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自分探し
滝壺
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僕は滝壺に飛び込みたくてウズウズしていた。懐かしい故郷のように感じるこの場所は確かに僕が一時期呑気に過ごしていた場所に違いなかった。
こうして人型の目線で見てみれば、ここは妙に閉ざされた雰囲気があった。僕が野性のカワウソ時代にここから出ようと思わなかった理由が分かった。
記憶とは確かに地形は少し変わっていたけれど、滝壺をぐるりと取り囲む白い木肌の木々が、美しい葉っぱを水辺に向けて枝を伸ばしていた。今こうして眺めると、それはまるでここを守る結界の様に見えなくもなかった。
おっさんは結界から少しはみ出した浅瀬の岩場を指差して言った。
「わしはあそこでいつも聖水を汲んでいくんだ。滝壺自体はえらく深いからな。うっかり落ちてもここじゃ誰も助けてくれないだろ?…それに何となくあの白い木の奥へは行っちゃいけない気がしてなぁ。」
おっさんの言葉に僕とケインは顔を見合わせて、白木の奥の水飛沫を上げる美しい滝壺を眺めた。
「…ジュシア、あそこに本当に行くのか?俺、何か行きたくないんだけど。」
強張った表情のケインが周囲を見回しながら言った。僕は以前とは違って見えるこの場所に、好奇心を膨らませて言った。
「いいよ。ここで待ってて。ちょっと僕、ぐるっと一周してくるから。僕さ、滝壺の裏側に行きたいんだ。アルフレッド様のお庭にあった模したあれが本当だとすると、行ってみなくちゃ。」
すると、ケインは諦めた様に肩をすくめて言った。
「ジュシア一人で行かせるわけないだろ?ガブリエル坊ちゃんに怒られちまう。そのために一緒に来た様なもんだからな。」
そう言ったケインに僕は眉を持ち上げてウインクした。なんやかんだ言っても、ケインは男気の塊だ。ケインはおっさんに、もしも自分達がずっと戻って来なかったら誰かに探させてくれとひと言頼んで、先に歩き出した僕に慌てて追いついてきた。
ケインの心配とは裏腹に、僕は結構ウキウキとしていた。ここは随分気持ちが良い。僕がここから出る気持ちにならなかった理由がそこにある気がした。
僕がそう言おうとケインを振り返ると、ケインは用心深い顔つきで周囲を見回していた。僕とあまりにもテンションの違うケインに、僕は声を立てて笑った。ああ、ここは少なくとも僕にとっては悪い場所じゃないのは確かなんだ。僕は滝壺の奥目指して意気揚々と歩き出した。
こうして人型の目線で見てみれば、ここは妙に閉ざされた雰囲気があった。僕が野性のカワウソ時代にここから出ようと思わなかった理由が分かった。
記憶とは確かに地形は少し変わっていたけれど、滝壺をぐるりと取り囲む白い木肌の木々が、美しい葉っぱを水辺に向けて枝を伸ばしていた。今こうして眺めると、それはまるでここを守る結界の様に見えなくもなかった。
おっさんは結界から少しはみ出した浅瀬の岩場を指差して言った。
「わしはあそこでいつも聖水を汲んでいくんだ。滝壺自体はえらく深いからな。うっかり落ちてもここじゃ誰も助けてくれないだろ?…それに何となくあの白い木の奥へは行っちゃいけない気がしてなぁ。」
おっさんの言葉に僕とケインは顔を見合わせて、白木の奥の水飛沫を上げる美しい滝壺を眺めた。
「…ジュシア、あそこに本当に行くのか?俺、何か行きたくないんだけど。」
強張った表情のケインが周囲を見回しながら言った。僕は以前とは違って見えるこの場所に、好奇心を膨らませて言った。
「いいよ。ここで待ってて。ちょっと僕、ぐるっと一周してくるから。僕さ、滝壺の裏側に行きたいんだ。アルフレッド様のお庭にあった模したあれが本当だとすると、行ってみなくちゃ。」
すると、ケインは諦めた様に肩をすくめて言った。
「ジュシア一人で行かせるわけないだろ?ガブリエル坊ちゃんに怒られちまう。そのために一緒に来た様なもんだからな。」
そう言ったケインに僕は眉を持ち上げてウインクした。なんやかんだ言っても、ケインは男気の塊だ。ケインはおっさんに、もしも自分達がずっと戻って来なかったら誰かに探させてくれとひと言頼んで、先に歩き出した僕に慌てて追いついてきた。
ケインの心配とは裏腹に、僕は結構ウキウキとしていた。ここは随分気持ちが良い。僕がここから出る気持ちにならなかった理由がそこにある気がした。
僕がそう言おうとケインを振り返ると、ケインは用心深い顔つきで周囲を見回していた。僕とあまりにもテンションの違うケインに、僕は声を立てて笑った。ああ、ここは少なくとも僕にとっては悪い場所じゃないのは確かなんだ。僕は滝壺の奥目指して意気揚々と歩き出した。
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