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新しい僕

ご主人様とベッドトーク

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結局今夜はガブリエルの部屋で過ごす事に決まった僕は、人型に戻って大きく伸びをすると執事見習いケニーの用意してくれたローブを羽織った。ケニーは他の人とようやく僕について話せると喜んでいたけれど、取り敢えずケインとだけ話してて欲しい。多分他の人と話が合わないだろうからね?騙しててごめんね、ケニー。

僕はガブリエルのベッドに潜り込むと、隣で寝転んでニコニコご機嫌なガブリエルの頭を撫でた。

「ガブリエルのお陰で、僕も堂々とこの世界でありのままの姿で生きていけそうだよ。ありがとう。」


するとガブリエルは微笑むのをやめて、少し不安気な顔をして言った。

「ね、本当はあの滝壺の裏で何かあったんじゃないの?ギーク侯爵家の庭園にあった滝壺を模したものは、裏に洞窟があって祭壇の様なものがあったでしょ?実際に見て模したんだから、あそこは神聖なジュニと何か関わりのある場所だと思ったんだけど。」

僕は誰にも本当のことを言うつもりは無かった。僕はあの滝壺の裏で以前の自分を捨てたんだから。実際コツメカワウソと人型と入れ替われる僕は以前の自分とはまるで違う生命体なんだから。


「ガブリエル、滝壺の裏は岩塊で崩れ落ちていて、洞窟自体無くなっていたよ。少し隙間があったから入ってみたけど、特に何も見つからなかった。でもあそこはやっぱり神聖な場所なんだね。お陰で僕もピカピカしちゃって。

元々僕はあそこで誕生したみたいだから、神様の使いは大袈裟でもちょっと変わり者なんだろうね。でもそんな僕をガブリエルは最初から大事にしてくれたし、匿ってくれたでしょ。本当にありがとう。」


僕がそう言うと、ガブリエルは僕をじっと見つめて言った。

「僕がジュニを大事にする理由は、ジュニが大好きだからだよ。僕の親友で、僕の大好きな人。」

そう言って僕の首に手を回して、小さな唇を僕の唇に押し付けてきた。それはガブリエルの最大限の愛情の示し方で、僕は何だか感動してしまった。

僕はガブリエルを腕の中にそっと抱き寄せながら、可愛いガブリエルのおでこにキスして言った。


「僕もガブリエルが大好きだよ。僕の親友で、僕の保護者で、僕のご主人様で、僕の大好きな人。」

そう言うとガブリエルはクスッと笑って、少し眠そうな顔で呟いた。

「‥なんか、僕の方が偉いみたい…。」

僕は目を閉じたガブリエルに優しく囁いた。

「お休みなさい、ご主人様。僕はずっと側にいますよ。」






~お知らせ~

新作BL『お隣さんは僕のまたたび』本日18時公開開始します♡

1500~2000/話で、そこそこ読み応えを出しました。私も成長していますっ☆
兎角注目されがちな『僕』と、隣に住む幼馴染の兄弟との成長に伴うすれ違いや、葛藤、執着や嫉妬、そしてハピエンの溺愛を描いています。主人公の癖のあるキャラクターにどっぷりハマって書くのが楽し過ぎです。ちょっと淫靡な感じですw
まずは読んで頂いて、刺さって貰えたら嬉しいです♡よろしくお願いします!


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