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それは始まりの始まり
それは健全な毎日で
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受験生の佳境に入った先輩は、本当にたまに僕とファーストフードで一緒にご飯食べるくらいで、ほとんどゆっくりとした時間は取れなかった。
時々じっと見つめられて何か言いたげな顔をするけれど、受験が終わるまではどんな方向に傾こうとも、一歩も進む気は無かったので僕は知らんぷりしていた。
「じゃあ先輩、これから塾でしょ。お勉強頑張ってね。」
そう言って僕は先輩と別れて駅へと向かった。今日はこれから青山さんとスポーツショップへ行く事になっている。街歩き用のスポーツシューズが欲しいとメッセージでやり取りしていたら、青山さんの良く利用するショップの4割引のチケットがあるからどうかと言われたんだ。
その店が家からそう遠くない駅だったこともあって、土曜日の午後に約束していた。先輩にはもちろん、これから靴を買いに行くと言ってある。特にやましいこともないけれど、変に誤解されて動揺させたくもないから青山さんの事は言ってない。
僕は内心本当は、先輩に青山さんの事を知られたくないのかなと感じていた。のこのこ青山さんと会っても大丈夫だよね?僕は少しの後ろめたさを感じながら、どんな靴を買おうかと電車に揺られながらスマホを眺めていた。
改札を出ると、飛び抜けて背が高い青山さんは目立っているのですぐに分かった。僕はクスッと笑って手を上げながら近づいてくる青山さんを見上げた。
「青山さんて、存在自体が目印になってますよね。身長どれくらいですか?」
青山さんは僕と並んで歩き出しながら、少し考えながら言った。
「あー、191cm?チームメイトは俺サイズは何人か居るし、あんまり気にした事ないけど。確かにこう言う場所では悪目立ちするよね。」
僕は翔ちゃんも昔から背の高さで皆の目を惹きつけていて、それに僕がいつもモヤモヤした気持ちになっていたなと思った。
「それって青山さんの事好きな人にとっては、あまり良い事じゃ無いかもですね。」
僕がそう言うと、少し驚いた顔で青山さんは僕を見つめて理由を尋ねてきた。僕はなぜこんな簡単な事が分からないのかなと面白い気持ちで言った。
「だって、ここにこんな素敵な人が居ますよって沢山の人にバレちゃうって事でしょ。それは青山さんを好きな人にとっては、見つかって欲しくないだろうし。好きな人なら誰にも見つからないで独占して置きたいんじゃないのかな。」
僕がそう言うと青山さんはしばらく黙りこくって歩いていたけれど、ショップの前まで来たら少しため息をついて言った。
「…さっきの侑くんの言葉、俺の人生をぶった斬ったよ。侑くんて本当に中二なの?」
そうなんとも言えない顔をして、僕をじっと見下ろした。僕は首を傾げて店のドアを押しながら青山さんを横目で見つめて言った。
「僕の言う事なんて間に受けないでくださいよ。たかだか14歳のガキなんですから。ね?」
時々じっと見つめられて何か言いたげな顔をするけれど、受験が終わるまではどんな方向に傾こうとも、一歩も進む気は無かったので僕は知らんぷりしていた。
「じゃあ先輩、これから塾でしょ。お勉強頑張ってね。」
そう言って僕は先輩と別れて駅へと向かった。今日はこれから青山さんとスポーツショップへ行く事になっている。街歩き用のスポーツシューズが欲しいとメッセージでやり取りしていたら、青山さんの良く利用するショップの4割引のチケットがあるからどうかと言われたんだ。
その店が家からそう遠くない駅だったこともあって、土曜日の午後に約束していた。先輩にはもちろん、これから靴を買いに行くと言ってある。特にやましいこともないけれど、変に誤解されて動揺させたくもないから青山さんの事は言ってない。
僕は内心本当は、先輩に青山さんの事を知られたくないのかなと感じていた。のこのこ青山さんと会っても大丈夫だよね?僕は少しの後ろめたさを感じながら、どんな靴を買おうかと電車に揺られながらスマホを眺めていた。
改札を出ると、飛び抜けて背が高い青山さんは目立っているのですぐに分かった。僕はクスッと笑って手を上げながら近づいてくる青山さんを見上げた。
「青山さんて、存在自体が目印になってますよね。身長どれくらいですか?」
青山さんは僕と並んで歩き出しながら、少し考えながら言った。
「あー、191cm?チームメイトは俺サイズは何人か居るし、あんまり気にした事ないけど。確かにこう言う場所では悪目立ちするよね。」
僕は翔ちゃんも昔から背の高さで皆の目を惹きつけていて、それに僕がいつもモヤモヤした気持ちになっていたなと思った。
「それって青山さんの事好きな人にとっては、あまり良い事じゃ無いかもですね。」
僕がそう言うと、少し驚いた顔で青山さんは僕を見つめて理由を尋ねてきた。僕はなぜこんな簡単な事が分からないのかなと面白い気持ちで言った。
「だって、ここにこんな素敵な人が居ますよって沢山の人にバレちゃうって事でしょ。それは青山さんを好きな人にとっては、見つかって欲しくないだろうし。好きな人なら誰にも見つからないで独占して置きたいんじゃないのかな。」
僕がそう言うと青山さんはしばらく黙りこくって歩いていたけれど、ショップの前まで来たら少しため息をついて言った。
「…さっきの侑くんの言葉、俺の人生をぶった斬ったよ。侑くんて本当に中二なの?」
そうなんとも言えない顔をして、僕をじっと見下ろした。僕は首を傾げて店のドアを押しながら青山さんを横目で見つめて言った。
「僕の言う事なんて間に受けないでくださいよ。たかだか14歳のガキなんですから。ね?」
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