61 / 69
衝撃
目覚めない弟と親友と
しおりを挟む
「俺さ、あいつらを見てるとやっぱり運命の番なのかなって思うんだ。」
迎えに来た蓮に俺がそう言うと、蓮はくしゃりと微笑んで俺の手を繋いだ。そして優しい声で俺に尋ねた。
「さっき篤哉が言ってた事?」
俺は駐車場に向かいながら呟いた。
「…まぁそれだけじゃないけど。結局まだ理玖は目を覚まさないだろう?でも最近は一般病室になったから篤哉も見に来れるようになって、それに俺も付き合ってるんだけど。
篤哉が入室すると理玖の心拍数が急に上がるんだ。理玖は目覚めないながら分かってるんだなって。一方の篤哉も理玖の記憶はまだ戻らないけど、初めて理玖を見た時に夢で会った少年と同じだったんだって。
結局、あの二人はずっと繋がりあってる。こんな事故で、引き剥がされたって関係ないんだ。それって凄いだろ?」
俺がそう言って隣の連の顔を見ると、蓮は俺をじっと見つめて言った。
「ああ。そうだな。…俺とお前は運命の番じゃないけど、俺はお前に馬鹿みたいに執着して、惹かれてるよ。知ってたか?」
俺は蓮が急に色気を出してくるから、正直戸惑いつつも嬉しさを感じた。それは急激に俺の身体にじりじりとした焦燥感を植え付けた。蓮はクスッと笑って立ち止まると、俺の顔に指を添わして囁いた。
「なぁ、今夜いいか?」
俺は理玖たちが事故に遭ってから3週間の間、蓮が俺に気遣ってそんな風に色気を出して来ないようにしていたのを察していたんだ。俺は蓮を抱きしめると、がっちりした身体を確かめつつも呟いた。
「…ああ、そうしよう。俺もお前が欲しい。お前は運命の番ではなくても、俺には最高の恋人だ。」
すると蓮は焦らすように俺の唇をじゅっと吸い付くと直ぐに顔を引き剥がして、ギラついた眼差しで言った。
「これ以上はダメだ。路上でお前を犯しそうだからな。」
そう言うと俺の手を文字通り引き摺って車に押し込むと、黙りこくってマンションへ向かった。ピリピリする蓮のフェロモンのオーラに、俺はゾクゾクしながら熱い息を吐いた。
「くそっ!」
罵りが聞こえて蓮を見つめると、信号で止めた蓮がハンドルにもたれ掛かりながら悪態をついていた。そして一瞬俺を見て直ぐに前方を凝視すると言った。
「…そんなに期待されると、俺も辛抱できない。…今夜は寝かさないから。」
赤らんだ顔の興奮した蓮の横顔を、舌舐めずりをする気分で見つめながら俺も答えた。
「ああ、それって最高の言葉だ。」
~お知らせ~
最新作BL『獣人てやつは本能に抗えない問題』昨日より公開開始しました♡
本日二話目公開済みです♪よろしくお願いします(*⁰▿⁰*)
迎えに来た蓮に俺がそう言うと、蓮はくしゃりと微笑んで俺の手を繋いだ。そして優しい声で俺に尋ねた。
「さっき篤哉が言ってた事?」
俺は駐車場に向かいながら呟いた。
「…まぁそれだけじゃないけど。結局まだ理玖は目を覚まさないだろう?でも最近は一般病室になったから篤哉も見に来れるようになって、それに俺も付き合ってるんだけど。
篤哉が入室すると理玖の心拍数が急に上がるんだ。理玖は目覚めないながら分かってるんだなって。一方の篤哉も理玖の記憶はまだ戻らないけど、初めて理玖を見た時に夢で会った少年と同じだったんだって。
結局、あの二人はずっと繋がりあってる。こんな事故で、引き剥がされたって関係ないんだ。それって凄いだろ?」
俺がそう言って隣の連の顔を見ると、蓮は俺をじっと見つめて言った。
「ああ。そうだな。…俺とお前は運命の番じゃないけど、俺はお前に馬鹿みたいに執着して、惹かれてるよ。知ってたか?」
俺は蓮が急に色気を出してくるから、正直戸惑いつつも嬉しさを感じた。それは急激に俺の身体にじりじりとした焦燥感を植え付けた。蓮はクスッと笑って立ち止まると、俺の顔に指を添わして囁いた。
「なぁ、今夜いいか?」
俺は理玖たちが事故に遭ってから3週間の間、蓮が俺に気遣ってそんな風に色気を出して来ないようにしていたのを察していたんだ。俺は蓮を抱きしめると、がっちりした身体を確かめつつも呟いた。
「…ああ、そうしよう。俺もお前が欲しい。お前は運命の番ではなくても、俺には最高の恋人だ。」
すると蓮は焦らすように俺の唇をじゅっと吸い付くと直ぐに顔を引き剥がして、ギラついた眼差しで言った。
「これ以上はダメだ。路上でお前を犯しそうだからな。」
そう言うと俺の手を文字通り引き摺って車に押し込むと、黙りこくってマンションへ向かった。ピリピリする蓮のフェロモンのオーラに、俺はゾクゾクしながら熱い息を吐いた。
「くそっ!」
罵りが聞こえて蓮を見つめると、信号で止めた蓮がハンドルにもたれ掛かりながら悪態をついていた。そして一瞬俺を見て直ぐに前方を凝視すると言った。
「…そんなに期待されると、俺も辛抱できない。…今夜は寝かさないから。」
赤らんだ顔の興奮した蓮の横顔を、舌舐めずりをする気分で見つめながら俺も答えた。
「ああ、それって最高の言葉だ。」
~お知らせ~
最新作BL『獣人てやつは本能に抗えない問題』昨日より公開開始しました♡
本日二話目公開済みです♪よろしくお願いします(*⁰▿⁰*)
1
お気に入りに追加
460
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆

白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!


Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる