上 下
1 / 31
困ってる

僕の悩み

しおりを挟む
最近の僕の悩みは胸がチクチクすることだ。チクチクっていうとちょっと違うかな。ムズムズするが合ってるかな。だから着替える時にうっかり触れたりすると、その疼きが酷くなって、気になって何も手につかなくなる。

今日も体育の授業の更衣中に、馬鹿なクラスメイトが近くの友達らを端から突っついてふざけていたのに巻き込まれて、僕まで突っつかれてしまった。


その時にジーンとしちゃってヤバいとは思ったんだけど、出来るだけ刺激しないようにそっと着替えて授業に出た。授業中も暑いフリをして裾をパタパタやって空気を送るようにして、体操着が胸に擦れないように頑張った。

授業が終わる頃には何とか誤魔化せた筈だ。その頃には疼きも何とか収まってホッとした。授業の後はお昼ごはんの時間で、僕はいつものように売店帰りに、親友の海斗とひと気のない第二校舎の屋上へ向かった。


ここ十日ほど使ってるこの穴場は、掛かってるはずの南京鍵が壊れていて、海斗が自前の鍵にすり替えたから事実上僕たちだけしか入れなくなった。

ゆっくり出来るこの場所は、すぐに僕と海斗のお気に入りになった。僕たちは授業が始まるまで一緒に対戦ゲームしたり、馬鹿な動画を見て笑ったり、楽しい時間を過ごしていた。


「洸太はいつもそれだな。飽きない?」

そう言って笑った海斗に僕はツンとして甘い揚げパンを頬張った。僕はここの売店の手作り揚げパンが大好物で、しかも今日は奮発して生クリームサンドタイプ。まじ美味。

「お茶がノンシュガーだからイイんですー。…何、食べたいの?」

僕は隣でジンジャーエールを飲んでいる海斗を見上げた。僕より体格が良い海斗は多分モテてると思う。海斗はあまり口数は多くないけど、鼻筋が通っていて男から見ても武士っぽいイケメンだ。


「要らね。俺甘いのは…。」

そう言って僕が食べ終わるのをスマホをいじりながら待っていた。僕がご馳走様って海斗の分までまとめてゴミを片付け終わると、いつもの様に対戦ゲームをやろうとポケットからスマホを取り出した。

すると海斗が僕の方を見ておもむろに言った。

「なぁ、体育の時洸太、胸の辺り気にしてたろ?…何か気になることあった?」


俺は見るからに固まってしまった。動揺するあまり、スマホを手から落としてしまったほどだ。海斗が僕の足元からスマホを拾い上げながら、でも何故か僕に渡さずに言った。

「お前、ビーチク立ってたろ。何か興奮してた?」

海斗の追加攻撃に、僕はあわあわとますます動揺して、スマホを取り返すべく手を伸ばした。ここは逃げるしかない。


でも何故か僕の手首は海斗にがっちり握られて、見た事がない真剣な表情の海斗が僕に言った。

「困ってることあるんじゃないの?話なら聞くよ。」
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?

桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。 前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。 ほんの少しの間お付き合い下さい。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

「イケメン滅びろ」って呪ったら

竜也りく
BL
うわー……。 廊下の向こうから我が校きってのイケメン佐々木が、女どもを引き連れてこっちに向かって歩いてくるのを発見し、オレは心の中で盛大にため息をついた。大名行列かよ。 「チッ、イケメン滅びろ」 つい口からそんな言葉が転がり出た瞬間。 「うわっ!?」 腕をグイッと後ろに引っ張られたかと思ったら、暗がりに引きずり込まれ、目の前で扉が閉まった。 -------- 腹黒系イケメン攻×ちょっとだけお人好しなフツメン受 ※毎回2000文字程度 ※『小説家になろう』でも掲載しています

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...