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新しい僕
ポーション
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僕は好奇心で目を輝かせているルークを横目に、ただひたすら困っていた。あんなのは冗談に過ぎないのに。入り口で真っ白な上衣を着せられて手を綺麗に洗うと、聖水の入った大きな瓶が何本か並んでいた。
僕はそのガラス瓶を眺めて首を傾げた。
「ここにあるものは全て同じものですか?これだけ違って見えますね。」
僕がそう言うと、ルークが近づいて来てガラスに顔を寄せた。それから僕を見上げて言った。
「いや、私には同じものに見えるが。」
僕はもう一度顔を寄せて目を凝らせた。やっぱり違って見える。色は同じ透明だけど、こちらの数本はキラキラと細かな粒子が揺れている。他は普通の水の様だ。
「僕にはこの3本はまるで別に見えますけど。ちょっとキラキラしていると言うか。こっちの2本は普通の水っぽいです。」
すると顔を青褪めさせた司祭の一人が、一緒に来ていた司祭長達に跪いて言った。
「申し訳ありません!聖水が無くなってしまって普通の水を代わりに使おうと先程汲んできたんです。」
僕は顰めっ面している副司祭長の顔を見つめて言った。
「僕ちょっと前に滝壺まで行ったんですけどね、あそこはなかなかどうして辿り着くのも、重い聖水を下げて戻るのも大変な場所でしたよ。皆さん行った事が有りますか?おじさんが一人で汲みに行っているみたいでしたけど…。」
すると項垂れた司祭がハッと顔を上げて言った。
「実はいつも聖水を運んでくれているその人が、怪我をしてしばらく行かれないと言う事だったのです。けれどもポーションの供給本数は賄わないといけないしで、思わず…!申し訳ありません!」
司祭長は僕の方を向いて言った。
「これは解決しなければならない教会の問題ですね。確かに聖水はあの男に任せきりでしたから。私達も何か手立てを考えないといけないかもしれません。しかしジュシア様の神の使いというお力は、ここに証明されました。
それにやはり聖水には特別な力があるという事がはっきり分かって、こんなに喜ばしい事はありません。」
そう言って僕の方を向いて微笑んだ。僕もリアル神の使いの片鱗を見せることが出来て、正直ホッとした。
それからポーションを一緒に作ったものの、別に僕が作ったからと言って見た目に変化も見えなかったので、実際に使用比べてみないと、それについては分からないと言うことになった。
僕はルークと馬車に乗って教会を出立しながら、とりあえず教会に弾劾されたりする恐れは無くなったと思って、胸を撫で下ろした。そんな僕の顔を見つめながら、ルークは急に甘やかな表情で呟いた。
「さっきから我慢してたんだ。…今からジュシアの部屋に行ってもいいかい?さっきの続きをしよう。」
僕はそのガラス瓶を眺めて首を傾げた。
「ここにあるものは全て同じものですか?これだけ違って見えますね。」
僕がそう言うと、ルークが近づいて来てガラスに顔を寄せた。それから僕を見上げて言った。
「いや、私には同じものに見えるが。」
僕はもう一度顔を寄せて目を凝らせた。やっぱり違って見える。色は同じ透明だけど、こちらの数本はキラキラと細かな粒子が揺れている。他は普通の水の様だ。
「僕にはこの3本はまるで別に見えますけど。ちょっとキラキラしていると言うか。こっちの2本は普通の水っぽいです。」
すると顔を青褪めさせた司祭の一人が、一緒に来ていた司祭長達に跪いて言った。
「申し訳ありません!聖水が無くなってしまって普通の水を代わりに使おうと先程汲んできたんです。」
僕は顰めっ面している副司祭長の顔を見つめて言った。
「僕ちょっと前に滝壺まで行ったんですけどね、あそこはなかなかどうして辿り着くのも、重い聖水を下げて戻るのも大変な場所でしたよ。皆さん行った事が有りますか?おじさんが一人で汲みに行っているみたいでしたけど…。」
すると項垂れた司祭がハッと顔を上げて言った。
「実はいつも聖水を運んでくれているその人が、怪我をしてしばらく行かれないと言う事だったのです。けれどもポーションの供給本数は賄わないといけないしで、思わず…!申し訳ありません!」
司祭長は僕の方を向いて言った。
「これは解決しなければならない教会の問題ですね。確かに聖水はあの男に任せきりでしたから。私達も何か手立てを考えないといけないかもしれません。しかしジュシア様の神の使いというお力は、ここに証明されました。
それにやはり聖水には特別な力があるという事がはっきり分かって、こんなに喜ばしい事はありません。」
そう言って僕の方を向いて微笑んだ。僕もリアル神の使いの片鱗を見せることが出来て、正直ホッとした。
それからポーションを一緒に作ったものの、別に僕が作ったからと言って見た目に変化も見えなかったので、実際に使用比べてみないと、それについては分からないと言うことになった。
僕はルークと馬車に乗って教会を出立しながら、とりあえず教会に弾劾されたりする恐れは無くなったと思って、胸を撫で下ろした。そんな僕の顔を見つめながら、ルークは急に甘やかな表情で呟いた。
「さっきから我慢してたんだ。…今からジュシアの部屋に行ってもいいかい?さっきの続きをしよう。」
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