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動き出す僕たち
突然の訪問
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ベッドに横になって今日の買い物での翔ちゃんとの遭遇を思い出していると、母さんが階下から僕を呼んだ。僕が部屋から顔を出すと、母さんが階段の下から顔を覗かせて言った。
「侑、翔ちゃん来てるわよ。ほんと随分背が高くなったわねぇ。ああ、どうぞ、上がってちょうだい?侑、お部屋に上がってもらっても良いわよね?」
僕は息を呑んで慌てて部屋を見回した。そんなに散らかっていないけど、翔ちゃんが僕の部屋に入るのはそれこそ何年ぶりだろうか。ゆっくり階段を上がる足音がして、僕は部屋のドアを開けたまま翔ちゃんを待った。
「…どうしたの?こんなの何年も無かったでしょ。」
そう言ってしまってから、随分可愛げの無い事を言ってしまったと思ったけれど言葉は取り戻せない。僕がベッドに座ると、翔ちゃんはローテーブルの前に座った。直ぐに母さんが飲み物とちょっとしたお菓子を用意して扉から顔を出した。
「翔ちゃんは選手だから色々節制してるのかしら。紅茶なら大丈夫かしらね?」
そう嬉しそうに言うと、僕にトレーを渡して直ぐに立ち去った。僕は翔ちゃんの前に紅茶とチョコレートやクッキーの並んだ皿を並べると、自分のマグカップにミルクと砂糖を入れた。
「…相変わらず甘いのが好きなんだな、侑は。」
そう言って、何もいれないカップの紅茶を美味しそうに飲む翔ちゃんを見つめながら、一体何が起きているのかと僕は内心混乱していた。慶太はたま遊びに来るけれど、翔ちゃんが最後にここに来たのはいつだろう。
あの事件以来ていないはずだから、3年ぶりかもしれない。僕はカップの中をグルグルいつまでも掻き混ぜながら、チラッと翔ちゃんを盗み見た。翔ちゃんは何を考えているのかわからない眼差しで僕を見つめていた。
「…何か僕に用があったの?」
そう尋ねると、翔ちゃんは少し戸惑う様に部屋の中を見回した。
「侑の部屋も随分雰囲気が変わったな。それもそうだ。俺が最後にここに来たのは侑が小5の時だから。…侑もすっかり成長したよ。もう子供じゃないんだな。」
僕は翔ちゃんの様子に戸惑って、目の前のチョコレートを口に放り込んだ。何か用があった訳じゃないのかな。忙しい翔ちゃんが何の用もなく会いに来るだろうか。今日の青山さんとの事かな。
そう思う間もなく、翔ちゃんは口火を切った。
「今日あんな所で侑とバッタリ会って凄い驚いた。…青山といつから一緒に買い物行くくらい仲良くしてるんだ?」
翔ちゃんは微笑んでいたけれど、少し顔が強張ってみえた。僕は探り合う様な会話は嫌だったので、馬鹿正直に答えた。
「いつからかな。以前中学まで来たんだ、あの人。文化祭の写真見て会いたくなったんだってさ。ちょっとストーカーみたいだよね。でも色々煮詰まってたみたいで、僕をペット感覚で癒しに利用してるんだと思うよ。
でも悪い人じゃないし、僕に変なちょっかいを出す訳じゃないから…。丁度スニーカーが欲しくてメッセージでやり取りしてたら割引券あるっって言うからお言葉に甘えただけだよ。友達‥だよ?」
すると翔ちゃんが顔を顰めて僕を見て言った。
「俺だって言ってくれたら付き合ってやったのに。」
僕は薄く笑って紅茶をひと口飲んだ。
「翔ちゃんは忙しいでしょ。ただでさえ彼女と会わなきゃいけないし。僕と会いたい人は他にも居るから、翔ちゃんが気にすることはないよ。」
すると翔ちゃんはますます顰めっ面をして、もはや不機嫌さを隠す気は無くなったみたいだ。
「…弓道部の先輩とか?どうして侑はそうやって自分を安売りするんだ。青山だって店でちょっと話しただけだけど、侑の事好きなんじゃないのか。侑は好きでもないやつと出歩かない方がいい。」
僕は相変わらず過保護に僕の事をあれこれ言う翔ちゃんを鼻で笑った。
「別に先輩も青山さんも嫌いじゃないよ。僕は好ましい相手とは手も繋ぐし、キスもする。翔ちゃんが思ってるより爛れてるんだよ。ごめんね、昔のままの幼馴染じゃなくて。…だいたい、翔ちゃんだって僕にキスしたでしょ。何でキスしたの?翔ちゃん。」
「侑、翔ちゃん来てるわよ。ほんと随分背が高くなったわねぇ。ああ、どうぞ、上がってちょうだい?侑、お部屋に上がってもらっても良いわよね?」
僕は息を呑んで慌てて部屋を見回した。そんなに散らかっていないけど、翔ちゃんが僕の部屋に入るのはそれこそ何年ぶりだろうか。ゆっくり階段を上がる足音がして、僕は部屋のドアを開けたまま翔ちゃんを待った。
「…どうしたの?こんなの何年も無かったでしょ。」
そう言ってしまってから、随分可愛げの無い事を言ってしまったと思ったけれど言葉は取り戻せない。僕がベッドに座ると、翔ちゃんはローテーブルの前に座った。直ぐに母さんが飲み物とちょっとしたお菓子を用意して扉から顔を出した。
「翔ちゃんは選手だから色々節制してるのかしら。紅茶なら大丈夫かしらね?」
そう嬉しそうに言うと、僕にトレーを渡して直ぐに立ち去った。僕は翔ちゃんの前に紅茶とチョコレートやクッキーの並んだ皿を並べると、自分のマグカップにミルクと砂糖を入れた。
「…相変わらず甘いのが好きなんだな、侑は。」
そう言って、何もいれないカップの紅茶を美味しそうに飲む翔ちゃんを見つめながら、一体何が起きているのかと僕は内心混乱していた。慶太はたま遊びに来るけれど、翔ちゃんが最後にここに来たのはいつだろう。
あの事件以来ていないはずだから、3年ぶりかもしれない。僕はカップの中をグルグルいつまでも掻き混ぜながら、チラッと翔ちゃんを盗み見た。翔ちゃんは何を考えているのかわからない眼差しで僕を見つめていた。
「…何か僕に用があったの?」
そう尋ねると、翔ちゃんは少し戸惑う様に部屋の中を見回した。
「侑の部屋も随分雰囲気が変わったな。それもそうだ。俺が最後にここに来たのは侑が小5の時だから。…侑もすっかり成長したよ。もう子供じゃないんだな。」
僕は翔ちゃんの様子に戸惑って、目の前のチョコレートを口に放り込んだ。何か用があった訳じゃないのかな。忙しい翔ちゃんが何の用もなく会いに来るだろうか。今日の青山さんとの事かな。
そう思う間もなく、翔ちゃんは口火を切った。
「今日あんな所で侑とバッタリ会って凄い驚いた。…青山といつから一緒に買い物行くくらい仲良くしてるんだ?」
翔ちゃんは微笑んでいたけれど、少し顔が強張ってみえた。僕は探り合う様な会話は嫌だったので、馬鹿正直に答えた。
「いつからかな。以前中学まで来たんだ、あの人。文化祭の写真見て会いたくなったんだってさ。ちょっとストーカーみたいだよね。でも色々煮詰まってたみたいで、僕をペット感覚で癒しに利用してるんだと思うよ。
でも悪い人じゃないし、僕に変なちょっかいを出す訳じゃないから…。丁度スニーカーが欲しくてメッセージでやり取りしてたら割引券あるっって言うからお言葉に甘えただけだよ。友達‥だよ?」
すると翔ちゃんが顔を顰めて僕を見て言った。
「俺だって言ってくれたら付き合ってやったのに。」
僕は薄く笑って紅茶をひと口飲んだ。
「翔ちゃんは忙しいでしょ。ただでさえ彼女と会わなきゃいけないし。僕と会いたい人は他にも居るから、翔ちゃんが気にすることはないよ。」
すると翔ちゃんはますます顰めっ面をして、もはや不機嫌さを隠す気は無くなったみたいだ。
「…弓道部の先輩とか?どうして侑はそうやって自分を安売りするんだ。青山だって店でちょっと話しただけだけど、侑の事好きなんじゃないのか。侑は好きでもないやつと出歩かない方がいい。」
僕は相変わらず過保護に僕の事をあれこれ言う翔ちゃんを鼻で笑った。
「別に先輩も青山さんも嫌いじゃないよ。僕は好ましい相手とは手も繋ぐし、キスもする。翔ちゃんが思ってるより爛れてるんだよ。ごめんね、昔のままの幼馴染じゃなくて。…だいたい、翔ちゃんだって僕にキスしたでしょ。何でキスしたの?翔ちゃん。」
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