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発情期

俺の秘密

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 祥一朗が態度を改めたのが分かって、俺は心持ち緊張した顔で祥一朗を見つめた。祥一朗は俺に言った。

「まずひとつ目は、その髪だ。多少の銀の髪は入っていたものの、雪弥は黒髪だった。でも今はすっかり銀髪だ。さすがにそこまではっきりとした銀の髪は目立つ。というか目立ち過ぎる。それは雪弥がこれからどんなスタンスで生活するかの選択に寄るけれど、染めるか、そのままか決めないといけない。

 …ひとつ聞いていいか?黒豹の家系なら黒髪だろう?雪弥の家族はどうなんだ?」


 俺は自分の母親と姉貴の顔を思い浮かべた。二人とも綺麗な黒髪だ。まぁ黒豹なら当たり前だろう。俺の父親は実は何処にいるのか分からない。母親は生きていても、もう一度会えるかは全く分からないと子供の頃に俺に言った。ただし、俺が覚醒したら向こうから現れるかもしれないと、よく分からないことを言ってたっけ。俺はもしかしたら黒豹ではなくて…。

 そこまで考え込んでいたら、祥一朗が咳払いして心配そうな顔で俺を見つめていた。

「すまない、雪弥。何か気に障ったか?」

 俺は祥一朗なら口が硬そうだし、まぁぶっちゃけ、俺自身は手詰まりだったので相談することにした。


「…これから俺が話す事はここだけの話にして下さいね。俺の母親と姉貴は黒豹の家系です。姉貴は発情期が来た後も綺麗な黒髪のままでした。俺は皆には染めてると言ってますけど、本当は黒髪に銀のメッシュが入ってるのは昔からなんです。俺の母親はその事をずっと気にしてました。

 俺が姉貴の発情期でトラウマになったせいで薬を飲み始めた時も、結構賛成してくれていたのはこの髪色のせいです。もしかしたら発情期で俺の髪色が変わるかもしれないって、言われたことがあるんです。その事を母親は酷く恐れていました。」

 祥一朗は黙って俺の話を聞いていたけれど、ふと顎に手を当てて考え込みながら言った。


「もしかして、それは父親と関係があるのか?」


 僕は祥一朗の勘の良さに感心して言った。

「ええ、そうです。俺は父親に会ったことがないんです。俺と姉貴の父親は一緒です。姉貴は母親の黒豹の家系が出現して、俺は正直どちらか分からなかったんです。母親の兄弟がやっぱり小さい頃に銀の髪が混ざっていたらしくて。

 ただ、発情期が終わった後に父親の家系が出現した場合、俺は銀髪になるかもしれないって。母親はその心配をしていました。

 母親曰く、父親は表立って行動できないから、一緒に暮らした事はないそうです。ただ、俺たちは金に苦労したことも無いですし、どちらかと言うと恵まれてる方だと思います。そこは父親が手を回してるっぽいです。

 まぁ俺にとっては生まれた時から父親が居ないのと一緒ですから、今更目の前に現れても他人と一緒でしょうけどね。」



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