カワウソの僕、異世界を無双する

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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新しい僕

司祭長side目の前の奇跡?

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司祭達が何やらコソコソと深刻な様子で話をしているのは感じていた。ここは沈黙の教会とは言われているけれど、神の事に関しては当てはまらない。では彼らが話をしているのは今王都で噂になっている光り輝く人間の話だろうか。

その日の夕方、副司祭長が一緒に食事を摂りながら唐突に話し始めた。

「司祭長もお聞き及びですか、光を発する人間の噂を。私が部下に王都へ調査に出したところ実在する様です。しかもその人物はマケロン伯爵家が後見している様です。人物の身元も確かですから一度教会で話を直接聞いてみてはいかがですか。

流石に神々しく光を帯びて、神の使いだと噂されている者を教会としても放っておくわけにもいきません。」


私も気になる話だったので反対する理由もなく、こうして対面の運びとなった。彼と後見の伯爵代理で付き添っているマケロン伯爵令息から聞く話は、とてもじゃないが理解が及ばなかった。

麗しい青年は見かけよりも年齢が上のようだったけれど、明るい性格が滲む様な好感の持てる者だった。ぼんやりと光を纏う事が無くても、街を歩けば人目を集めるだろう。


その彼が自分から立ってスルリと衣装の中に埋もれた時には、流石に心臓がドキドキした。伯爵令息が慣れた手つきで衣装を腕に掛け集めながら、見たこともない小さな動物を抱き上げた。

耳障りな聞いたことのない音を発する動物は、伯爵令息の胸にしがみついて私の方を見て小さな器用そうな手を振った。その非常に人間臭い仕草に思わず微笑むのを止められなかった。何とも可愛い。


やはりぼんやりと光る姿は可愛らしい聖獣と呼ぶべきなのだろう。そして青年の言った通り、神の使いと言っても奇跡の様なものを我々に授けるものではないのかもしれない。その神々しい存在がこの国に留まることで十分なのか?

「元の姿には戻れますかな?可愛らしい聖獣なのは良く分かりましたが、そのままではお話出来かねます。」

すると人型に戻るには全裸になってしまうので、何処か着替える場所が必要だと伯爵令息が申し出たので、私は部屋の外に待機していた司祭に客室へ案内する様に言った。着替えたら食堂で一緒に食事をとりながら話の続きをする事にして、令息に抱かれた聖獣が肩越しに私に手を振るのをくすぐったい気持ちで見送った。


いつの間にか部屋に入ってきた副司祭長が、令息達を振り返りながら目を見開いて言った。

「司祭長、何ですかあの光る獣は。何やら随分可愛らしかったですが…。」

私は副司祭長の顔を見ながら、私にも理解できない話を彼に上手く説明できるだろうかとため息をついた。
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