生き直し?伯爵令息の甘い日常

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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高等貴族学院

美丈夫の存在感

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 授業が終わって片付けている僕の席の前に、移動教室から戻ってきたユアが立ち塞がっていた。

「…今朝、居なかったな。」

 僕はちょっと後ろめたい気持ちでユア見上げた。

「…うん。昨日リュードお兄様が帰国したから、一緒にお屋敷に帰ってたの。昨日は家族と一緒に過ごしたから。連絡しなくてごめんね。研究室寄ったりして遅くなっちゃって。」

 ユアはちょっと顔を引き攣らせた後、黙って僕の手元を見つめていた。


 「…ユア? これから一緒にお昼行くんでしょ?」

「…ちょっと冷静になりたいから、夕方部屋に行くよ。…それでいいか?」

 そう言うとユアは僕の顔を見ること無く足早に立ち去った。僕が呆然とその後ろ姿を見送ってると、アーサーとキースがいつの間にか隣に立って同じ様にユアを見ていた。

 ちょっと静かに話せるところでご飯を食べようと言われ、三人でカフェテリアの池の近くの東屋に来た。今日は少し暑いのでほとんど人気が無かった。


 「…リオン、まぁアレだよ。ユアも昨日の今日で動揺してるって言うか。リオンの兄君帰ってきたんでしょ?ユアにも覚悟がいるんだよ色々とね。相手強いからねぇ。」

 話すアーサーの顔を訝しげに見ると、苦笑したキースが僕の額を指で軽く弾いて言った。

「リオン全然ピンと来てないし。ちょっと噂になってんだよ。昨日の夜、どえらい美丈夫がお前を寮から連れ出したって。すっげえ甘々な雰囲気で、な。

 それで兄君が帰国とわかれば、ユアも冷静では居られないだろ?まぁわかってやって。」


 僕は思わず目を伏せて、昨日のお兄様と、お兄様の爆弾宣言を思い出した。

「…昨日、お兄様に言われたんだ。お兄様は僕と結婚するつもりだって。」

「あー。まぁいつかそう来るとは俺たちも思ってたけど。帰国早々なんだ。兄君も三年は長かったんだな…。」

「で、どうするつもりなの?」

「お兄様はゆっくり返事していいって。僕…は、お兄様は置いといても、結婚自体考えた事なかったから。ちょっとびっくりした方が大きくて。」


 アーサーとキースは顔を見合わせて言った。

「お前知らなかったの?お前に結婚の申し込み、鬼来てるって。有名な話なんだけど。皆ダメ元で申し込んでるって。…なるほど。スペード伯爵が握り潰してた訳ね。白騎士団長もリオンの事溺愛してるもんなぁ。」

 キースの言葉に僕は唖然としてしまった。え?聞いてない。結婚の申し込み?

「スペード伯爵も閨の勉強終わったら、改めてリオンと話するつもりだったんじゃないの?アレが終わらないと進む話も進まないからね。このままじゃ、ユアも可哀想だからじっくり二人で話あってね?」

 アーサーは僕の頭を撫でながら優しく言った。











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