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俺の明かされた秘密

兄と弟

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 空気を切り裂いたのは秋良だった。秋良は祥一朗から俺の手を取って自分の側に寄せるともう一度言った。

「今夜は俺、ここに泊まる。もう雪の発情期終わったんだろ?だったら、別に祥一朗と一緒に過ごさなくて良いはずだ。本当は寮に連れて帰りたいけど、この髪じゃ無理だから。客間くらいあるだろう?兄貴。」

 秋良は見るからに挑戦的な眼差しで祥一朗を睨みつけた。祥一朗も秋良の眼差しを真っ直ぐ受け止めて、お互いに睨み合っていた。楓さんは肩をすくめて言った。


「…秋良、気持ちは分かるが多分雪弥に問題がある。鎖の出来たばかりの相手と離れるのは、不安症状が出るからあまりおすすめしない。しかも昨日まで発情期だったわけだし。せめて今夜いっぱいは祥一朗の側にいた方が、雪弥のためにはいいんだ。後で不安が強くなって苦しむのは雪弥だからな。」

 秋良は俺を見つめて、唇を噛み締めた。

「なんだよ、それ。俺が発情期の時はそんな事なかったのに…。くそっ。」


 俺は秋良の握りしめた拳をそっと両手で包んで、秋良を見上げて言った。

「…秋良、そんなに苦しまないでくれ。寮に戻ったら、いくらでも俺に当たればいいさ。俺にも何がどうなったか良くわかってないんだ。ごめんな。」

 秋良は俺を真っ直ぐに見つめて言った。

「…俺はお前が自分の手の離れた場所で、どんどん変わってしまうのが怖いんだ。俺の手の届かない場所へ行ってしまいそうで心配なんだ。頼むよ。絶対俺の、俺たちの側へ戻ってきてくれ。」


 俺はニコリと笑って、秋良を抱きしめた。

「ああ、約束するから。明日髪色変えたら、寮に帰るよ。」

 秋良は俺に大人しく抱きしめられて俺の首筋に顔を埋めると深呼吸した。あれ、こいつ俺の匂い嗅いでないか?…何か恥ずい。そう考えてると、案の定と言うか、椿がタックルしてきて、俺たちに抱きついた。

「そーだよ⁉︎ 俺ゆきちゃん帰ってくるの待ってるからね。あ、それとも美容室に迎えに行こうかな。聖が連れくの?俺も一緒に行く!」

 わいわいしてきて、俺は密かにホッとしながら明日の約束を聖として楓さんはじめ、皆と一旦別れた。今夜は祥一朗のマンションで過ごして明日の朝店で合流するらしい。どんだけ過保護なんだ。


 俺は皆を見送って部屋に戻った時に、ふと今夜はどうするんだろうと現実が戻ってきたのを感じた。


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