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僕は僕
王子様の招待
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「まったく!ジュシアは散歩に行っただけなのに王子を釣って来ちゃうんだから。」
そうブツブツ小言が止まらないガブリエルと馬車に乗りながら、僕達はビショップを連れて王宮へと向かっていた。僕はお出掛けで嬉しいビショップを撫でながら尋ねた。
「ガブリエルは王子様に面識はあるの?王子様はガブリエルの事知ってるみたいだったけど。」
するとガブリエルは首を傾げて言った。
「確かにアーサー王子は僕の二つ上の学年に在籍しているけど。でも面識はないよ。遠目で見た事はあるけどね?」
僕は満面の笑みでガブリエルを抱き寄せて言った。
「僕のご主人様はとても優秀だって、従者が秘密の手帳を見ながら王子に教えていたよ?ボードゲームも得意だって。」
ガブリエルは悪い気はしなかったのだろう、少し機嫌を直して言った。
「…じゃあ、もしかして王子と勝負することになるのかな。わざと負けないといけないとか?」
僕は声を立てて笑って言った。
「あの王子は僕が見るに全力を出した方が喜ばれるタイプだよ。勝負になる相手がいないってぼやいていたから。それよりビショップが王子の犬と兄弟犬って本当なの?」
するとガブリエルがにっこり笑って言った。
「ビショップは兄上の犬だけど、確かに父上が王宮から下げ渡されたって言って連れて来たんだ。どうして父上に下げ渡されたのかは知らないけどね。ビショップ、お前の兄弟に会えるぞ?」
僕とガブリエルの顔を交互に見ながらビショップは可愛い顔を僕の手の中に押し付けてきた。僕はビショップに言った。
『ビショップ、お前、自分の兄弟の事覚えてる?楽しみだね。きっと一緒に遊べて楽しいよ?』
するとビショップは僕の手に顔を擦り付けて甘えながら言った。
『きょうだい?きょうだいって何?おいしいもの?遊びに行くの?いっぱい遊ぶ?みんなで遊ぶ?』
畳み掛ける様に興奮したビショップに、僕は笑いながら僕をじっと見つめるガブリエルを見上げた。
「ジュニ、犬と話せる事王子にバレない様に気をつけてね?色々不味いことになりそうだから。」
僕はケインにも人間離れして見えると言われた事を思い出して、ガブリエルににっこり笑い掛けて言った。
「大丈夫だよ。僕が話し掛けたらきっと王子様の犬がびっくりしちゃうでしょ?それはそれで問題になっちゃうからね?でも僕も王宮は初めてだから実はちょっと楽しみだよ。ガブリエルは来たことあるの?」
「僕も初めてだよ。確かにこんな事は特別な事だね。まぁ、せっかくここまで来たんだから、王宮を楽しもうか。」
そう言いながら王宮の門をくぐる僕たちは二人とも目がキラキラしていたんだ。
そうブツブツ小言が止まらないガブリエルと馬車に乗りながら、僕達はビショップを連れて王宮へと向かっていた。僕はお出掛けで嬉しいビショップを撫でながら尋ねた。
「ガブリエルは王子様に面識はあるの?王子様はガブリエルの事知ってるみたいだったけど。」
するとガブリエルは首を傾げて言った。
「確かにアーサー王子は僕の二つ上の学年に在籍しているけど。でも面識はないよ。遠目で見た事はあるけどね?」
僕は満面の笑みでガブリエルを抱き寄せて言った。
「僕のご主人様はとても優秀だって、従者が秘密の手帳を見ながら王子に教えていたよ?ボードゲームも得意だって。」
ガブリエルは悪い気はしなかったのだろう、少し機嫌を直して言った。
「…じゃあ、もしかして王子と勝負することになるのかな。わざと負けないといけないとか?」
僕は声を立てて笑って言った。
「あの王子は僕が見るに全力を出した方が喜ばれるタイプだよ。勝負になる相手がいないってぼやいていたから。それよりビショップが王子の犬と兄弟犬って本当なの?」
するとガブリエルがにっこり笑って言った。
「ビショップは兄上の犬だけど、確かに父上が王宮から下げ渡されたって言って連れて来たんだ。どうして父上に下げ渡されたのかは知らないけどね。ビショップ、お前の兄弟に会えるぞ?」
僕とガブリエルの顔を交互に見ながらビショップは可愛い顔を僕の手の中に押し付けてきた。僕はビショップに言った。
『ビショップ、お前、自分の兄弟の事覚えてる?楽しみだね。きっと一緒に遊べて楽しいよ?』
するとビショップは僕の手に顔を擦り付けて甘えながら言った。
『きょうだい?きょうだいって何?おいしいもの?遊びに行くの?いっぱい遊ぶ?みんなで遊ぶ?』
畳み掛ける様に興奮したビショップに、僕は笑いながら僕をじっと見つめるガブリエルを見上げた。
「ジュニ、犬と話せる事王子にバレない様に気をつけてね?色々不味いことになりそうだから。」
僕はケインにも人間離れして見えると言われた事を思い出して、ガブリエルににっこり笑い掛けて言った。
「大丈夫だよ。僕が話し掛けたらきっと王子様の犬がびっくりしちゃうでしょ?それはそれで問題になっちゃうからね?でも僕も王宮は初めてだから実はちょっと楽しみだよ。ガブリエルは来たことあるの?」
「僕も初めてだよ。確かにこんな事は特別な事だね。まぁ、せっかくここまで来たんだから、王宮を楽しもうか。」
そう言いながら王宮の門をくぐる僕たちは二人とも目がキラキラしていたんだ。
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