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夜遊びの副産物

ルークside信じられない

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部屋の扉が閉まる音を聞いた途端、私は堪えていた息を大きく吐き出した。一体今起きたのはどういう事なんだ。私が全裸の彼を腕の中に抱えたまま、どうしたら良いかと葛藤していると、彼が目覚めた気がした。

私は思わず眠っているふりをして、彼の出方を待った。このまま私の腕の中に残るのなら、それは同意と言うことになるのではないかと思ったのだ。私が据え膳状態のこんな状況で慎重になるなんて、友人らに話したら笑われそうだが、どうしても彼に嫌われたくはなかった。


すると、予想もしない事が起きた。彼が突然腕の中でジュニになった。私はびっくりして、でもなぜか気づかれない方が良い気がして、動揺しながらもじっとして寝たふりを決め込んだ。

ジュニはモゾモゾとベッドから這い出ると、しばらく私の顔を覗き込んでいる様だったけれど、掛け物の上をトントンと足元へと移動して、あっという間に扉のところまで辿り着いた。


薄く開けた目で伺い見ていると、ジュニはまた彼に戻って扉を開けると、まだ暗い廊下へと白い身体をすり抜けさせて、こちらを振り向きもせずに出て行ってしまった。廊下の向こうのガブリエルの部屋の扉の開閉音がして、私は彼が、いや、ジュニが部屋に戻ったのを知った。

私はガバリとベッドから起き上がると、閉じられた扉をぼんやりと見つめた。一体今のはどう言う事なんだ?彼がジュニになった。それは夢なんかじゃない。腕の中で変化したんだから。


そしてまたジュニは彼になって部屋を出て行った。考えればそれも当然だ。ジュニでは部屋を開けることも出来ないのだから。私はテーブルの上の空っぽの皿とグラスを見つめて、昨夜のジュニを思い出した。

あの時ジュニは階段の方へ行こうと廊下に居たんだ。今考えればどうやって部屋を出たのか説明がつかない。ガブリエルが眠る時は部屋の扉はきちんと閉められるので、絶対にジュニには開けられない。


それに何処に行こうとしたんだ?ジュニならテラスから外に出て闇夜を彷徨くという事も考えられるけど、もしかして誰かのところへ行こうとしていたのでは?人型になれると知ってしまえば、目的があったのではと思われた。

私が彼に遭遇したあの夜、この城の階段下に彼が様子を伺っていた理由も納得した。人型で遊んでいたんだ。それを私に気づかれて、誤魔化すためにキスしてきたに違いない。…私に返り討ちにあったけれど。


私はさっき触れた甘い彼の唇の余韻を思い出しながら、ふとガブリエルの言葉を思い出した。

『ジュニが夜遊びから戻ってないみたいです。ジュニは時々そんな事があって。もし昼過ぎまで戻らなかったら、後でケインと馬車で探しに行っても良いですか?』

なぜジュニが夜遊びに行ったとハッキリ言ったのか。庭先を探すとは言わなかった。ケインと馬車で探しに行くと言ったんだ。そしてギーク侯爵家でジュニが人助けした話を執事見習いから聞いたのは、その後だった。


私はこのパズルのピースを頭の中で並べていた。ガブリエルに確認するのは、確証を掴んでからだ。しかし、ジュニが彼だったなんて!私はジュニにあまり懐かれてないんじゃなかったか!?





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