カワウソの僕、異世界を無双する

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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夜遊びの副産物

ガブリエルの本領発揮

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僕とガブリエルが並んで座る目の前に、時々城で見かけていた執事見習いが、ギーク侯爵家の家令に挨拶を終えて馬車に乗り込んで来た。

「さぁ、ジュニも連れ戻せたし、真っ直ぐ城に帰ろう。」

そうガブリエルが執事見習いに堂々と言い放った。いや、ガブリエル、それはちょっと無理があるんじゃないかな。案の定、僕をチラチラ見つめながら、執事見習いは馬車の中をキョロキョロした。


「…ガブリエル様、ジュニは一体何処に居るのですか?それにこの方はどなたですか?」

ですよね~。僕でもそう思う。僕は澄まし顔のガブリエルをチラッと見た。するとガブリエルは執事見習いに言った。

「え?ジュニならここに居るじゃない。ケニーは人間仕様のジュニは初めて?え?ほんとに?」

すると目を見開いたケニーは、僕をマジマジと見つめて言った。

「…彼がジュニなんですか?人間仕様…?」


いや、そこは誤魔化されちゃダメでしょ。僕はこの若い執事が段々可哀想になって来た。セバスチャンならこうは行かないよね。僕はガブリエルと繋いでいる小さな手を撫でて言った。

「ガブリエル、彼困ってるでしょ。それに僕、流石に人間になってるのも長過ぎて、ちょっと疲れちゃった。侯爵家で気を張ってたのもあるし。。」

僕がわざとそう言うと、ガブリエルはクスッと笑って僕に笑いかけた。


「流石にそれじゃ城に入れないしね。いいよ。ね、ジュニが脱いだ服、畳んで僕の部屋に運んでね、ケニー。」

そうガブリエルが執事見習いに言うと、彼は訳が分からないと言う様に目をパチパチした。僕は驚かないで下さいねとそれだけ言うと、スルリとカワウソに戻った。服の中に埋もれた僕を、引っ張り出したガブリエルは満面の笑みで僕に言った。

「はぁ、良かった。やっぱり僕はこっちのジュニも大好き。まったく夜遊びがこんな事になるとか、本当ジュニは手が焼けるよ。あ、この服お願いね?」


僕がガブリエルの膝の上で寛ぎながら、横目で執事見習いをチラッと見ると、彼は凍りついていた。口が効けないほどびっくりしたみたいだ。いや、多少は予想してたのかもしれないけど、まさかと思うよね?

ぎこちなく手を伸ばした執事は、座席の上の、一人分空っぽになった服を機械的に片しながら、少し青褪めながら何かぶつぶつと呟いていた。僕がガブリエルを見上げて声を掛けると、ガブリエルは肩をすくめて執事見習いに言った。


「ね。今ここで見た事は、誰にも言っちゃダメだよ?皆知ってても言わないだけだから。ジュニは神様の使いだからね。言葉にして怒らせちゃダメ。分かった?」
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