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夜遊びで釣れるもの
夜の始まり
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結局店の目ぼしい服を組み合わせた後、僕の選んだ服は別日にケインが引き取りに来るという約束を取り付けて、僕らはほくほく顔の店主に見送られて店を後にした。
「ジュニ、いや、ジュシアにそんな才能があるとか、意外だったな。」
そう、ケインに感心した様に言われて、僕は首を傾げた。
「…僕は確かに、以前何処かで人間をしていたのは間違いなさそうだよね。全然記憶はないけど。」
するとケインはニヤリと笑って言った。
「まぁ、記憶はなくても稼げることは分かったんだ。店に飾ったとたん買い手が次々に現れて、おまけにジュシアの様な綺麗どころが見立ててくれたとあっちゃ、売り上げに貢献したのは間違いないからな。
あの店主もたまにで良いから、また来てくれって、服だけじゃなく礼金まで弾んでくれたろう?良かったな、ジュシア。」
僕はケインに釣られてニヤっと笑うと、気分良く酒場へと歩き出した。
「僕もいつまでもジュニとして、城でお世話になっている訳にいかないからね。どうにかして自立する手立てを見つけないと。それにガブリエルも直ぐに学院生活で忙しくなるだろう?今みたいにずっと一緒に遊んでいられるわけじゃないから。」
言葉にすると、それは真実の様に身に迫って感じられた。人間として行動するうちに、僕はカワウソ思考から、より人間の考え方に比重がかたむいてきたみたいだ。
「まぁ、慌てて考えなくても良くねぇか?坊ちゃんもジュニが城を出て行ったら、きっと悲しむぜ?」
ケインの言葉を聞きながら、僕はケインの行きつけの店のドアを押した。そこは舞台の様なものが設けられている、ちょっとしたショーが見られるような酒場だった。
「ここはたまにしか来ないんだが、今日はジュシアと一緒だからな。客層が良い店にしたぜ。」
なるほど、周囲を見渡せば客層にばらつきはあるものの、女性客もちらほら見られる。
僕たちは端のテーブルを選んで、軽い発泡酒とつまみを頼んだ。古着屋で支払いが無かったので、連れてきてもらったお礼にケインに一杯奢った。
「ジュシアはお金の計算が出来るんだな。」
僕が売り子に言われた額のコインを選んで差し出すと、ケインが感心した様に小声で言った。
「そうだね、前回の酒場でおおよそのお金の数え方は理解したんだよ。でもさっきの古着屋では支払ってないから相場が分からなかったな…。」
するとケインは思いの外高い金額を教えてくれた。もし実際に支払うとなったら、ガブリエルから渡されたお金を使わざるを得なかったみたいだ。ガブリエルは勉強で使用した教材用の現金を僕に貸してくれたんだ。
『僕はお金を持たないから、教材用のこれがあって良かった。これ使って?』
僕はガブリエルの優しい顔を思い出しながら口元を緩めると、古着屋から貰った礼金で、お土産に何を買って帰ろうかと考えながら、店の中を見回した。
「ジュニ、いや、ジュシアにそんな才能があるとか、意外だったな。」
そう、ケインに感心した様に言われて、僕は首を傾げた。
「…僕は確かに、以前何処かで人間をしていたのは間違いなさそうだよね。全然記憶はないけど。」
するとケインはニヤリと笑って言った。
「まぁ、記憶はなくても稼げることは分かったんだ。店に飾ったとたん買い手が次々に現れて、おまけにジュシアの様な綺麗どころが見立ててくれたとあっちゃ、売り上げに貢献したのは間違いないからな。
あの店主もたまにで良いから、また来てくれって、服だけじゃなく礼金まで弾んでくれたろう?良かったな、ジュシア。」
僕はケインに釣られてニヤっと笑うと、気分良く酒場へと歩き出した。
「僕もいつまでもジュニとして、城でお世話になっている訳にいかないからね。どうにかして自立する手立てを見つけないと。それにガブリエルも直ぐに学院生活で忙しくなるだろう?今みたいにずっと一緒に遊んでいられるわけじゃないから。」
言葉にすると、それは真実の様に身に迫って感じられた。人間として行動するうちに、僕はカワウソ思考から、より人間の考え方に比重がかたむいてきたみたいだ。
「まぁ、慌てて考えなくても良くねぇか?坊ちゃんもジュニが城を出て行ったら、きっと悲しむぜ?」
ケインの言葉を聞きながら、僕はケインの行きつけの店のドアを押した。そこは舞台の様なものが設けられている、ちょっとしたショーが見られるような酒場だった。
「ここはたまにしか来ないんだが、今日はジュシアと一緒だからな。客層が良い店にしたぜ。」
なるほど、周囲を見渡せば客層にばらつきはあるものの、女性客もちらほら見られる。
僕たちは端のテーブルを選んで、軽い発泡酒とつまみを頼んだ。古着屋で支払いが無かったので、連れてきてもらったお礼にケインに一杯奢った。
「ジュシアはお金の計算が出来るんだな。」
僕が売り子に言われた額のコインを選んで差し出すと、ケインが感心した様に小声で言った。
「そうだね、前回の酒場でおおよそのお金の数え方は理解したんだよ。でもさっきの古着屋では支払ってないから相場が分からなかったな…。」
するとケインは思いの外高い金額を教えてくれた。もし実際に支払うとなったら、ガブリエルから渡されたお金を使わざるを得なかったみたいだ。ガブリエルは勉強で使用した教材用の現金を僕に貸してくれたんだ。
『僕はお金を持たないから、教材用のこれがあって良かった。これ使って?』
僕はガブリエルの優しい顔を思い出しながら口元を緩めると、古着屋から貰った礼金で、お土産に何を買って帰ろうかと考えながら、店の中を見回した。
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