もふもふと一緒 〜俺は狙われているみたいだ〜

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
上 下
23 / 187
発情期

祥一朗side雪弥の豹変

しおりを挟む
 私達が何度身体を繋げたかはもはや数えることをやめた。枕元の多機能時計だけが、あれから3日目の夕方だと言うことを教えた。

 蕩ける様な眼差しで私にのし掛かって、雪弥は言った。

「祥一朗、はやくおれに…たべさせて…。」

 雪弥の甘いフェロモンが、私を繰り返しいきり勃たせる。さっき味わった雪弥の中の締め付けを思い出して、私の昂りはズクリと震えた。湯船に浸かった雪弥の身体は、バブルバスの柑橘系の爽やかな香りがした。けれど抱きしめると首筋から立ち昇るのは、私の頭を痺れさせる様なずっと嗅いでいたい様な甘やかな匂いだ。このフェロモンの強さが希少種故なんだろうか。


 雪弥の家系の黒豹は希少種にはなるけれど、雪弥の友人の白獅子よりも珍しいかと言えばそうでもない。学年に二人も希少種の家系がいるのが、そもそもレアなのだが。私達、猛獣系の家系は産まれても一人で、兄弟がいるのは大概二人目、三人目のパートナーの子供のことが多い。

 ハーレムを作りがちな獅子や狼などの家系も、その意味では兄弟が多い方だろう。だが、雪弥には姉がいると言っていた。黒豹はハーレムを作る方ではないはずだ。もし血が繋がっているとすれば、希少種なのに繁殖力の強い稀な事例になるかもしれない。


 私の首筋に舌を這わせていた雪弥は、つと顔をあげると私を睨みつけて言った。

「…祥一朗、気が散ってる。」

 そう怒ってみせる雪弥は、すっかり最初の頃の恥ずかしげな様子は抜け落ちて、それこそ経験値の比較的高いはずの私をも翻弄してみせる。私が雪弥に口づけようと手を伸ばすと、雪弥はサッと身体を起こした。

「祥一朗は欲しくないの?俺のこと。せっかく俺が祥一朗を食べてあげようって言ってるのに?」


 そう言って妖艶に微笑むと、私はその美しさに息を止めた。ビル街に差し込む夕陽の赤い光がカーテンの隙間から入り込み、部屋を赤く照らしていた。雪弥の髪はキラキラと反射して、燃え上がる様な髪の色と、冷たげな金属を感じる眼差しがこの世界の者でない様だった。

 私は雪弥に見惚れていたが、ハッと目を見開いた。

「雪弥、髪が…。髪が銀色になって…る。」


 雪弥は自分の髪を手に取りじっくりと見つめた。そしてクスクスと笑うと、私を引き倒して再びのし掛かると首筋を甘噛みしながら言った。

「そうか、これが散々言われてた事なんだな…。ふふふ。ねぇ、祥一朗知ってる?俺は人間を喰らう猛獣なんだ。祥一朗も猛獣系だったっけ?クロコダイルか…。ふふふ。でも俺はちょっと違うんだ。…俺が食うのは、人間の心だよ?俺、祥一朗の事、気に入ったから、自分のものにしてもいい?いいよね?」

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

処理中です...