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それは始まりの始まり
高校の学園祭
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「何か高校って凄く楽しそうですよね。」
僕と先輩は清光学園の学園祭の出店を冷やかしながら、パンフレットを広げた。学園祭を志望校の見学として兼ねる中学生は多い様で、学園主催のブースで配っていた受験案内のパンフレットの手提げを持っている中学生らしき人達も結構目についた。
「侑はどんな高校目指してる?清光は考えたことある?」
そう先輩に聞かれて僕は首を傾げた。
「…まだ全然。ここはレベル高すぎて考えもしなかったけど。先輩はいつからここ受けようって思ったんですか?」
すると先輩はチラッと周囲に目をやってから、文化系の展示ブースの方へ足を向けながら話し出した。
「最初は弓道が強い高校が良いかなとあちこち調べてたんだ。でもここが自由な校風で、調べれば調べるほど楽しそうな高校だって知って、どうしても此処に入りたくなって。レベルも高くて大変だけどね。でもチャレンジし甲斐があるよ。」
僕は先輩の言葉を受けて、改めて周囲を見回した。確かに展示物は凝ったものが多いし、高校生たちの顔つきはイキイキしている。
写真部のブースを通りかかると、そこはコスプレのイベントをやっていた。結構人気がある様で、冷やかしも含めて混雑している。
「ねっ!君達コスプレしていかない?…君絶対似合うって!あのさ、宣伝用に使わせて貰えるなら無料で良いから、やってみない?」
僕と先輩は顔を見合わせて、張り出されたコスプレの写真を眺めた。かなり凝っているみたいだ。先輩が吸血鬼のコスプレを指さして言った。
「これなんかどう?侑は色白だから似合いそう。」
僕は眉を顰めて言った。
「ちょっと僕じゃチビすぎない?吸血鬼って背が高いイメージだから。先輩ならいけるでしょ。」
そう言って、会うたびに背が高くなる先輩を見上げた。今は175cmくらいはありそうだった。僕と10cm以上差が出来てる気がする。
「じゃあ、彼が吸血鬼で君はその餌食の貴族令嬢か、令息って感じでどうかな。いや、めちゃくちゃ良いと思う!さ、こっちだから!」
いつの間にか僕達はコスプレする事になっていて、写真部の高校生の勢いのまま僕たちは更衣室へと連れて行かれた。何でもここは写真部とコスプレ部との合同ブースとなっていたみたいで、道理で凝ったコスプレ写真が多いのも頷けた。
結局僕は衣装に着替えて、肩までの黒髪のカツラを被って少しメイクをされて貴族令息になった。先輩の吸血鬼のコスプレは酷くマッチして、お互いにクスクス笑い合ってしまった。
瀟洒なソファに座らされて先輩の吸血鬼に襲われるポージングを幾つか撮って、終いには感覚が麻痺してノリノリで先輩の脚の間に横たわって喉を曝け出す様なポーズまでしてしまった。
写真を撮っている人が妙に増えてギャラリーが集まると、それはそれで居た堪れなくなって、僕たちは苦笑してブーイングの中終わりにした。
「凄く良かったよ!この写真宣伝用にしたいんだけど、良いかな?ありがとう!俺の最高傑作撮れて、やっぱり被写体ありきなのかなぁ!」
そう興奮気味に盛り上がっている写真部の人達に見送られて、ポラロイド写真を数枚手にして僕らはブースを後にした。先輩は僕らの写真をじっと見つめてボソリと言った。
「…これ、マズイかも。」
そう言う先輩の手の中の写真は、すっかり貴族令息になった僕を抱き止めて食い付かんとする一瞬で、完成度は高かった。でも、冷静になるとやり過ぎだったかもしれない。
だけど先輩の心配と僕の心配とは種類が違ったんだけどね。
僕と先輩は清光学園の学園祭の出店を冷やかしながら、パンフレットを広げた。学園祭を志望校の見学として兼ねる中学生は多い様で、学園主催のブースで配っていた受験案内のパンフレットの手提げを持っている中学生らしき人達も結構目についた。
「侑はどんな高校目指してる?清光は考えたことある?」
そう先輩に聞かれて僕は首を傾げた。
「…まだ全然。ここはレベル高すぎて考えもしなかったけど。先輩はいつからここ受けようって思ったんですか?」
すると先輩はチラッと周囲に目をやってから、文化系の展示ブースの方へ足を向けながら話し出した。
「最初は弓道が強い高校が良いかなとあちこち調べてたんだ。でもここが自由な校風で、調べれば調べるほど楽しそうな高校だって知って、どうしても此処に入りたくなって。レベルも高くて大変だけどね。でもチャレンジし甲斐があるよ。」
僕は先輩の言葉を受けて、改めて周囲を見回した。確かに展示物は凝ったものが多いし、高校生たちの顔つきはイキイキしている。
写真部のブースを通りかかると、そこはコスプレのイベントをやっていた。結構人気がある様で、冷やかしも含めて混雑している。
「ねっ!君達コスプレしていかない?…君絶対似合うって!あのさ、宣伝用に使わせて貰えるなら無料で良いから、やってみない?」
僕と先輩は顔を見合わせて、張り出されたコスプレの写真を眺めた。かなり凝っているみたいだ。先輩が吸血鬼のコスプレを指さして言った。
「これなんかどう?侑は色白だから似合いそう。」
僕は眉を顰めて言った。
「ちょっと僕じゃチビすぎない?吸血鬼って背が高いイメージだから。先輩ならいけるでしょ。」
そう言って、会うたびに背が高くなる先輩を見上げた。今は175cmくらいはありそうだった。僕と10cm以上差が出来てる気がする。
「じゃあ、彼が吸血鬼で君はその餌食の貴族令嬢か、令息って感じでどうかな。いや、めちゃくちゃ良いと思う!さ、こっちだから!」
いつの間にか僕達はコスプレする事になっていて、写真部の高校生の勢いのまま僕たちは更衣室へと連れて行かれた。何でもここは写真部とコスプレ部との合同ブースとなっていたみたいで、道理で凝ったコスプレ写真が多いのも頷けた。
結局僕は衣装に着替えて、肩までの黒髪のカツラを被って少しメイクをされて貴族令息になった。先輩の吸血鬼のコスプレは酷くマッチして、お互いにクスクス笑い合ってしまった。
瀟洒なソファに座らされて先輩の吸血鬼に襲われるポージングを幾つか撮って、終いには感覚が麻痺してノリノリで先輩の脚の間に横たわって喉を曝け出す様なポーズまでしてしまった。
写真を撮っている人が妙に増えてギャラリーが集まると、それはそれで居た堪れなくなって、僕たちは苦笑してブーイングの中終わりにした。
「凄く良かったよ!この写真宣伝用にしたいんだけど、良いかな?ありがとう!俺の最高傑作撮れて、やっぱり被写体ありきなのかなぁ!」
そう興奮気味に盛り上がっている写真部の人達に見送られて、ポラロイド写真を数枚手にして僕らはブースを後にした。先輩は僕らの写真をじっと見つめてボソリと言った。
「…これ、マズイかも。」
そう言う先輩の手の中の写真は、すっかり貴族令息になった僕を抱き止めて食い付かんとする一瞬で、完成度は高かった。でも、冷静になるとやり過ぎだったかもしれない。
だけど先輩の心配と僕の心配とは種類が違ったんだけどね。
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