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僕は僕
美しい少年の正体
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「驚かせて済まぬ。最初はその犬があまりにも私の犬に似ていたからな。もしや兄弟犬かと思って思わず声を掛けさせたのだが…。そなたはまた随分と変わっている。なぜそんなに光って見えるのだ?」
僕は今、この国の王子様の前で顔を引き攣らせて、失礼の無いように応対していた。強引に王子様の馬車に乗せられて、止まった馬車の中で事情聴取を受けているところなんだ。
王宮の馬車は普通の貴族の馬車よりも豪華で広く、王子付きの抜け目の無い従者がこちらを探るように見つめている。僕はガブリエル達に迷惑が掛からないように、どう答えたものか考え込んでいた。
すると従者が王子に言った。
「王子、最近王都の噂で聞いたことがあります。何でも神の使いと称する若い男が居ると。教会の方でもその男を神の使いであると認定したと専らの噂です。」
すると王子は従者に尋ねた。
「なぜその様な話が王宮に届いていないのだ?私は初めて聞いたぞ?」
従者は僕の事を見つめながら、僕に話をする様に促した。僕は困ったと思いながら渋々話し出した。
「私はジュシアと申しますが、実は聖水の滝壺へ遊びに行ってから、突然身体が光りを纏う様になりました。それまではマケロン伯爵家の次男、ガブリエル様の遊び相手をしながら、王都で衣装の見立ての仕事などを時々しておりました。
教会にて、神の使いの精査の結果、聖水の見分けが出来る事より神の使いの認定を頂きました。私はそれだけの男です、王子様。」
王子は従者に尋ねた。
「マケロン伯爵のところのガブリエルだが、存じておるか?確か今年学院一年にマケロン家の子息がいた筈だ。」
従者は何かを思い出す様に手元の手帳を捲っていたけれど、ガブリエルの該当ページだったのだろう。指をなぞって言った。
「確かに今年から学院生ですね。学業に秀でて、飛び級の話も出ている様です。ボードゲームは飛び抜けて得意の様です。」
僕はガブリエルがそんなに立派に評価されている事に、驚きと喜びを感じてにっこり微笑んだ。そんな僕を見て、王子様は言った。
「もしかして其方がガブリエルの腕前を上げたのかな?其方はガブリエルの遊び相手だったのであろう?」
僕は思わず自慢げに言った。
「確かに私もお相手をしましたが、最初から聡いガブリエル様の腕前を伸ばす手助けをしただけです。ガブリエル様は子供らしからぬ大人びた所が有りますから。」
そんな僕を見つめた後、王子はビショップの頭を優しく撫でると言った。
「…そうか。私もガブリエルに会って話をしてみたくなった。中々どうしてボードゲームの好敵手とは出会えないからな。近々ガブリエルと一緒に王宮へ参れ。勿論この兄弟犬を連れてな。」
僕は今、この国の王子様の前で顔を引き攣らせて、失礼の無いように応対していた。強引に王子様の馬車に乗せられて、止まった馬車の中で事情聴取を受けているところなんだ。
王宮の馬車は普通の貴族の馬車よりも豪華で広く、王子付きの抜け目の無い従者がこちらを探るように見つめている。僕はガブリエル達に迷惑が掛からないように、どう答えたものか考え込んでいた。
すると従者が王子に言った。
「王子、最近王都の噂で聞いたことがあります。何でも神の使いと称する若い男が居ると。教会の方でもその男を神の使いであると認定したと専らの噂です。」
すると王子は従者に尋ねた。
「なぜその様な話が王宮に届いていないのだ?私は初めて聞いたぞ?」
従者は僕の事を見つめながら、僕に話をする様に促した。僕は困ったと思いながら渋々話し出した。
「私はジュシアと申しますが、実は聖水の滝壺へ遊びに行ってから、突然身体が光りを纏う様になりました。それまではマケロン伯爵家の次男、ガブリエル様の遊び相手をしながら、王都で衣装の見立ての仕事などを時々しておりました。
教会にて、神の使いの精査の結果、聖水の見分けが出来る事より神の使いの認定を頂きました。私はそれだけの男です、王子様。」
王子は従者に尋ねた。
「マケロン伯爵のところのガブリエルだが、存じておるか?確か今年学院一年にマケロン家の子息がいた筈だ。」
従者は何かを思い出す様に手元の手帳を捲っていたけれど、ガブリエルの該当ページだったのだろう。指をなぞって言った。
「確かに今年から学院生ですね。学業に秀でて、飛び級の話も出ている様です。ボードゲームは飛び抜けて得意の様です。」
僕はガブリエルがそんなに立派に評価されている事に、驚きと喜びを感じてにっこり微笑んだ。そんな僕を見て、王子様は言った。
「もしかして其方がガブリエルの腕前を上げたのかな?其方はガブリエルの遊び相手だったのであろう?」
僕は思わず自慢げに言った。
「確かに私もお相手をしましたが、最初から聡いガブリエル様の腕前を伸ばす手助けをしただけです。ガブリエル様は子供らしからぬ大人びた所が有りますから。」
そんな僕を見つめた後、王子はビショップの頭を優しく撫でると言った。
「…そうか。私もガブリエルに会って話をしてみたくなった。中々どうしてボードゲームの好敵手とは出会えないからな。近々ガブリエルと一緒に王宮へ参れ。勿論この兄弟犬を連れてな。」
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