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秘密の共有
頼もしい協力者
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僕はシーツにくるまって、ガブリエルの隣に寝転がると、欠伸を連発し始めたガブリエルの頭を撫でながら言った。
「ガブリエル、そろそろ眠ろう。僕は君の元から逃げ出すつもりは無いし、さっき言った様に、時々は人間として楽しむかもしれないけど、カワウソ生活も好きなんだ。僕はガブリエルが大好きだから。だから安心して眠ってね?」
するとトロンと眠たげに瞼を閉じたガブリエルが僕の手を握って言った。
「…居なくなっちゃダメだよ、ジュニ。おやすみ…。」
僕はしばらくガブリエルがぐっすり寝付くまで側で見守っていたけれど、一緒に朝まで寝落ちしそうになったので、慌てて起き上がった。そしてベッドの下からシャツとズボンを引っ張り出すと、綺麗に畳んでガブリエルの机の大きな引き出しの中へ仕舞い込んだ。
ここはガブリエルの勉強道具や、私物が入っているので、召使いも滅多に開けたりしない。とりあえず証拠隠滅は出来たはずだ。僕は部屋の扉を見つめると、そろそろと近づいて耳をそば立てた。物音ひとつしない。とりあえず、ルークも寝てしまったようだ。
僕はホッとすると、部屋の鍵を開けて、スルリとカワウソに戻るとマイベッドへと潜り込んだ。人間のベッドも良いけど、これはこれで居心地が良い。僕は状況が許さなかったとは言え、ガブリエルに正体がバレてしまったのが今後どう言うことになるのか全然予想がつかなかった。
小さな子供がいつまでも嘘をついて居られるだろうか。カワウソのジュニはガブリエルの側に居られるけれど、人間のジュシアはそうではないと言うことはハッキリしていたからだ。
やっぱり僕は、人間としてのもうひとつの生活を築く必要があるんじゃ無いかな?しかしどうしたら良いんだろう。流石に僕も夜中に色々あり過ぎたせいで疲れから欠伸が止まらなくなった。
考えるのも限界になった僕は、最終的にはしらばっくれるという奥の手でどうにでもなると開き直って、睡魔に引き寄せられて行った。
いつもの様に執事がガブリエルを起こしに来た気配で、僕はぼんやりと顔を上げた。流石にガブリエルは夜中に僕と話をしていたせいでなかなか目が覚めない様だった。
すると、執事がキョロキョロと部屋を見回して、カーテンの影や、クローゼットの中、死角になりそうな場所をチェックし始めた。そしてついにはベッドの下を覗き込んで何か探している様だった。
僕が思わず呆然とその様子を見つめていると、執事が僕に気がついて優しく何度か撫でながら言った。
「ジュニ、昨日の夜、この部屋に誰か来なかったかい?どうも若い男が城に入り込んだみたいなんだ。でも見知らぬ人間がここに入ったら、きっとジュニがその鳴き声で教えてくれるはずだな?…ここには来なかったんだろう。さ、ガブリエル坊ちゃんを起こしてくれるかい?」
僕は顔を引き攣りながら、執事を見上げたに違いない。そいつは僕ですけどって、言える状況じゃないしね?ああ、色々仕事増やしてごめんなさい!
「ガブリエル、そろそろ眠ろう。僕は君の元から逃げ出すつもりは無いし、さっき言った様に、時々は人間として楽しむかもしれないけど、カワウソ生活も好きなんだ。僕はガブリエルが大好きだから。だから安心して眠ってね?」
するとトロンと眠たげに瞼を閉じたガブリエルが僕の手を握って言った。
「…居なくなっちゃダメだよ、ジュニ。おやすみ…。」
僕はしばらくガブリエルがぐっすり寝付くまで側で見守っていたけれど、一緒に朝まで寝落ちしそうになったので、慌てて起き上がった。そしてベッドの下からシャツとズボンを引っ張り出すと、綺麗に畳んでガブリエルの机の大きな引き出しの中へ仕舞い込んだ。
ここはガブリエルの勉強道具や、私物が入っているので、召使いも滅多に開けたりしない。とりあえず証拠隠滅は出来たはずだ。僕は部屋の扉を見つめると、そろそろと近づいて耳をそば立てた。物音ひとつしない。とりあえず、ルークも寝てしまったようだ。
僕はホッとすると、部屋の鍵を開けて、スルリとカワウソに戻るとマイベッドへと潜り込んだ。人間のベッドも良いけど、これはこれで居心地が良い。僕は状況が許さなかったとは言え、ガブリエルに正体がバレてしまったのが今後どう言うことになるのか全然予想がつかなかった。
小さな子供がいつまでも嘘をついて居られるだろうか。カワウソのジュニはガブリエルの側に居られるけれど、人間のジュシアはそうではないと言うことはハッキリしていたからだ。
やっぱり僕は、人間としてのもうひとつの生活を築く必要があるんじゃ無いかな?しかしどうしたら良いんだろう。流石に僕も夜中に色々あり過ぎたせいで疲れから欠伸が止まらなくなった。
考えるのも限界になった僕は、最終的にはしらばっくれるという奥の手でどうにでもなると開き直って、睡魔に引き寄せられて行った。
いつもの様に執事がガブリエルを起こしに来た気配で、僕はぼんやりと顔を上げた。流石にガブリエルは夜中に僕と話をしていたせいでなかなか目が覚めない様だった。
すると、執事がキョロキョロと部屋を見回して、カーテンの影や、クローゼットの中、死角になりそうな場所をチェックし始めた。そしてついにはベッドの下を覗き込んで何か探している様だった。
僕が思わず呆然とその様子を見つめていると、執事が僕に気がついて優しく何度か撫でながら言った。
「ジュニ、昨日の夜、この部屋に誰か来なかったかい?どうも若い男が城に入り込んだみたいなんだ。でも見知らぬ人間がここに入ったら、きっとジュニがその鳴き声で教えてくれるはずだな?…ここには来なかったんだろう。さ、ガブリエル坊ちゃんを起こしてくれるかい?」
僕は顔を引き攣りながら、執事を見上げたに違いない。そいつは僕ですけどって、言える状況じゃないしね?ああ、色々仕事増やしてごめんなさい!
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