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ジュシアの生活

後見人

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家庭教師が待つ図書室へと消えるガブリエルに小さな手を振って、ケインに抱えられて歩きながら、僕は今日やる事を考えていた。ケインが馬車で王都での用を足す間に、僕もあの古着屋に顔を出すつもりだった。ケインの部屋で以前古着屋で貰った服を着ながら、僕は言った。

「ケイン、僕ここに居られなくなった時のために、部屋を借りれるだけの資金を貯めたいんだ。それに以前一緒に店で飲んだ商人が言っていた、商業ギルドも覗いてみたいしね?」


するとケインは思案顔で、僕を見つめて言った。

「部屋に関しちゃ心当たりが無いこともないぜ。俺の親戚が手広く斡旋してるんだ。安く借りられる様に頼んでやるよ。」

僕は礼を言いながら、椅子に座って靴の紐を結びつつ、ふとアルフレッドの言葉を思い出して尋ねた。

「そう言えば、アルフレッドが伯爵家の使用人は、縁故で雇われるはずだって言ってたんだけど、ケインも何か繋がりがあったの?」

すると、その部屋の手配をしている親戚が、伯爵家と懇意にしている子爵家なのだと言う。僕は顔を上げてケインをマジマジと見た。

「じゃあ、ケインは子爵家ゆかりの人間なの?」


ケインは苦笑して、自分は子爵家ゆかりとは言っても縁戚の端だから関係ないと言った。僕はそれでもケインがガブリエルの護衛兼お供をしている理由が腑に落ちたんだ。伯爵令息の側に置く者を単なる庶民にするはずは無いって。

だから僕ももし王都で独り立ちするなら、誰かしらの後見人が必要なのかもしれないと、眉を顰めた。

「ね、もしかして僕も誰かしらの後見があった方が生きやすいのかな。ケインのその親戚に僕を紹介してくれない?」


するとケインは頭をボリボリ掻きながら、言った。

「俺が紹介するのは容易いけど、どちらかというとギーク侯爵家に後見してもらえるんじゃないのか?だって、ジュシアは御令息の命の恩人だろ?」

ケインの言葉に、侯爵がなんでも願いを言ってくれと言われたあの時の事が蘇ってきた。でもアルフレッド絡みでこれ以上深い入りするのは何だか気が進まない。かと言ってマケロン伯爵家には頼めないし。


「最悪、どうしても困ったら侯爵家のカードを切るとして、取り敢えず僕は自分で何とか頑張ってみるよ。」

僕がそう言って笑うと、ケインはお前は見かけよりずっと男気があるよなと妙な褒め方をした。いや、僕は立派な男ですが。多少お腹がぷよぷよでも、ガブリエルを怯えさせる様なシンボルはちゃんと付いてますからね!?

そう僕が息巻いて言うと、ケインは口元をモニョモニョしながら、同情めいた眼差しで見つめた。あー、ほんとマッチョは上から目線で困るよ!




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