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自分探し

暴露

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僕は時間稼ぎをしていた。アルフレッドに何処まで自分の事を明らかにするのか食べながら考えていたんだ。ガブリエルやルークは案外すんなりカワウソと僕の同一性を受け止めてくれたけれど、アルフレッドはどうだろう。

ただ侯爵家の人間である彼を巻き込んだ方が、後々面倒がない気がしたのは確かだ。この人脈を利用しない理由はない。それに僕はとっておきの理由を考えついていた。それが良い方向に出るかどうかは別だけど。


しかし、この身体いつになったら光らなくなるのかな。もうあの洞窟から出て結構な時間が経っているのに。あの場所から離れれば消える気がしたけれど、距離は関係なさそうだった。そうなると時間?でも思ったより長く光ってる。僕はふと顔を上げてアルフレッド聞いてみた。

「アルフレッド様、僕さっきよりも光らなくなりましたか?」

するとアルフレッドは、僕をじっと見つめて首を傾げた。

「どうだろう。そう言われてみれば街の中で見た時よりは光ってないかもしれないな。一体どう言う事なのか教えてくれるんだろう?」


お腹もいっぱいになって人心地ついた僕は、どうしたものかとアルフレッド様を見つめた。そして思い切って口を開いた。

「実は僕、神様の使いなんです。僕のこの姿は人型ですけど、獣にも変幻自在なんですよ?」

僕のその言葉に、アルフレッドは口も聞けない様だった。確かにアルフレッドはジュニ姿の僕を知らないからなぁ。ようやく口を開いたアルフレッドは眉間に皺を寄せて言った。

「…獣。ジュシアが獣になるのかい?」

僕は頷いて、皿の上から美味しい葡萄を摘みながら言った。



「ええ。モグモグ。立派な獣ですよ。僕にもこのジュシアと獣のジュニ、どちらが本体なのか判断つきませんが。でも神様の使いならそれもアリじゃないですか?モグモグ。この葡萄美味しい!」

アルフレッドは顰めた眉頭に指を添えて、僕の方をじっと見つめていた。どう捉えて良いか分からないみたいだ。ふと思いついた様に僕に頼んできた。

「獣と言うのなら、変幻してくれないか?目の前で見ない限り信じられる話じゃない。だが、ジュシアが発光しているのを見ると満更嘘でもないんだろう。」


僕は手を拭いて立ち上がると、両手を広げて言った。

「では、よく見ていて下さいね。でも僕獣になったら話せなくなっちゃうんだけど。ま、いいか。」

そう言って、コツメカワウソに変身した。じゃーんと効果音が欲しい所だったけれど、僕は自分の服に埋もれてモゴモゴうごめくしかなかった。まったく決まらない。そうっとアルフレッドが服をどかしてくれて、僕は立ち上がって手を叩いた。

まぁ、キュー、キュー鳴くのもびっくりさせちゃうかもしれないしね。目を丸くしたアルフレッドは一応周囲を見回して、もう一度僕に目をやって言った。


「…ジュシアだったのか?あの時店先に居たのは!なんて事だ…。」

そう言うと、アルフレッドは急に満面の笑みで僕を抱き上げると優しく抱っこして背中を撫でた。あ、なんか知らないけど、撫でるの気持ちいい…。

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