 / 187
再びの学校生活へ

椿side朝の雪

しおりを挟む
俺はイライラと聖の部屋の中で歩き回りながら、聖の用意が出来るのを待っていた。

「お前、朝一で秋良の部屋に行くって昨日言ったよな⁉︎何で起きてないんだよっ。」

聖はシャツを着ながら俺の方をチラッと見て言った。

「…でもさぁ、もし押しかけて致してたらどうするんだよ。俺、最中に邪魔すんのは嫌なんだけど。」

俺は思わず想像して、ますますムカついて言った。

「はぁ~?俺たちが行くって言ってあるんだから、やってるわけないだろ⁉︎」

聖はニヤリと笑うと楽しそうに言った。


「そーかな。俺だったらやってるね、絶対。朝起き抜けの雪だなんて、絶対気怠いだろ?一緒のベッドに居て、我慢できる訳ないじゃん?」

俺は聖の言う事がもっともだと思いながらも、その事を認めるわけにはいかなくてムカつきながら聖に話した。

「…なぁ、雪へのマーキング。それって、秋良だけじゃダメだよな。」

聖は急に真面目な顔になって言った。

「ああ。昨日話した通り、俺たち全員がマーキングしてギリギリってとこだと思うぜ。あんなに強烈なオーラとフェロモンじゃ、どんだけ有象無象が寄ってくるか…。ああ、心配だ。早く俺のマーキングつけたいぜ。」

ニヤニヤと鼻の下が伸びてる聖に呆れながら、俺も思わず雪にマーキングする事を考えて胸がドキドキしてしまった。


俺たちがマーキングする事で、俺たち以上の強いフェロモンに雪が発情しなくなるし、寄ってくる奴らも減る。一石二鳥だ。しかし今日授業に出る事は、昨日の帰寮ですっかり広まっているだろうからな、色々面倒くさいことになりそうだ。俺はため息をつくと、聖をせっついて秋良の部屋へ急いだ。

俺たちが到着すると、身支度を終えた雪が少し恥ずかしげにドアを開けて、挨拶してくれた。俺はその可愛さに胸が締め付けられた。ああ、今朝も綺麗で可愛い…。


でも、それを上回るこの部屋に漂う強烈なフェロモン臭に、腹が立つやら、動悸がするやらで挙動不審になってしまった。雪のフェロモンだけじゃなく、秋良の雄くさい匂いに顔をしかめた。あいつどんだけ雪を貪ったんだ、クソっ。

俺はこの部屋に雪をいつまでも置いておきたくなくて、さっさと連れ出すと雪の部屋へ連れて行った。制服を着てくるからと言う雪に、俺と聖は部屋から締め出されてしまったけど、雪の部屋から漂うほのかな甘い香りは感じられた。雪が制服に着替えて出てくると、久しぶりのその姿に俺は胸がギュッっとした。


雪が俺たちの元に戻ってきた、その瞬間だった気がしたからだ。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
第12回BL大賞奨励賞いただきました!ありがとうございます。僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して、公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…我慢の限界で田舎の領地から家出をして来た。もう戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが我らが坊ちゃま…ジュリアス様だ!坊ちゃまと初めて会った時、不思議な感覚を覚えた。そして突然閃く「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけにジュリアス様が主人公だ!」 知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。だけど何で?全然シナリオ通りじゃないんですけど? お気に入り&いいね&感想をいただけると嬉しいです!孤独な作業なので(笑)励みになります。 ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

イスティア

屑籠
BL
ゲームの世界から、ログインした途端異世界に落ちた大島和人。 平凡よりはブサイクよりな彼は、ONIの世界では中間クラスの錬金術師だと思っていて、それなりに薬を作ってそれなりに生きていければ良いや、と思っている。 とりあえず、息抜きに書いていく感じなので更新はまちまちで遅いです。月一更新が目安です。 10話毎に、ムーンライトノベルさんで更新することにしました。 こちらは、変わらず月一目安更新です。 壱話、8000〜10000字です。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

処理中です...