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それは始まりの始まり
青山side俺の猫
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侑くんとのメッセージのやり取りは案外楽しかった。自分が急に思い立って、侑くんに会いにストーカー紛いの待ち伏せをした時は、今考えると我ながらやり過ぎだと思った。けれど、侑くんと公園でアイスを食べながら話をしていると、来たかいがあったと思ってしまった。
侑くんは話していると中学生には思えない。もちろん無邪気な時もあるけれど、侑くんの周りだけ静かな風がそよいでいる様な感じなんだ。それは毎日時間に追われて、部活に追われて、仲間達と切磋琢磨し続けている俺にとっては、何だかとっても居心地が良い。
翔太の幼馴染として体育館に顔を見せた時から、妙にひと目を惹く男の子だと思っていた。いかにも元気な翔太の弟の横に立っていると、その差は歴然としていて雰囲気のある子だと記憶に刻み込まれた。
花火大会でばったり会った侑くんは、夜のせいか肌の白さが目立って男の子なのに目が離せなかった。俺は別に同性が嗜好ではないはずだけど、侑くんに関して言えばもっと近づいてみたいと思った。
翔太が彼女をほっぽり出して侑くんを自転車まで送って行った時は、ちょっと場が妙な空気になったけれど、圭が言ったひと言で皆納得してしまった。
『今時男も危ない時代だからな。まして侑くんは色っぽいだろ?翔太も幼馴染だから責任あるんだろ。」
皆が賛同する中、眉を顰める翔太の彼女の目が怖くて、俺たちもそれ以上深追いしなかった。でも圭の言葉に説得力があったのは確かだ。侑くんは色っぽい。
結局際どい話になった俺たちが公園から帰る時に、侑くんが俺と手を繋いで甘えてきた時は、何ていうか可愛さ爆発で本当参った。今まで付き合って来た女子達とは違う、その湧き上がる感情を何て呼べば良いのか分からないけど、俺は侑くんにメロメロになったんだ。
だからメッセージにたまにしか返してくれなくても、可愛い猫ちゃんだと思えば全然納得できたんだ。そんな俺の癒しの時間に、侑くんが街歩きのスポーツシューズを買いたいけど何が良いか迷ってるとメッセージをくれた時は、思わずベッドから起き上がっていた。
俺は侑くんが俺と会ってくれそうな言い訳をくれた気がして、早速とっておきの割引チケットを差し出す事にした。だから改札の外で侑くんを待っている時に何だか落ち着かなかったのも、俺を見てにっこり笑った侑くんにドキドキしたのも、きっと可愛い猫に会えて嬉しかったからだと思ってたんだ。
だけど俺の背の高さは目印になるって笑い話が、好きな人が沢山の人の目に触れるのは嫌なんじゃないかって話になった。その侑くんの言葉で、今までの歴代彼女達の行動が俺を戦利品の様に見せびらかしていた様な気がして、何だかガッカリしてしまった。
一方で、侑くんは好きな人を独占したくて、目立つ事に眉を顰めるのかと想像すると何だか妙な嫉妬心を感じたんだ。
侑くんは話していると中学生には思えない。もちろん無邪気な時もあるけれど、侑くんの周りだけ静かな風がそよいでいる様な感じなんだ。それは毎日時間に追われて、部活に追われて、仲間達と切磋琢磨し続けている俺にとっては、何だかとっても居心地が良い。
翔太の幼馴染として体育館に顔を見せた時から、妙にひと目を惹く男の子だと思っていた。いかにも元気な翔太の弟の横に立っていると、その差は歴然としていて雰囲気のある子だと記憶に刻み込まれた。
花火大会でばったり会った侑くんは、夜のせいか肌の白さが目立って男の子なのに目が離せなかった。俺は別に同性が嗜好ではないはずだけど、侑くんに関して言えばもっと近づいてみたいと思った。
翔太が彼女をほっぽり出して侑くんを自転車まで送って行った時は、ちょっと場が妙な空気になったけれど、圭が言ったひと言で皆納得してしまった。
『今時男も危ない時代だからな。まして侑くんは色っぽいだろ?翔太も幼馴染だから責任あるんだろ。」
皆が賛同する中、眉を顰める翔太の彼女の目が怖くて、俺たちもそれ以上深追いしなかった。でも圭の言葉に説得力があったのは確かだ。侑くんは色っぽい。
結局際どい話になった俺たちが公園から帰る時に、侑くんが俺と手を繋いで甘えてきた時は、何ていうか可愛さ爆発で本当参った。今まで付き合って来た女子達とは違う、その湧き上がる感情を何て呼べば良いのか分からないけど、俺は侑くんにメロメロになったんだ。
だからメッセージにたまにしか返してくれなくても、可愛い猫ちゃんだと思えば全然納得できたんだ。そんな俺の癒しの時間に、侑くんが街歩きのスポーツシューズを買いたいけど何が良いか迷ってるとメッセージをくれた時は、思わずベッドから起き上がっていた。
俺は侑くんが俺と会ってくれそうな言い訳をくれた気がして、早速とっておきの割引チケットを差し出す事にした。だから改札の外で侑くんを待っている時に何だか落ち着かなかったのも、俺を見てにっこり笑った侑くんにドキドキしたのも、きっと可愛い猫に会えて嬉しかったからだと思ってたんだ。
だけど俺の背の高さは目印になるって笑い話が、好きな人が沢山の人の目に触れるのは嫌なんじゃないかって話になった。その侑くんの言葉で、今までの歴代彼女達の行動が俺を戦利品の様に見せびらかしていた様な気がして、何だかガッカリしてしまった。
一方で、侑くんは好きな人を独占したくて、目立つ事に眉を顰めるのかと想像すると何だか妙な嫉妬心を感じたんだ。
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