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ガブリエルの名演技
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「兄上、珍しいですね、僕の部屋に来るなんて。」
ガブリエルが嬉しげにルークに声を掛けると、ルークが微笑んでガブリエルの目の前のボードゲームに目をやった。
「一人でやってたのか?…中々良い手だね。いつの間にそんなに腕をあげたんだい?ガブリエル。」
僕はガブリエルの側に走り寄るとソファにつかまり立ちして、ソファに載せてもらう様に頼んだ。ガブリエルはクスッと笑うと、よいしょと僕を抱え上げてソファに乗せてくれた。
「ジュニ、やっぱりもう少し痩せないとね?」
僕の首を撫でながら、ガブリエルがそんな事を言うので、僕は思わずぶつぶつ文句を言ってしまった。するとボードゲームから顔を上げたルークが、僕たちの方を見つめて言った。
「ジュニは本当会話をしてるみたいに反応するんだな。私も忙しくて、中々ガブリエルと時間が取れないから、気になっていたんだが、ジュニが来てくれて良かったよ。」
僕は思わずルークに言った。
『ルークは遊び歩いていて時間がないんじゃないの?ガブリエル、お兄ちゃんは遊び人なんだよ?僕のこと待ち伏せしたり、キスまでしたんだから!』
僕は言っても分からないとばかり、良い気になってペチャクチャと言い募った。するとルークが僕の方をじっと見て呟いた。
「…気のせいか、こいつ私の悪口言ってないか?」
すると、ガブリエルがニヤニヤして僕を覗き込んで、聞いてきた。
「ジュニ?今兄上の悪口言ったの?何て言ったのか知りたいなぁ。」
僕は思わず調子に乗り過ぎたと、手で口を押さえた。するとガブリエルとルークが僕を見て弾ける様に笑い出した。
「ははは、やっぱり図星だったみたい。ジュニはどうも兄上と相性が悪いみたいですね。兄上、ジュニに何かしたんですか?」
ルークは笑いながら心当たりが無いと答えていたけれど、後でガブリエルに追求されたら、どこまでガブリエルの大好きなお兄ちゃんの素行を話すべきか悩むなぁと、僕は眉を顰めた。
ひとしきり笑い終えたガブリエルは、ふとルークに尋ねた。
「そう言えば、何か僕に用があったんじゃないですか?兄上。」
するとルークは急に真面目な顔をしてガブリエルに尋ねた。
「実は昨日、見慣れない青年がこの城の中で目撃されたんだ。ガブリエルは見てないかい?」
ガブリエルは僕の背中を撫でながら、首を傾げて言った。
「いいえ。…僕は見てません。何か問題でもあったんですか?」
ルークは首を振って言った。
「特には何も。ただ、ちょっとやそっとじゃ部外者はこの城に侵入出来ない筈なのに、入り込んだとすると心配だろう?私はともかく、まだ幼いガブリエルに危害を加えないとも限らないからね。一応、眠る時には鍵を掛けて寝る様にしなさい。万が一の用心だ。わかったね?」
ガブリエルはルークの言葉に、妙にニンマリとした笑顔で頷いて言った。
「はい、兄上。そうします。でも、その侵入者が魅力的なら、僕は匿ってしまうかもしれません。ふふ。」
ガブリエルが嬉しげにルークに声を掛けると、ルークが微笑んでガブリエルの目の前のボードゲームに目をやった。
「一人でやってたのか?…中々良い手だね。いつの間にそんなに腕をあげたんだい?ガブリエル。」
僕はガブリエルの側に走り寄るとソファにつかまり立ちして、ソファに載せてもらう様に頼んだ。ガブリエルはクスッと笑うと、よいしょと僕を抱え上げてソファに乗せてくれた。
「ジュニ、やっぱりもう少し痩せないとね?」
僕の首を撫でながら、ガブリエルがそんな事を言うので、僕は思わずぶつぶつ文句を言ってしまった。するとボードゲームから顔を上げたルークが、僕たちの方を見つめて言った。
「ジュニは本当会話をしてるみたいに反応するんだな。私も忙しくて、中々ガブリエルと時間が取れないから、気になっていたんだが、ジュニが来てくれて良かったよ。」
僕は思わずルークに言った。
『ルークは遊び歩いていて時間がないんじゃないの?ガブリエル、お兄ちゃんは遊び人なんだよ?僕のこと待ち伏せしたり、キスまでしたんだから!』
僕は言っても分からないとばかり、良い気になってペチャクチャと言い募った。するとルークが僕の方をじっと見て呟いた。
「…気のせいか、こいつ私の悪口言ってないか?」
すると、ガブリエルがニヤニヤして僕を覗き込んで、聞いてきた。
「ジュニ?今兄上の悪口言ったの?何て言ったのか知りたいなぁ。」
僕は思わず調子に乗り過ぎたと、手で口を押さえた。するとガブリエルとルークが僕を見て弾ける様に笑い出した。
「ははは、やっぱり図星だったみたい。ジュニはどうも兄上と相性が悪いみたいですね。兄上、ジュニに何かしたんですか?」
ルークは笑いながら心当たりが無いと答えていたけれど、後でガブリエルに追求されたら、どこまでガブリエルの大好きなお兄ちゃんの素行を話すべきか悩むなぁと、僕は眉を顰めた。
ひとしきり笑い終えたガブリエルは、ふとルークに尋ねた。
「そう言えば、何か僕に用があったんじゃないですか?兄上。」
するとルークは急に真面目な顔をしてガブリエルに尋ねた。
「実は昨日、見慣れない青年がこの城の中で目撃されたんだ。ガブリエルは見てないかい?」
ガブリエルは僕の背中を撫でながら、首を傾げて言った。
「いいえ。…僕は見てません。何か問題でもあったんですか?」
ルークは首を振って言った。
「特には何も。ただ、ちょっとやそっとじゃ部外者はこの城に侵入出来ない筈なのに、入り込んだとすると心配だろう?私はともかく、まだ幼いガブリエルに危害を加えないとも限らないからね。一応、眠る時には鍵を掛けて寝る様にしなさい。万が一の用心だ。わかったね?」
ガブリエルはルークの言葉に、妙にニンマリとした笑顔で頷いて言った。
「はい、兄上。そうします。でも、その侵入者が魅力的なら、僕は匿ってしまうかもしれません。ふふ。」
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