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お題 茜色の空

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妙に赤い気がする今日の夕焼けは、不吉なのかどうなのか。

スマホが震えないからきっと不吉なんだろうな。あいつを好きになってから、僕は妙にメランコリーになりがちなんだ。それが妙に馬鹿馬鹿しい時もあれば、今日みたいにどっぷり浸かってしまう時もある。

あいつがちょっとスマホを震えさせてくれたら、きっとあの茜色の夕焼けも美しいと思えるのに。

僕はため息をひとつつくと、ベンチから立ち上がった。約束もないのに、ここに居てもしょうがない。あいつは友達が多いから、きっと今頃飲み会に誘われて駅に向かっているんだろう。


考え出したらきりが無いけど、なぜ僕みたいな隠キャとあいつが付き合ってるのか意味わかんない。そう本人に言った事もあるけど、ニヤっと笑ってあいつは言うんだ。

『何で分かんないの?俺、司がすごいタイプなのに。司は俺のことタイプじゃ無いかもしれないけどね。』

そう簡単に言って僕の頭を撫でるあいつの困った様な笑い顔は僕のツボなのに、その事は一度も言えてなかった。


「タイプじゃ無くても、僕だって凄い好きなのにな!」

思わず大きな声で叫んじゃった僕は、まるで青春ごっこだ。いくらひと気のない高台の公園でも、誰かに聞かれたら恥ずかし過ぎる。僕は周囲を伺った。…公園の入り口にあいつが立ってた。

僕は思わず走り出した。でもあいつに直ぐに抱きつかれて捕まってしまった。

「小学生じゃないんだから、逃げんなよ。で?何だって?凄い好き?俺のことでしょ?」

そう言って嬉しそうに笑うから、僕はそんな笑い方も好きだなってぼんやり見つめてしまった。あいつの後ろに見える夕焼けがいつもより赤くて綺麗だった。
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